トルコリラ週報:『CPI加速でリラ売り再開。通貨安防止策の効果は限定的か』(1/8朝)

トルコリラの対円相場は昨年12/23に一時11.25円まで急伸するも、足元では再び心理的節目8.00円の下方ブレイクを伺う水準まで下げ幅を広げつつあります。

トルコリラ週報:『CPI加速でリラ売り再開。通貨安防止策の効果は限定的か』(1/8朝)

『CPI加速でリラ売り再開。通貨安防止策の効果は限定的か』

〇今週のトルコ円、週初8.21-9.09レンジで乱高下の後週末にかけては8.34前後で上値重い
〇中銀追加利下げ観測、政府の預金保護措置への懐疑が背景
〇トルコ円、心理的節目8.00割れをうかがう動きテクニカルの地合い弱い
〇ファンダメンタルズもトルコ安連想させる材料多い
〇トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):7.00ー9.00

今週のレビュー(1/3−1/7)

今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初8.64円で寄り付いた後、年明け早々に週間安値8.21円と週間高値9.09円を共に記録する乱高下を繰り広げました。しかし、@注目されたトルコ12月消費者物価指数(結果36.08%、予想30.60%、※2002年9月以来の大幅な伸び率)及び、Aトルコ12月生産者物価指数(結果79.89%、予想68.10%)が市場予想を大幅に上回る結果を示すと、Bトルコ中銀による追加利下げ観測や、C昨年より始まったリラ建て預金保護措置への懐疑的な見方、D上記BCの副作用(連続利下げや預金保護措置にも係わらず、預金金利、貸出金利、国債利回りが全て上昇)、Eトルコ政府による「電力・天然ガス価格の引き上げ」措置(トルコ経済への下押し懸念)、Fトルコ政府による輸出企業に対する新たな資本規制の法令発布(米ドルやユーロ、英ポンドなどの外貨で支払いを受けた場合、当該収入の4分1をトルコリラに交換することを求める法令)、Gトルコ中銀の外貨準備減少などが重石となり、本稿執筆時点(日本時間1/8午前5時00分現在)では8.34円前後で上値重く推移しております。

来週の見通し(1/10−1/14)

トルコリラの対円相場は昨年12/23に一時11.25円まで急伸するも、足元では再び心理的節目8.00円の下方ブレイクを伺う水準まで下げ幅を広げつつあります。ローソク足が全てのサポートライン(一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線など)を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆するパーフェクトオーダーも継続するなど、テクニカル的に見て、地合いの弱さを印象付けるチャート形状となっております。目先は昨年12/20に記録した史上最安値6.17円に向けて下げ幅を広げるシナリオが想定されます。

ファンダメンタルズ的に見ても、@エルドアン大統領による低金利政策の長期化懸念(中銀は一般的にインフレを利上げで抑制する傾向にあるが、トルコはエルドアン大統領の独自理論のもと、インフレを利下げで抑制する方針を示している。事実、トルコ中銀はインフレ進行にもかかわらず、昨年9月以降、政策金利を500bp引き下げ済み)や、A米FRBによるタカ派転換(早ければ3月に利上げに踏み切る可能性あり→新興国から米国への資金流出懸念)、Bトルコ経済の先行き不透明感(深刻なスタグフレーション懸念)、Cトルコ中銀による通貨防衛能力の脆弱さ(1/6に公表された昨年末時点の外貨準備は約83億4000万ドルと2002年以来の低水準)、D資本政策の副作用(預金保護措置などの手段を打ち出すも全て裏目に出ている状態)など、トルコリラ円相場の続落を連想させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(心理的節目8.00円を割り込めば、史上最安値6.17円まで一気に急落する恐れあり)。  

来週の予想レンジ(TRYJPY):7.00ー9.00

注:ポイント要約は編集部

『CPI加速でリラ売り再開。通貨安防止策の効果は限定的か』

トルコ円日足

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る