来週の為替相場見通し:『日米欧の金融政策イベント通過とクリスマス休暇突入で閑散相場か』(12/18朝)

ドル円は米FOMC後に一時114.28(約3週間ぶり高値圏)まで急伸するも、週末にかけて113.14まで反落する冴えない動きとなりました。

来週の為替相場見通し:『日米欧の金融政策イベント通過とクリスマス休暇突入で閑散相場か』(12/18朝)

『日米欧の金融政策イベント通過とクリスマス休暇突入で閑散相場か』

〇ドル円週央に114.28まで急伸、週末にかけ113.14まで反落するもFOMC後は113.72前後まで持ち直す
〇FOMCではテーパリングの加速決定、金利見通しも上方修正するなど総じてタカ派の内容
〇ユーロドルFOMC後安値1.1221まで下落後、材料出尽くしで週後半にかけて週間高値1.1361まで反発
〇その後は株式市場の軟調等に1.1258前後まで値を崩す展開
〇ドル円、112円台半ばに強力なサポートがあり、続落余地は乏しい
〇ファンダメンタルズもドル円相場のアップサイドリスクを意識させる材料が複数残る
〇ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(USDJPY):112.75ー114.75

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初113.28で寄り付いた後、@新型コロナウイルス・オミクロン株を巡る過度な悲観論の後退(米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長による「オミクロン株に特化したワクチンは現時点で必要ない」との発言)や、A中国政府による財政出動期待(中国共産党指導部は先週の中央経済工作会議で来年の最優先事項を「安定の確保」と指摘)、B上記@Aを背景とした株式市場の堅調推移(リスク選好の円売り再開)、C米11月生産者物価指数(結果9.6%、予想9.2%)の伸び率加速、D米FOMC(連邦公開市場委員会)のタカ派的な結果(※詳細後述)が支援材料となり、週央にかけて、週間高値114.28(約3週間ぶり高値圏)まで急伸しました。

しかし、買い一巡後に伸び悩むと、E主要国の政策金利イベント(米国・欧州・英国・日本)を通過したことに伴う材料出尽くし感や、F米中対立激化懸念(米政府による「ウイグル強制労働防止法案」の上下両院通過)、G株式市場の軟調推移(リスク回避の円買い再燃)、H米金利低下に伴うドル売り圧力が重石となり、週末にかけて、週間安値113.14まで反落しました。もっとも、一目均衡表雲下限に続落を阻まれると、Iウォラー米FRB理事による「3月FOMCでの利上げもあり得る」とのタカ派的な発言が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間12/18午前4時45分現在)では、113.72前後まで持ち直す動きとなっております。

※尚、今週発表された米FOMCは、(A)テーパリングの加速決定(1月より資産購入額の削減規模を 2 倍にし、テーパリングの終了時期を来年3月に設定)に加えて、(B)声明文から「一時的(transitory)」との文言を削除した他、(C)ドットチャートにおける政策金利見通しも上方修正(2022年末時点の政策金利見通しを0.90%、2023年末時点の政策金利見通しを1.6%へ引き上げ、各々年3回ずつの利上げを示唆)するなど、総じてタカ派的な結果となりました(FF金利先物市場は来年4月までの利上げ再開確率を90%織り込む展開)。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.1316で寄り付いた後、@欧米金融政策の方向性の違いに着目したユーロ売り・ドル買い圧力や、A欧州圏で広がる新型コロナウイルス感染拡大懸念(ユーロ圏各国による感染拡大防止策強化への警戒感→欧州経済の先行き不透明感。デギンドスECB副総裁も新型コロナウイルス検査で陽性反応)、Bウクライナ情勢を巡る地政学的リスク、C米FOMCを控えた警戒感、D米11月生産者物価指数の伸び率加速、E独IFO経済研究所による2022年成長率予測の大幅下方修正(9月時点の5.1%から3.7%へ下方修正)、F米FOMCのタカ派的な結果(米金利上昇→米ドル高)が重石となり、週央にかけて、週間安値1.1221まで下落しました。

しかし、11/24に記録した直近安値1.1185(約1年5ヶ月ぶり安値圏)をバックに下げ渋ると、G米FOMCを通過したことに伴う材料出尽くし感や、HECB理事会を通過した材料出尽くし感(ECB理事会はパンデミック緊急購入プログラムを2022年3月末に終了することを決定しつつも、APPを増枠することで金融政策に柔軟性を残した)、IECBによるインフレ見通しの大幅上方修正(2022年のHICP見通しを従来の+1.7%から+3.2%へ上方修正)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値1.1361まで反発しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、JラガルドECB総裁によるハト派的な発言(ECBが2022年中に利上げに踏み切る可能性は非常に低い)や、K株式市場の軟調推移(米中対立激化懸念→リスク回避のドル買い再開)、Lウォラー米FRB理事による「3月FOMCでの利上げもあり得る」とのタカ派的な発言が重石となり、本稿執筆時点(日本時間12/18午前4時45分現在)では、1.1258前後まで値を崩す展開となっております。

来週の見通し(12/20−12/24)

<ドル円相場>
ドル円は米FOMC後に一時114.28(約3週間ぶり高値圏)まで急伸するも、週末にかけて113.14まで反落する冴えない動きとなりました。とは言え、ダウンサイドには、強力なサポートとして意識される112円台半ばの支持帯(11/30安値112.53および12/3安値112.56と直近で二度止められたサポート水準)が控えているため、余程強いドル売り・円買い材料が出てこない限り、続落余地は乏しいと判断できます(ここからの更なる下落は容易ではない。底固めした後、再び上昇に転じるシナリオを想定。事実ドル円は引けにかけて113.70前後まで反発)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(予想以上にタカ派的な米FOMCに対して、金融緩和政策の継続姿勢を示したBOJ)や、A新型コロナウイルス・オミクロン株を巡る過度な悲観論の後退(年末にかけて株価が上昇するクリスマスラリーへの期待感)、B世界的なインフレリスク(日本以外の大半の国でインフレ加速→各国中銀が金融引き締めムードに転換する中、円が対主要通貨で弱含む恐れ)など、ドル円相場のアップサイドリスクを意識させる材料が複数残っております。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。但し、来週はクリスマス休暇突入に伴う市場参加者の減少と、年内最後の重要イベントであった主要国中銀(米国・英国・欧州・日本)の金融政策イベント通過に伴う材料出尽くし感の影響で、週を通して静かな動きとなりそうです(米第3四半期GDP改定値や、米12月コンファレンスボード消費者信頼感指数、米11月耐久財受注、米11月PCEデフレータなどが予定されているものの、ドル円相場の値幅は限られると予想。日米金融政策格差に着目した緩やかなドル高・円安を想定)。

来週の予想レンジ(USDJPY):112.75ー114.75

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は引き続き安値圏(1.1200−1.1400)でのレンジ相場が続いております(11/24に約1年5カ月ぶり安値となる1.1185を記録するも、その後は1.1300を挟んで方向感に欠ける値動きが継続)。但し、上方に複数のレジスタンスポイントを控えていること(一目均衡表雲が上方から垂れ下がってくること)、強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転や移動平均線のパーフェクトオーダー、ダウ理論の下落トレンドが成立していることなどを踏まえると、テクニカル的に見て地合いは弱いと判断できます(余程強いユーロ買い・ドル売り材料が出てこない限り、上値余地は限定的)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@欧米金融政策の方向性の違い(米テーパリングの加速および米利上げ前倒しが織り込まれた米国と、金融緩和に柔軟性を残した欧州との金融政策格差は歴然)や、A欧州経済を巡る先行き不透明感(欧州圏で新型コロナウイルスが拡大→欧州圏における行動制限再強化の思惑)、B北アイルランド議定書を巡る英国・欧州連合間の不確実性、Cウクライナを巡る地政学的リスクなど、ユーロドル相場の上値を抑制する材料が複数残っております。以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロドル相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は、ユーロ圏経済イベントに乏しく、また、クリスマス休暇入りに伴う市場参加者の減少や、主要国中銀の金融政策イベント通過に伴う材料出尽くし感が重なることから、軟調推移を想定しつつも値幅は限られたものに留まりそうです(11/24に記録した約1年5ヶ月ぶり安値1.1185に向けて緩やかに下落する展開を想定)。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.1175−1.1375

注:ポイント要約は編集部

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ドル円日足

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