欧州中央銀行(ECB)政策金利に関する記者発表(21/12/20)

先週木曜日にECB金融政策会合における要旨の記者発表がありました。

欧州中央銀行(ECB)政策金利に関する記者発表(21/12/20)

欧州中央銀行(ECB)政策金利に関する記者発表

(2021年12月15日・16日会合)

先週木曜日にECB金融政策会合における要旨の記者発表がありました。事前の予想通り政策金利に関しては全て据え置きになり、債券購入に関してはPEPP債を予定通り来年3月末に終了することになりました。但し、その45分前に行われた英国中銀の金融政策で、予想外の利上げが実施されたことで、ユーロは9時頃の1.13ドル絡みから1時間で1.1360ドルまで買われました。その後持ち高調整にユーロが緩みました。以下は要旨の一部抜粋です。

記者発表要旨

運営審議会は、経済回復や中期インフレ目標に向けた進展により今後数四半期で資産購入のペースを段階的に縮小できると判断した。しかし、インフレを安定的に中期2%目標にするには、金融緩和は依然として必要である。現状の不確実性を考慮し、運営審議会は金融政策を実施するにおいて、柔軟性とオプション性を維持することが必要である。これらを念頭に、運営審議会は次の決定を行った。

PEPP(パンデミック緊急債券購入プログラム)

2022年の第1四半期に、運営審議会はPEPP下での純資産購入を前四半期よりも低いペースで行う見込みである。2022年3月末にPEPP下での純資産購入を停止する見込みである。

運営審議会はPEPP下での再投資期間の延長を決定した。PEPP下で購入され、満期到来の債券には元本を少なくとも2024年末まで再投資する意向である。いかなる場合でも、PEPPポートフォリオの将来的な保有解消は適切な金融政策スタンスに支障がない様に管理される。

パンデミック債は、ストレスある環境下で、資産購入の設計と実施の柔軟性が金融政策の伝達に障害をもたらすのに対抗でき、より効果的に運営審議会の目標達成を行うのに役立った。我々の使命の中で、ストレスある環境下、金融政策の伝達に対する脅威が物価安定を危険に晒す場合はいつの時でも、柔軟性は金融政策の必要な要素である。(中略)PEPP下での純購入は、パンデミックに関連してネガティブな衝撃に出会った場合、必要とあればいつでも再開できるだろう。

資産購入プログラム(APP)

債券購入の段階的縮小や金融政策スタンスが中期目標とする物価安定に一致することを確実にするため、運営審議会は第2四半期では月額400億ユーロ、第3四半期には同300億ユーロの購入をAPPの下で行う。2022年10月以降、政策金利の緩和的影響を強化するために、運営審議会はAPP下での純債券購入額を月額200億ユーロに維持することになるだろう。運営審議会はこの純債券購入が主要ECB政策金利を引き上げ始める直前に終了すると予想している。

運営審議会はAPP下で購入され、満期を迎えた債券には全額元本の再投資を継続していく意向である。(一部略)

主要なECB金利

主要な借り換え業務に関する金利や限界貸付金利、あるいは中銀への預金金利はそれぞれ0.00%、0.25%、▼0.50%で据え置いた。

対称的な2%インフレ目標と金融政策戦略に沿った支援では、運営審議会は、インフレが見通し期間の終わる前に十分2%に達するか、残りの予想期間でそのまま永続的になっているかであり、そしてインフレに基づくその進展が中期的に2%で安定したインフレと一致していると十分に進行しているのかを判断するまでの期間、主要ECB金利が現行水準かそれ以下で留まると予想している。これはまた、インフレが目標を緩やかに越える一時的な期間があることを含んでいる。

(借り換え業務TLTROVに関する項目は略)

運営審議会は、インフレが中期に亘り2%目標で安定出来る様に、適切かついずれの方向においても、全ての手段を調整する用意がある。
(以上)
(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。

また、ユーロスタッフによるGDP見直し、HICPインフレの予想が改定されました。

記者発表要旨

ECBの見通し改定は、2021年GDP及びHICP共に前回9月よりも上方修正されています。HICPは2023年までに亘り上方修正されました。但し、HICPは2023年からECB目標のインフレ2%に収まることになります。

記者発表要旨 2枚目の画像

(上表の出所:ECB HPから)

下図はユーロドルの日足チャートです。先週PMI時に添付した流れと変わっていません。先週の金曜日にユーロは大きく売られ丁度1.120サポートの手前で止まっています。
さて、下図は抵抗線A(=1.1500)から平行線に下したB(=1.1190)でユーロ安トレンドになっています。直近は底値からのサポートC(=1.1230)でやや切り上がりです。一方で11月末高値からの結んだ抵抗線D(=1.1360)があり、現在はCとDで保合い収斂を形成しています。今週はクリスマス休暇を控えているので、商いは薄くなっていますが、日足で見るとかなり収斂しているので、そろそろブレークして欲しいところです。Cを切ればBとダブルボトムの1.1185〜1.1190で止まるか。上値はDをこえるとCから平行に上げたE(=1.1380)があります。

記者発表要旨 3枚目の画像

(12月20日15:00、1ユーロ=1.1255ドル)

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