トルコリラ週報:『トルコ中銀の連続利下げリラ売り加速。史上最安値を大幅更新』(12/18朝)

トルコリラの対円相場は心理的節目8.00円および7.00円を割り込むと、週末にかけて、史上最安値6.62円まで急落しました。

トルコリラ週報:『トルコ中銀の連続利下げリラ売り加速。史上最安値を大幅更新』(12/18朝)

『トルコ中銀の連続利下げリラ売り加速。史上最安値を大幅更新』

〇今週のトルコ円、中銀の政策金利引き下げ強行で市場最安値6.62まで下落
〇トルコ政府インフレ対応で22年の最低賃金を50%引き上げ
〇トルコ円心理的節目7円を割り込み、下方向にテクニカルなサポート無し
〇ファンダメンタルズも、低金利長期化見込まれる等さらなる下落連想させる材料多い
〇トルコ円相場の続落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):6.00ー8.00

今週のレビュー(12/13−12/17)

今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初8.17円で寄り付いた後、早々に週間高値8.37円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、@新型コロナウイルス・オミクロン株に端を発した世界的なリスクオフ再燃や、A格付会社S&Pによる12/10の格付け見通し引き下げ(投資家心理の更なる悪化)、Bネバティ新財務相による「トルコは金利を引き上げない決意」との発言、Cエルドアン大統領による財務副大臣2名の更迭報道、Dトルコ中銀による政策金利の引き下げ決定(主要政策金利の1週間物レポレートを15.00%から100bp引き下げ14.00%へ。但し、声明文に「利下げの限定的な余地の利用は完了」と記述し、追加利下げの可能性を否定)、

E心理的節目8.00円および7.00円を割り込んだことに伴う短期筋のロスカット、F米FOMCのタカ派的な結果(新興国から米国への資本流出リスク)が重石となり、週末にかけて、史上最安値となる6.62円まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間12/18午前4時25分現在)では6.89円前後で推移しております。尚、トルコ政府は足元で広がるインフレリスクを考慮し、2022年の最低賃金を50%引き上げる方針を示しました。

来週の見通し(12/20−12/24)

トルコリラの対円相場は心理的節目8.00円および7.00円を割り込むと、週末にかけて、史上最安値6.62円まで急落しました。@ダウンサイドにサポートポイントが一つも見当たらない他(心理的節目8.00円を割り込んだことで真空地帯に突入)、A強い売りシグナルを示唆する三役逆転や、B弱気のパーフェクトオーダー、C弱気のバンドウォークも成立するなど、テクニカル的に見て地合いの弱さを決定づけるチャート形状となっております(対円・対ドル共に毎週のように史上最安値を更新)。ファンダメンタルズ的に見ても、@エルドアン・トルコ大統領による低金利政策の長期化懸念(声明文で追加利下げの可能性が排除されたものの、低金利政策が長期化する公算大)や、A米FRBによるタカ派スタンスへの明確な転換(米トルコ金融政策格差)、Bリラ安防衛能力の脆弱さ(トルコ中銀はリラ買い・ドル売り介入を続けているが、外貨準備余力が乏しいことから、為替介入は逆効果)、Cトルコ経済の先行き不透明感(スタグフレーション)、

D実質金利のマイナス幅拡大(エルドアン大統領の独自理論に基づき、トルコではインフレ加速に対して政策金利引き下げで対応→実質金利のマイナス幅急拡大→トルコリラ暴落)など、トルコリラ円相場の更なる下落を連想させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は12/21に予定されているトルコ12月消費者信頼感指数に注目が集まります。市場予想を下回る結果となれば、トルコ経済の先行き不透明感(インフレ加速でトルコ国民の不満が爆発→エルドアン大統領の求心力低下→政情不安発展への波及経路)を背景に、トルコリラがもう一段売り込まれる恐れも出てくるため、来週もダウンサイドリスクに注意を要する1週間となりそうです。

来週の予想レンジ(TRYJPY):6.00ー8.00

注:ポイント要約は編集部

『トルコ中銀の連続利下げリラ売り加速。史上最安値を大幅更新』

トルコリラ円日足

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