『トルコ中銀の連続利下げリラ売り加速。史上最安値を大幅更新』
〇今週のトルコ円、中銀の政策金利引き下げ強行で市場最安値6.62まで下落
〇トルコ政府インフレ対応で22年の最低賃金を50%引き上げ
〇トルコ円心理的節目7円を割り込み、下方向にテクニカルなサポート無し
〇ファンダメンタルズも、低金利長期化見込まれる等さらなる下落連想させる材料多い
〇トルコ円相場の続落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):6.00ー8.00
今週のレビュー(12/13−12/17)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初8.17円で寄り付いた後、早々に週間高値8.37円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、@新型コロナウイルス・オミクロン株に端を発した世界的なリスクオフ再燃や、A格付会社S&Pによる12/10の格付け見通し引き下げ(投資家心理の更なる悪化)、Bネバティ新財務相による「トルコは金利を引き上げない決意」との発言、Cエルドアン大統領による財務副大臣2名の更迭報道、Dトルコ中銀による政策金利の引き下げ決定(主要政策金利の1週間物レポレートを15.00%から100bp引き下げ14.00%へ。但し、声明文に「利下げの限定的な余地の利用は完了」と記述し、追加利下げの可能性を否定)、
E心理的節目8.00円および7.00円を割り込んだことに伴う短期筋のロスカット、F米FOMCのタカ派的な結果(新興国から米国への資本流出リスク)が重石となり、週末にかけて、史上最安値となる6.62円まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間12/18午前4時25分現在)では6.89円前後で推移しております。尚、トルコ政府は足元で広がるインフレリスクを考慮し、2022年の最低賃金を50%引き上げる方針を示しました。
来週の見通し(12/20−12/24)
トルコリラの対円相場は心理的節目8.00円および7.00円を割り込むと、週末にかけて、史上最安値6.62円まで急落しました。@ダウンサイドにサポートポイントが一つも見当たらない他(心理的節目8.00円を割り込んだことで真空地帯に突入)、A強い売りシグナルを示唆する三役逆転や、B弱気のパーフェクトオーダー、C弱気のバンドウォークも成立するなど、テクニカル的に見て地合いの弱さを決定づけるチャート形状となっております(対円・対ドル共に毎週のように史上最安値を更新)。ファンダメンタルズ的に見ても、@エルドアン・トルコ大統領による低金利政策の長期化懸念(声明文で追加利下げの可能性が排除されたものの、低金利政策が長期化する公算大)や、A米FRBによるタカ派スタンスへの明確な転換(米トルコ金融政策格差)、Bリラ安防衛能力の脆弱さ(トルコ中銀はリラ買い・ドル売り介入を続けているが、外貨準備余力が乏しいことから、為替介入は逆効果)、Cトルコ経済の先行き不透明感(スタグフレーション)、
D実質金利のマイナス幅拡大(エルドアン大統領の独自理論に基づき、トルコではインフレ加速に対して政策金利引き下げで対応→実質金利のマイナス幅急拡大→トルコリラ暴落)など、トルコリラ円相場の更なる下落を連想させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は12/21に予定されているトルコ12月消費者信頼感指数に注目が集まります。市場予想を下回る結果となれば、トルコ経済の先行き不透明感(インフレ加速でトルコ国民の不満が爆発→エルドアン大統領の求心力低下→政情不安発展への波及経路)を背景に、トルコリラがもう一段売り込まれる恐れも出てくるため、来週もダウンサイドリスクに注意を要する1週間となりそうです。
来週の予想レンジ(TRYJPY):6.00ー8.00
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
関連記事
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
南アランド円週報:『約1カ月ぶり安値を更新するなど上値の重い展開が継続中』(11/23朝)
南アランドの対円相場は、11/7に記録した約4ヵ月ぶり高値8.86円をトップに反落に転じると、今週前半にかけて、一時8.44円まで下落しました。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
トルコリラ円週報:『トルコ中銀は政策金利の据え置きを決定。一巡後の反発に期待』(11/23朝)
トルコリラの対円相場は、9/16に記録した史上最安値4.10円をボトムに切り返すと、11/15にかけて、約3カ月半ぶり高値4.56円(8/1以来の高値圏)まで上昇しました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
来週の為替相場見通し『トランプトレードと円キャリーの組み合わせがドル円を下支え』(11/23朝)
ドル円は、今週前半にかけて、一時153.28まで急落する場面が見られましたが、週末にかけては一転154円台後半へと持ち直す動きとなりました。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:上村 和弘
2021.12.20
トルコリラ円見通し 連日の史上最安値更新、株価指数もサーキットブレーカーが入る暴落(21/12/20)
トルコリラ円の12月17日は7.26円から6.57円の取引レンジ、18日早朝の終値は6.92円で前日終値の7.25円からは0.33円の円高リラ安となった。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:上村 和弘
2021.12.17
トルコリラ円見通し トルコ中銀は4会合連続の利下げを強行、最安値更新でリラ安止まらず(21/12/17)
16日にトルコ中銀が予想通りとはいえ4会合連続での利下げを強行したことで7.19円まで最安値を更新した。
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。