トルコリラ円見通し 連日の大上昇だが11円台到達から急落(21/12/24)

23日の日足はその過半を上ヒゲとする陽線に終わり、急騰劇が一服した印象を与えた。

トルコリラ円見通し 連日の大上昇だが11円台到達から急落(21/12/24)

トルコリラ円見通し 連日の大上昇だが11円台到達から急落

〇トルコリラ円、12/23も4連騰となったが11.14へ続伸の後、外貨準備高激減きっかけに下落に転じる
〇12/24午前序盤には9.61まで安値を切り下げ、急騰劇が一服した印象
〇対ドル、12/23夜10.05まで大幅続伸となるも反落、12/24午前11.40近辺へ安値を切り下げる
〇外貨準備高、12/1からの大規模な市場介入により大幅に減らす
〇信用不安もあり、しばらくは乱調な展開を警戒
〇9.50以上での推移中は高値波乱余地あり、10.70超えからは11円試しとするが11円以上は反落警戒
〇9.50割れからは下向きとし、9.00割れからは8.50前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の12月23日は11.14円から9.03円の取引レンジ、24日早朝終値は9.75円で前日終値の9.45円からは0.30円の円安リラ高だった。
エルドアン大統領によるリラ預金の為替差損に対する損失補填表明からリラ預金が急増、預金そのものが実質的なドル売り・リラ買いの為替取引の様相となり12月20日までの高インフレ下での連続利下げ強行によるリラ暴落から一転してリラ暴騰へと流れが変わった。
12月20日に大統領が損失補填方針を示したところで前日比1.48円の上昇、21日に0.76円、22日に0.28円、23日も4連騰となったが、20時半の外貨準備高統計での準備高大幅減少による不安感から11.14円の高値へ大幅続伸したところから下落に転じたため、23日の日足はその過半を上ヒゲとする陽線に終わり、急騰劇が一服した印象を与えた。
12月24日午前序盤には9.61円まで安値を切り下げている。

【対ドルでも急騰一服】

ドル/トルコリラの12月23日は12.09リラから10.05リラの取引レンジ、24日早朝終値は11.08リラで前日終値の11.98リラからは0.90リラのドル安リラ高となった。
12月20日に18.36リラまで暴落的な下落となり史上最安値大幅に更新したが、大統領による損失補填方針発表からリラの買い戻しが殺到したために20日終値で13.50リラへ急騰、21日に11.47リラへ高値を切り上げ、22日は高値更新に至らなかったものの終値ベースで3連騰となり、23日夜には10.05リラまで大幅続伸となり11月16日の水準まで持ち直した。
しかし外貨準備高の大幅減少をきっかけに反落となり、日足は長い上ヒゲを付けた陽線で終了、24日午前も11.40リラ近辺へ安値を切り下げている。

【外貨準備高は大幅減少】

12月23日20時半に発表された週次の外貨準備高のグロスは12月17日時点で783.7億ドルとなり前週の841.5億ドルから57.8億ドルの減少となった。ネットでは121.6億ドルとなり前週の211.7億ドルからは90億ドルの大幅減少となった。
トルコ中銀は12月1日から数次の市場介入でリラ買いドル売りを実施してきたが、大規模な市場介入により外貨準備高を大幅に減らしたこととなる。
報道によればトルコの国営銀行数行が12月20日から21日の2日間で30億ドル規模のドル売りリラ買いを実施したとされる。
政府がリラの為替差損が利回り益を上回る場合にはその損失を補填するとしたことで、実質的には国民に対してドル売りリラ買いとしてのリラ預金が急増したと思われる。リラ高が続けば高金利がつき、リラ安となっても損失は補償されるならリラ預金者にはこの上ない有利な条件となる。

トルコのイスタンブール100株価指数がリラの反騰によりリラ高分の押し下げ効果で連日の大幅下落に見舞われたが、株を換金してリラ預金へとシフトする動きも株安要因となったようだ。
報道によれば今回のリラ預金の損失補填政策については2018年の通貨危機におけるリラ暴落の際に考えられたものだったが、実施条件の1ドル18リラに到達しなかったことで導入が見送られた経緯があったとされる。為替市場としては国家による損失補填という禁じ手の様相ではあるが、サプライズ感満載で投資家は飛びついたということだろう。しかし、週次の外貨準備高が激減したこと、果たして国内勢のリラ買いがいつまで継続できるのか、金融政策不安が再燃した場合に国家財政は損失補填を実行できるのかという信用不安も付きまとう。しばらくは乱調な展開が続くと警戒したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月13日深夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして16日夜から20日夜にかけての間への下落を想定してきたが、12月20日夜へ一段安したところからの急騰により21日午前時点では12月20日深夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。また高値形成期は13日深夜高値を基準として20日深夜にかけての間と想定されるとしたが通常レベルを超える急騰のためさらに伸びる可能性もあるとした。
12月23日夜へ急伸してから1円を大幅に超える急落となっているため、現状は12月23日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りしたところと思われる。安値形成期は20日深夜安値を基準とすれば23日夜から27日深夜にかけの間と想定される。10.70円を超えるところからは新たな強気サイクル入りの可能性ありとみるが、10.70円以下での推移中は24日夜から27日にかけての間への下落余地ありとみる。

60分足の一目均衡表では12月20日深夜からの急騰で遅行スパンが好転、先行スパンを突破したが、その後も両スパン揃っての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試しとするが、遅行スパン悪化からは安値試し優先へ切り替える。またその際は先行スパンの下限が下値支持線となりやすいとみるが、急落商状で先行スパンから転落する場合はリラ安再開の動きへ向かいやすくなるとみる。

60分足の相対力指数は12月20日から23日夜への一段高に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられて50ポイントまで低下している。このため65ポイントを超えるところからは上昇再開とみるが65ポイント以下での推移中は下向きとし、50ポイント割れからは30ポイント前後への低下へ向かうとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、9.00円を下値支持線、10.70円を上値抵抗線とする。
(2)9.50円以上での推移中は高値波乱余地ありとし、10.70円超えからは再び11円試しとするが、11円以上は反落警戒とする。
(3)9.50円割れからは下向きとし、9.00円割れからは8.50円前後への下落を想定する。8.50円以下は反騰注意とするが下げ足が速まる場合は8円台序盤(8.30円から8.00円)を試す可能性もあるとみる。また9.50円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

12月24日
 17:00 11月 観光客数 前年同月比 (10月 99.25%)
12月27日
 16:00 12月 製造業景況感 (11月 108.4)
 16:00 12月 設備稼働率 (11月 78.1%)
12月30日
 16:00 12月 経済信頼感指数 (11月 99.3)
 20:30 週次 外貨準備高 12/24時点
12月31日
 16:00 11月 貿易収支 (10月 -14.4億ドル)



注:ポイント要約は編集部

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