トルコ中銀は4会合連続の利下げを強行、最安値更新でリラ安止まらず
〇12/16のトルコリラ円、7.19まで最安値を更新、その後戻りも鈍く安値圏にとどまる
〇対ドル、12/16深夜に15.73へ一段安、大幅に史上最安値更新、12/17朝も15.70近辺でほぼ横ばい推移
〇トルコ中銀、4会合連続で政策金利引き下げ、当面の利下げ終了の姿勢示す
〇連続利下げがストップするとしてリラが落ち着くのか、先安感からリラ安が止まらなくなるか試される
〇7.40以下での推移中は下向きとし、7.10割れからは7.00から6.70前後にかけてのゾーンを試すとみる
〇7.40から7.50にかけてのゾーンは、戻り売りにつかまりやすいとみる
【概況】
トルコリラ円の12月16日は7.72円から7.19円の取引レンジ、17日早朝終値は7.25円で前日終値7.70円から0.45円の円高リラ安となった。12月13日に付けた取引時間中の史上最安値安値7.73円を15日安値7.62円で割り込んでいたが、16日にトルコ中銀が予想通りとはいえ4会合連続での利下げを強行したことで7.19円まで最安値を更新した。その後の戻りも鈍く安値圏にとどまったままであり、日足は下ヒゲの目立たない大陰線となった。
【対ドルでも一段安、史上最安値を大幅に更新】
ドル/トルコリラの12月16日は15.73リラから14.77リラの取引レンジ、17日早朝の終値は15.66リラで前日終値14.78リラからは0.88リラのドル高リラ安となった。
高インフレ下での利下げ強行方針の継続を嫌気して12月15日深夜には14.83リラへ史上最安値を更新し、その後もほとんど戻せずに最安値圏にとどまっていたが、16日20時のトルコ中銀金融政策発表を控えて16時台から一段安に入り、利下げ決定を受けて16日深夜にこの日の安値となる15.73リラへ一段安となり、史上最安値を大幅に更新した。17日朝も15.70リラ近辺の安値圏でほぼ横ばい推移であり、当面のリラ売りを消化して利益確定での買い戻しから反騰入りする姿勢を示せずに安値更新を伺う位置取りでくすぶっている印象だ。
【トルコ中銀、政策金利を予想通りに14%へ引き下げ、当面の利下げ打ち止めを示唆】
トルコ中銀行12月16日の金融政策会合で主要政策金利を1.0%引き下げて週間レポレートを14.0%とした。4会合連続の利下げで9月に19.0%から18%へ引き下げてから今回の14.0%まで5.0%の引き下げとなった。一方でトルコの11月消費者物価指数は全体の前年比が21.31%へと上昇が続いており、政策金利が消費者物価上昇率を大幅に下回る実質マイナス金利幅も拡大している。
トルコ中銀は利下げ後の声明で「利下げ余地の行使を完了させることを決めた」と表明しており、当面の利下げを終了して1月会合では利下げをしない姿勢を示した。「限られた余地の利用は完了」という表現だったが、これまでの利下げ効果を2022年1-3月を通して監視するとし、利下げ余地が発生すればさらに低金利へ向かう可能性にも含みを持たせた。
エルドアン大統領は「来年の最低賃金を50%引き上げる」と発表。「最低給与は手取額で今年の月2826リラから月4250リラ(凡そ3万1100円)へ増額するとした。大統領は「過去50年で最大の賃上げだ」とアピールしているがリラ暴落による目減りと高インフレによる生活物資価格上昇が労働者の生活を脅かしている。11月には反政府デモも発生しており2023年の大統領選挙へ向けてエルドアン大統領の求心力低下もまぬかれないところか。
トルコ中銀は12月1日以降、リラ防衛のために市場介入を4回実施してきたがその効果は限定的で外貨準備高を減らす行為として却ってリラ売りを助長してきた。
ひとまず連続利下げがストップするとして当面の売り材料消化によりリラが落ち着けるのか、脆弱性をつかれて先安感からリラ安が止まらなくなるのか試されるところだ。一定のリバウンドがあったとしても戻り売りにつかまりやすいのではないかと思われる。
12月16日には英中銀、ノルウェー中銀、メキシコ中銀等が利上げしている。米連銀が量的緩和の早期終了と来年3回の利上げ姿勢を示していることを踏まえると、トルコ中銀が利下げを止めても他の中銀が利上げへ動けば相対的には中銀の脆弱性としてリラ売りが続きやすい。また物価上昇も止まず来年のトルコ消費者物価上昇率については前年比で30%を超えるのではないかとの悲観論もある。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月13日夕安値から13日深夜へ戻したものの早々に失速して14日午後には再び8円を割り込んだため、15日午前時点では13日深夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして16日夜から20日夜にかけての間への下落を想定した。
16日夜へ一段安となり17日午前序盤も安値圏にあるため引き続きボトム形成中とし、強気転換には7.50円を超える反騰が必要と思われる。
60分足の一目均衡表では12月13日夕高値からの下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落したが、その後も両スパン揃っての悪化が続いているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。遅行スパン好転からはいったん戻しに入るとみるがその際は先行スパンが上値抵抗帯となってくるのだろうと思われる。
60分足の相対力指数は10ポイント台へ低下してからも低水準で横ばいの推移のためまだ一段安余地ありとみる。40ポイントと前後へ戻してもその後に反落しやすい状況とし、反騰入りには50ポイントを超える上昇が必要と思われる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.10円を下値支持線、7.40円を上値抵抗線とする。
(2)7.40円以下での推移中は下向きとし、7.10円割れからは7.00円から6.70円前後にかけてのゾーンを試すとみる。6.70円以下は反騰注意とするが、7.40円以下での推移か、安値から0.30円以上の反騰がみられないうちは週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.40円から7.50円にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみる。
【当面の主な予定】
12月20日
23:30 11月 中央政府債務 (10月 226.9億リラ)
12月21日
16:00 12月 消費者信頼感指数 (11月 71.1)
注:ポイント要約は編集部
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トルコリラ円の12月15日は7.91円から7.62円の取引レンジ、16日早朝終値は7.70円で前日終値7.90円から0.20円の円高リラ安となった。
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