小動き見込みだが、流動性の低下は気掛かり(12/23夕)

23日の東京市場はドル堅調裡。レンジは狭いが「寄り付き安・大引け高」の様相で、見た目以上にドルは強い印象だ。

小動き見込みだが、流動性の低下は気掛かり(12/23夕)

小動き見込みだが、流動性の低下は気掛かり

〇本日のドル円、一時上げ渋り揉み合いとなるも夕方に再上昇し114.25-30まで続伸
〇オーストリー中銀総裁「ECBは22年終盤にも利上げに踏み切る可能性がある」と発言
〇本日は米経済指標として11月PCEデフレーターや新規失業保険申請件数が発表される予定
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは113.80-114.60、昨日の高値114.35-40が最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は、昨日安値の113.95を割り込めば113.60-70などが意識されそう

<< 東京市場の動き >>

23日の東京市場はドル堅調裡。レンジは狭いが「寄り付き安・大引け高」の様相で、見た目以上にドルは強い印象だ。

ドル/円は寄り付いた114.05-10円を日中安値にドルが強含み。114.20円前後では一時上げ渋り揉み合いとなるも、夕方にドルは再上昇。今度は114.20円を超え、114.25-30円まで続伸している。「寄り付き安・大引け高」に近い動きで、16時現在ではそのままドル高値圏114.20-25円で推移、欧米市場を迎えていた。
なお、本日の東京はドル安といった面もあったが、それより円売りが目に付くと全面安の展開。ユーロ/円やポンド/円などは前日戻り高値を更新し、1週間ぶりのレベルを一時示現している。

一方、材料的に注視されていたものは、「新型コロナ」と「各国金融政策」について。
前者は、新型コロナあるいはオミクロン株をめぐっては好悪材料が交錯。「好」についてはオミクロンの震源地とされる南アフリカが「感染1ヵ月でピークを迎えたもよう」と伝えられたほか、英研究施設が「オミクロン株、デルタ株より入院リスクが40-45%低い」との分析結果を発表したと伝えられていた。それに対し「悪」は「国連総会議長がコロナ検査で陽性反応」、「米副大統領に近しいスタッフ、新型コロナに感染」−−などといった要人周辺にまで感染が広がっていること。おりしも今週末はクリスマスで、状況はますます予断を許さないかもしれない。

対して後者は、オーストリー中銀総裁から「ECBは22年終盤にも利上げに踏み切る可能性がある」との発言が聞かれたのに対し、黒田日銀総裁は講演で「現在の強力な緩和を粘り強く続けるのが基本だ」との見解を示していた。相変わらず日本は独自のスタイルを貫いており、引き続き「金利差」に着目した場合、円は積極的に買い進められないようだ。一方、それとは別に後者の黒田氏は「円安は基本的にプラスの効果が大きい」、「為替はファンダメンタルズを反映し安定推移が重要」などとも述べていたという。

<< 欧米市場の見通し >>

ドル/円は、もっとも期間が短くもっとも狭かった72銭レンジの上限113.87円を超えたことに続き、過去2週間程度推移していたレンジ上限の114.27円も昨日一時超えている。それもあり、基本的なリスクはドル高方向にバイアスか。ただ、なかなか悩ましいのがドルはそのまま続伸せず、逆にそののちかつてのレンジ内へとプルバックしていること。いまひとつ「ドル強気」にもなり切れない。引き続きドル買いについても慎重さが求められそうだ。
先でも指摘したように、日本の金融政策は先進国のなかで異質な存在だ。金利差が市場変動要因のすべてではないが、やはり円は基本的に買い進めにくいと言わざるを得ない。そうしたなか、本日はなかなか重要な米経済指標が発表される見込みで、クリスマス前の薄商いのなかの荒れた値動きにも一応要注意。また、クリスマスを前後した新型コロナ・オミクロン株の感染拡大などのニュースにも、注意しておいて損はない気がしている。

テクニカルに見た場合、ドル/円は15日高値114.27円を超え、月間高値を更新。しかし、ドルはむしろ上げ渋った印象で、結果として「元のレンジを上方向に拡大させた」だけにとどまっている。引き続きドルは昨日高値を超え、「しっかり」と上放れることが出来るのかを注視したい。
なお、フィボナッチの観点では高値115.52円を起点とした下げ幅の61.8%戻しは114.40円レベルでほぼ昨日高値に合致する。76.4%戻しは114.80-85円だ。

材料的に見た場合、中長期的には、コロナの感染抑制のため人口1300万人を誇る西安市に「外出制限要請」が出された「中国情勢」、クリスマス明けとなる来週の感染者状況がいまから気掛かりな「新型コロナ・オミクロン株問題」、「原油供給問題」−−などに注目。
一方、本日は米経済指標として、11月のPCEデフレーターや週間ベースの米新規失業保険申請件数が発表される予定となっている。そうした米経済指標などにももちろん要注意だが、薄商いのなかの需給要因、ロンドンフィキシングなどを警戒する声も聞かれていた。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは113.80-114.60円。昨日高値を含めた114.35-40円が最初の抵抗。超えれば114.80-85円、そして115円となる。
対するドル安・円高方向は、昨日安値の113.95円をめぐる攻防にまずは注目。割り込めば113.60-70円などが意識されそうだ。(了)


*ご連絡;誠に恐れ入りますが、今週末24日(金曜日・クリスマスイヴ)は、主要な欧米市場が休場になりますので、当レポートを休刊とさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

小動き見込みだが、流動性の低下は気掛かり

ドル円日足

注:ポイント要約は編集部

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