ドル円見通し FOMC後に114円台到達、クロス円は全面高(21/12/16)

ドル円は、12月16日4時の米連銀FOMCでテーパリングの来年3月終了と来年3回の利上げ予想が示されるといったんドル高反応となりドル円は114.26円へ上昇した。

ドル円見通し FOMC後に114円台到達、クロス円は全面高(21/12/16)

FOMC後に114円台到達、クロス円は全面高

〇ドル円、FOMC結果発表後ドル高反応で114.26まで上昇、11/30深夜安値以降の高値更新
〇ドル高一巡後は全面安に流れが変化、114円割り込みその後はもみ合い推移に
〇15日のNYダウ前日比383.25ドル高、ナスダックも同327.94ポイント高と上昇
〇FOMC、量的緩和縮小ペース加速し22年3月に終了、2022年内に3回の利上げを予想
〇113.90を上回るうちは一段高余地あり、114.50超えからは114.75前後への上昇を想定
〇113.75割れからはいったん下落期に入るとみて113.50前後への下落を想定

【概況】

ドル円は12月8日夜高値113.95円で11月29日夜高値と同値まで戻してから上げ渋りとなっていたが、12月11日未明安値113.21円を起点に13日から15日夜にかけてはジリ高の推移を続けてきた。12月16日4時の米連銀FOMCでテーパリングの来年3月終了と来年3回の利上げ予想が示されるといったんドル高反応となりドル円は114.26円へ上昇して11月30日深夜安値112.52円以降の高値を更新したが、発表直後のドル高が一巡するとドル全面安へと流れが急激に変わり、ドル円も114円を割り込み、その後は114円を挟んだ揉み合いでの推移に入っている。

NY連銀による12月製造業景況指数は31.9となり25.0への低下予想に反して11月の30.9を上回った。米商務省による11月の小売売上高(自動車除く)は前月比0.3%増で市場予想の0.9%増を下回った。米労働省による11月の輸入物価は前月比0.7%上昇で市場予想と一致、輸出物価は前月比1.0%上昇で予想の0.5%を大幅に上回った。

【米長期債利回りは小幅な上昇、インフレ伴う景気拡大継続期待でリスク選好の株高ドル安】

12月15日のNYダウは前日比383.25ドル高と上昇、ナスダック総合指数も同327.94ポイント高と上昇した。米長期債利回りは総じて上昇したが小幅に留まり、10年債利回りは前日比0.02%高の1.46%、30年債利回りは0.03%高の1.86%、2年債利回りは0.01%高の0.67%だった。
米連銀が量的緩和による資産購入を3月に終了して利上げサイクルに入る姿勢を鮮明にしたが、過去最低水準にある現在の金利水準を踏まえれば3回の利上げでもなお低金利水準であること、インフレを伴った景気回復が継続して2023年には雇用回復も最大化するとの米連銀見通しは株式市場にとってはリスク選好的な先高期待を損なうものではないとして株買い債券売りとなった。また米長期債利回りも小幅な上昇にとどまったのは来年の利上げ想定を踏まえても長期金利が高騰してゆくというほどの受け止めにはならなかったことを示していると思われる。

為替市場ではFOMC声明発表直後にユーロ、ポンド、豪ドルなどが総じて急落したが、数分でドル高反応を消化すると反転上昇となり、声明発表時の水準を超えてドル全面安の様相へと転じた。ドル円もいったん上昇した後に失速したが、クロス円全般が急上昇に転じたことからの円安感もあり、米長期債利回りも小幅ながら上昇基調の範囲となったことで高値を付けた後の反落も小幅なものにとどまった印象だ。

【米FOMC、3月にテーパリング終了、2022年3回の利上げ予想】

米連邦準備制度理事会(米連銀=FRB)は16日早朝に連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を発表、政策金利を0.00〜0.25%で現状維持とし、米国債等を買い入れる量的緩和策の縮小ペースを加速させて2022年3月に終了させるとした。また2022年内に3回の利上げを想定するメンバー予想を示した。概ね市場の予想通りの結果でありサプライズ感はなかった。
FOMC声明ではこれまで繰り返してきた、「インフレは一時的」との文言を削除、量的緩和策の縮小ペースを月300億ドル減らして終了予想時期を従来の2022年6月から2022年3月へ前倒しした。また参加メンバーによる金利見通しにおける中央値は、9月時点の2022年に1回の利上げだったところから2022年に3回、2023年3回、2024年2回の利上げ予想として利上げが進むことを示した。

米連銀としてはパンデミック対策としての量的金融緩和及び実質ゼロ金利政策の長期化表明での景気刺激的な姿勢を終了し、インフレ進行が過度に進んで景気回復への悪影響になることを避けるために引き締め姿勢を強めたといえる。11月10日にバイデン米大統領がインフレ対策を最重要課題とすると表明し、その意を受けて11月22日にパウエル米連銀議長が来年2月の任期満了後も続投することが決定され、議長も米議会証言においてインフレは一時的なものとしてきた見解の撤回を表明していたが、今回のFOMCもこの流れに沿ったものといえる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、12月11日未明安値113.21円を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしたとしてトップ形成期を12月13日夜から15日深夜にかけての間と想定してきた。12月15日午前時点では16日未明のFOMCに対する反応次第で一段高へ進む可能性があるとしたが、16日早朝へ一段高した後も114円割れを買われて確りしているため、サイクルトップ形成期の延長入りによる上昇余地ありとみるが、113.75円割れからは弱気サイクル入りするとみて16日の日中から20日朝にかけての間への下落を想定する。ただし、いったん弱気サイクル入りした後に11月末以降の高値を更新するところからは新たな強気サイクル入りとなる点に注意する。

60分足の一目均衡表では12月14日夜の上昇時に遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いたがその後も両スパン揃っての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からはいったん下げに入るとみて安値試し優先とする。その際は先行スパンが下値支持帯になりやすいとみるが、先行スパン転落の場合は下げ足も早まる可能性があると注意する。

60分足の相対力指数は12月16日早朝の上昇で70ポイント台に到達しているため反落警戒圏に来ているが、60ポイント以上での推移中は一段高余地が残るとみる。相場が高値更新の際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落注意とし、50ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント台への低下へ向かうとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、113.75円を下値支持線、114.50円を上値抵抗線とする。
(2)113.90円を上回るうちは一段高余地ありとし、114.50円超えからは114.75円前後への上昇を想定する。114.70円以上は反落注意とするが、114円台を維持しての推移なら17日の日中も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)113.90円割れを弱気転換注意とし、113.75円割れからはいったん下落期に入るとみて113.50円前後への下落を想定する。113.50円以下は反発注意とするが、113.75円以下での推移なら17日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

12/16(木)
休場、南ア
日銀・金融政策決定会合初日
09:30 (豪) 11月 新規雇用者数 (10月 -4.63万人、予想 20.00万人)
09:30 (豪) 11月 失業率 (10月 5.2%、予想 5.0%)
17:30 (独) 12月 製造業PMI速報値 (11月 57.4、予想 56.8)
17:30 (独) 12月 サービス業PMI速報値 (11月 52.7、予想 51.0)
18:00 (欧) 12月 製造業PMI速報値 (11月 58.4、予想 57.8)
18:00 (欧) 12月 サービス業PMI速報値 (11月 55.9、予想 54.1)
18:30 (英) 12月 製造業PMI速報値 (11月 58.1、予想 57.6)
18:30 (英) 12月 サービス業PMI速報値 (11月 58.5、予想 57.0)

19:00 (欧) 10月 貿易収支・季調済 (9月 61億ユーロ、予想 58億ユーロ)
19:00 (欧) 10月 貿易収支・季調前 (9月 73億ユーロ、予想 76億ユーロ)
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 15.00%、予想 14.00%)
21:00 (英) 英中銀 政策金利 (現行 0.10%、予想 0.10%)
21:45 (欧) 欧州中銀 政策金利 (現行 0.00%、予想 0.00%)
22:30 (欧) ラガルド欧州中銀総裁、定例記者会見
22:30 (米) 11月 住宅着工件数・年率換算件数 (10月 152.0万件、予想 156.7万件)
22:30 (米) 11月 住宅着工件数 前月比 (10月 -0.7%、予想 3.1%)
22:30 (米) 11月 建設許可件数・年率換算件数 (10月 165.0万件、予想 166.3万件)

22:30 (米) 11月 建設許可件数 前月比 (10月 4.0%、予想 0.5%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 18.4万件、予想 20.0万人)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 199.2万人、予想 193.6万人)
22:30 (米) 12月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (11月 39.0、予想 30.0)
23:15 (米) 11月 鉱工業生産 前月比 (10月 1.6%、予想 0.7%)
23:15 (米) 11月 設備稼働率 (10月 76.4%、予想 76.8%)
23:45 (米) 12月 製造業PMI速報値 (11月 58.3、予想 58.5)
23:45 (米) 12月 サービス業PMI速報値 (11月 58.0、予想 58.5)
28:00 (メ) メキシコ中銀、政策金利 (現行 5.00%、予想 5.25%)

12/17(金)
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、政策金利 (現行 -0.10%、予想 -0.10%)
09:00 (NZ) 12月 ANZ企業信頼感 (11月 -16.4)
15:30 (日) 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
16:00 (独) 11月 生産者物価指数 前月比 (10月 3.8%、予想 1.4%)
16:00 (英) 11月 小売売上高 前月比 (10月 0.8%、予想 0.8%)
16:00 (英) 11月 小売売上高 前年同月比 (10月 -1.3%、予想 4.2%)
16:00 (英) 11月 小売売上高・除自動車 前月比 (10月 1.6%、0.8%)

16:00 (英) 11月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (10月 -1.9%、予想 2.3%)
18:00 (独) 12月 IFO企業景況感 (11月 96.5、予想 95.2)
19:00 (欧) 10月 建設支出 前月比 (9月 0.9%)
19:00 (欧) 10月 建設支出 前年同月比 (9月 1.5%)
19:00 (欧) 11月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 4.9%、予想 4.9%)
19:00 (欧) 11月 消費者物価コア指数改定値 前年同月比 (速報 2.6%、予想 2.6%)

注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る