クリスマスを控えもみあいも下抜けリスク大
〇先週のユーロ、FOMCでのタカ派金利見通しで1.1222レベルまで下げる
〇ECB理事会でのインフレ率引き上げ見通しで一時1.1361レベルの高値、利上げ遠のく見通しで戻す
〇インフレ懸念強いが緩和政策継続、米金融政策との対比でユーロ売り材料に
〇今週はユーロ圏12月消費者信頼感速報値、英国7〜9月期GDP改定値発表予定
〇今週は1.1170レベルをサポートに1.1290レベルをレジスタンスとする週とみる
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロは、FOMCではタカ派な金利見通しによるユーロ売り(ドル買い)で1.1221レベルの安値をつけたものの、その後の株高によるユーロ円の買戻しで元の水準に戻してECB理事会を迎えることとなりました。ECB理事会に先立って英中銀MPCでは8:1と想定外の利上げが行われオミクロン株よりもインフレへの懸念が強いことが示されました。
ポンド買いとともにユーロも買われてECB理事会を迎え、来年のインフレ率が前回理事会から大きく引き上げられたこともあって一時1.1360レベルまで買われたものの、利上げ自体には遠いとのことから上昇前の水準へと戻しました。債券購入については予想通りで、PEPP(緊急購入枠)は来年3月まで、その後の急変を和らげるためAPP(通常購入枠)を第2四半期は倍増、第3四半期は1.5倍とする方針も示されました。
ECBとしてはインフレ懸念はあるものの依然として緩和政策を継続することで、長期的には米国の緩和縮小との対比は今後もユーロ売り材料とされやすいということになります。
また英国を中心に感染が拡大しているオミクロン株は症状は軽いとはいえ各国が人の移動を制限する方向で英国は1月以来の重大事態を宣言し、オランダでは昨日から来年1月14日まで全土でロックダウンとなりました。こうなると懸念でなく間違いなく景気減速となりますし、ロックダウンの動きが他国にも広がるようだと、欧州の景気回復はさらに遅れることとなります。
ECBの金融政策自体は大きな変化にはつながっていませんし、今週はクリスマス前であまり動きは無いと思いますが、オミクロン株の感染拡大と米国によるロシア制裁の動きに同調して欧州もロシアへの制裁の準備を整えたとEUサミットで発表したことから、これら2つが目先のユーロ安材料になってくると考えています。
テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。
かなり値動きが限定的になってきました。11月下旬からのペナント(ピンク)型コンティニュエイションパターンと見ることが妥当に思えます。現在このペナントは1.12台前半と1.13台半ばにサポートとレジスタンスが位置していますが、今週はいつ下抜けに動くのかを見極める段階です。下抜けてくる動きが出れば11月安値を試す展開につながります。
今週は1.1170レベルをサポートに1.1290レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
今週のコラム
今週はユーロ円の週足です。
米国株の下げとともにユーロ円も水準を下げ12月初めの安値をトライする流れになってきました。ユーロドルが下抜けという動きであればユーロ円も一段安の動きになると思いますので、中期的なターゲットを週足チャートから見ておきます。
昨年安値と今年高値の38.2%押しが126.59(赤のターゲット)、今年安値と高値の78.6%(61.8%の平方根)押しが127.01(青のターゲット)となっていて126円台後半が当面の下値の目途となってきそうです。
チャートの形としてはダブルトップの反転パターンですから、売りが強まる際には年初来安値と重なる125円の大台も視野に入れる動きとなるかもしれません。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
12月20日(月)
(特になし)
12月21日(火)
16:00 ドイツ1月GFK消費者信頼感
24:00 ユーロ圏12月消費者信頼感速報値 ☆
12月22日(水)
16:00 英国7〜9月期GDP改定値 ☆
16:45 フランス11月PPI
12月23日(木)
16:00 ドイツ11月輸入物価
12月24日(金)
**:** 東京を除く主要市場は休場 ☆
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
12月13日(月)
ユーロドルはドルの動きとしてドル円とほぼ同様の動きを辿り、東京から欧州前場まではユーロ売り、NY市場でユーロ買いとなった後、引けにかけてはやや下げる動きでした。ユーロ円はドル円とユーロドルの歩調がそろっていたこともあって東京市場でやや下げた後はほとんど動かないまま1日を終わりました。
12月14日(火)
ユーロドルは東京市場では若干上値が重たい流れでしたが欧州市場に入ると目立った材料が無い中で買いが目立ち1.1300レベルにあった日計りのストップオーダーも巻き込んで1.1324レベルの高値をつけました。しかし一連の金融政策決定会合を前に行って来いとなり、引けにかけては日中安値を割り込み1.1254レベルの安値をつけました。
12月15日(水)
ユーロドルはNY市場までは動かず、FOMC後はタカ派な金利見通しによるドル買いの動きからユーロドルも1.1222レベルまで下げましたが、その後株式市場が上昇しユーロ円もリスクオンで大きく上昇する動きとともに1.1299レベルへと反転上昇しての引けとなりました。
12月16日(木)
ユーロドルは想定外に利上げを決定した英中銀の動きからポンド買いがユーロ買いにも波及、ECB理事会の結果(PEPPとAPP)は予想通りだったものの来年のインフレ見通しが上がったことから一時的ユーロドルは1.1361レベルの高値をつけました。しかし利上げはかなり先になるとの見通しや米国の対中制裁のニュースからユーロ円を中心に売りが広がったことでユーロドルも反落し、1.13割れまで押した後にやや戻して引けました。
12月17日(金)
ユーロドルはNY市場まではやや上昇後に下げる動きとはなったものの積極的な取引は手控えられ動意薄の展開が続きました。NY市場に入り欧州市場で感染が拡大するオミクロン株が行動制限のきっかけに繋がり景気減速懸念によるユーロ売りの動きとなりました。引けにかけては1.1235レベルの安値をつけ安値引けとなりました。
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