トルコリラ円見通し 対円、対ドルで史上最安値を更新、今晩トルコ中銀金融政策決定会合(21/12/16)

トルコリラ円の12月15日は7.91円から7.62円の取引レンジ、16日早朝終値は7.70円で前日終値7.90円から0.20円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し 対円、対ドルで史上最安値を更新、今晩トルコ中銀金融政策決定会合(21/12/16)

対円、対ドルで史上最安値を更新、今晩トルコ中銀金融政策決定会合

〇15日のトルコリラ円は7.91から7.62の取引レンジ、取引時間中、終値共に史上最安値更新
〇対ドルではFOMC後ドル全面安に流れ変わるもリラ買いの動き鈍く、深夜に14.83で史上最安値更新
〇今晩20時にトルコ中銀の金融政策委員会、市場予想通り政策金利14.0%へ利下げ強行か
〇7.85以下での推移中は下向き、7.60割れからは7.40前後への下落を想定
〇7.85超えからは8.00前後試し、7.90から8.00にかけては戻り売りにつかまりやすいとみる

【概況】

トルコリラ円の12月15日は7.91円から7.62円の取引レンジ、16日早朝終値は7.70円で前日終値7.90円から0.20円の円高リラ安となった。12月13日に付けた安値7.73円を割り込んで取引時間中の史上最安値を更新、14日に終値で8円を割り込んだがこの日も終値ベースでの最安値を更新した。
12月16日早朝の米FOMC声明発表からドルストレートはいったんドル高に振れてから早々にドル全面安へと流れが変わり、ドル円は当初のドル高局面で114円台へ到達した後に114円割れへ若干下げたもののクロス円の全面高を背景に114円割れを買われて確りしている。しかしトルコリラ円にはさほどの支援にならず、12月16日夜のトルコ中銀金融政策決定会合での追加利下げ予想もあって最安値圏にとどまっている。

【対ドルでは再び史上最安値に迫る14リラ台】

ドル/トルコリラの12月15日は14.83リラから14.35リラの取引レンジ、16日早朝の終値は14.78リラで前日終値の14.38リラからは0.40リラのドル高リラ安となった。
米連銀FOMCはインフレ進行を警戒してテーパリングの終了を来年3月とし、来年3回の利上げ予想を示した。従来までのインフレは一時的としてきた姿勢を改めてインフレ対策を主眼とした引き締め姿勢を鮮明にした。市場の予想通りだったために声明発表直後にいったんドル全面高となったものの数分で材料を消化し、インフレを伴いつつも景気回復は続くとしてNYダウが大幅上昇したことでリスク選好感が為替市場にも波及したためにドル全面安へと流れが変わった。しかし、16日夜に連続利下げの強行が予想されているためにリラ買いの動きは鈍く、12月15日深夜に14.83リラへ史上最安値を更新した後もほとんど戻せずに最安値圏にとどまり、16日午前序盤も最安値更新を伺う流れとなっている。

【今晩20時、トルコ中銀は予想通り利下げ強行か】

今晩20時にトルコ中銀のMPC(金融政策委員会)がある。市場の事前予想では政策金利の週間レポレートを現行の15.0%から14.0%へ引き下げるとみられる。市場予想レンジは13.0%への大幅利下げから15.0%での現状維持まで幅がある。
高インフレが続く中でエルドアン大統領は持論の「利下げがインフレを抑制し景気を回復させる」との利下げ政策を繰り返し強調し、その意を受けてトルコ中銀は9月23日に19.0%から18.0%へ利下げ、中銀の副総裁2名などを解任しつつ10月21日には16.0%へ利下げ、11月17日には大統領が「金利と戦う」と宣言して翌11月18日には15.0%へと3会合連続の利下げを強行した。消費者物価は前年比で20%を超え、生産者物価は50%を超える高インフレの進行が止まない中でも今回の追加利下げを強行する姿勢を崩していない。

カブジュオール中銀総裁は12月に利下げをした後はしばらく様子を見るとの姿勢を国内投資家との会合で述べているが、その通りになるのかどうかは疑わしい。12月1日からは中銀による市場介入も繰り返されているもののリラ安には歯止めがかからず、海外投資家のリラ放れ、国内投資家もリラからユーロやドルへの逃避を進めている。高インフレが低所得者の生活を直撃しており安いパン屋に大行列という報道もあり、11月には大統領批判の大衆デモも発生している。
今回の会合で利下げをした上で当面は打ち止めとする姿勢を示すのか、さらに利下げを継続してゆくのか、リラ暴落を見て利下げを見送るのかによって市場も上下へ大きく動くと思われるが、利上げを再開しないことにはリラ安基調も止まらないのではないかと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月13日夕安値から13日深夜へ戻したものの早々に失速し、14日午後には再び8円を割り込んだために15日午前時点では13日深夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして16日夜から20日夜にかけての間への下落を想定した。
16日朝へ続落基調のため引き続きボトム形成中とみる。16日夜のトルコ中銀政策金利発表から反騰入りする可能性、いったん急落してから下げ止まる可能性、大幅続落で底の見えない状況が続く可能性等が考えられるので臨機応変な対処としたい。

60分足の一目均衡表では12月13日夕高値からの下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落してその後も両スパン揃っての悪化が続いているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は10ポイント台まで低下したところからやや戻しているが、50ポイント以下での推移中は一段安警戒とする。相場が一段安する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行がみられる場合は反騰注意とするが、強気転換には50ポイントを超えて続伸する勢いが必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.60円を下値支持線、7.85円を上値抵抗線とする。
(2)7.85円以下での推移中は下向きとし、7.60円割れからは7.40円前後への下落を想定する。7.40円以下は反騰注意とするが、下げ足が速まる場合は7.20円前後へ下値目途を引き下げる。
(3)7.85円超えからは8.00円前後試しとするが、7.90円から8.00円にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみる。

【当面の主な予定】

12月16日
 20:00 トルコ中銀 金融政策決定会合 政策金利 (現行 15.00%、予想 14.0%)
 20:30 週次 外貨準備高(グロス) 12/10時点 (12/3時点 850億ドル)
12月20日
 23:30 11月 中央政府債務 (10月 226.9億リラ)
12月21日
 16:00 12月 消費者信頼感指数 (11月 71.1)

注:ポイント要約は編集部

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