トルコリラ円見通し 終値ベースで8円を割り込み対ドルでも再び14リラ台(21/12/15)

トルコリラ円の12月14日は8.23円から7.84円の取引レンジ、15日早朝の終値は7.90円で前日終値の8.21円から0.31円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し 終値ベースで8円を割り込み対ドルでも再び14リラ台(21/12/15)

トルコリラ円見通し 終値ベースで8円を割り込み対ドルでも再び14リラ台

〇トルコリラ円、12/14は8.23から7.84の取引レンジ、リラ売り止まず終値ベースで最安値更新
〇ドル/トルコリラ、12/14は14.42から13.78の取引レンジ、15リラ台への暴落は時間の問題との見方も
〇トルコ11月住宅販売好調、住宅購入に伴う外貨流入も顕著
〇スイスUBSがドル/トルコリラのカバー取引停止、市場介入ではリラ暴落阻止に限界も
〇予想通り政策金利引き下げか、さらなる利下げ継続姿勢を強行か、16日トルコ中銀の会合に注目
〇8.00以下での推移中は下向きとし、7.80割れからは7.60前後への下落を想定する
〇8.00を超える場合は8.10前後への上昇とその後の反落を想定する

【概況】

トルコリラ円の12月14日は8.23円から7.84円の取引レンジ、15日早朝の終値は7.90円で前日終値の8.21円から0.31円の円高リラ安となった。
高インフレ下での連続利下げ強行と先行きの利下げ継続姿勢を嫌気してトルコリラは通貨危機的な暴落に見舞われており、トルコリラ円は12月13日安値で7.73円を付けて史上最安値を更新した。トルコ中銀による12月1日以降で4回目となる市場介入とエルドアン大統領がトルコ中銀総裁らと緊急会合を開くとの報道からいったんは8円台へ買い戻されていたが、12月16日のトルコ中銀金融政策決定会合も迫る中でリラ売りは止まず、14日は取引時間中の最安値更新には至らなかったものの終値ベースでは12月10日終値の8.16円を割り込んで最安値を更新して7円台にとどまったまま終了している。

【対ドルでは再び史上最安値に迫る14リラ台】

ドル/トルコリラの12月14日は14.42リラから13.78リラの取引レンジ、15日早朝の終値は14.38リラで前日終値の13.79リラからは0.59リラのドル高リラ安となった。
12月13日に14リラの壁を超えたところから暴落に拍車がかかり14.61リラへ史上最安値を更新、その後は中銀の市場介入などを見ていったん往って来いの水準まで反騰して前日比でもプラス圏まで持ち直したが、リラ売り攻勢は止まず、14日は取引時間中の最安値更新は回避したものの終値ベースでは14リラ台のままで最安値を更新し、安値からの反発も見られずに日足はほとんどヒゲのつかない大陰線で終了した。市場では15リラ台への暴落も時間の問題とされ始めている印象だ。

【インフレでトルコの住宅販売は好調】

トルコでは高インフレが続く中で住宅価格も高騰しており、インフレヘッジや投機目的での住宅販売が好調で11月は前年比で59%増となった模様。利下げにより銀行からの借り入れ金利も下がっていることも後押ししているようで住宅ローンも11月は前年比61%増の伸びとなったようだ。
また外国人にとってはリラ暴落によりトルコ住宅物件の割安感が強まっているために投資目的やリゾート向けとして住宅購入が活況となっており、住宅購入に伴う外貨の流入も顕著となっているようだ。11月の外国人による住宅購入は過去最高となった模様だ。
エルドアン大統領による「利下げによる景気刺激」の効果は確かにあるだろう。しかし通貨暴落によるインフレ進行がゆがんだ住宅価格高騰をもたらせば、富裕層には投資のチャンスであっても庶民にとっては生活を圧迫するもの以外にはなりえないだろう。

【UBSがドル/トルコリラのカバー取引を停止】

スイスのUBSはドル/トルコリラ取引のカバーを停止すると発表した。11月に入ってからトルコリラ円は12円台から7円台までの暴落、ドル/トルコリラも11月1日に9.53リラだったところから14リラ台へ暴落しており、通常の取引レベルを超えたボラティリティで先行きの見通しも不透明な状況にある中では外貨取引のカバー先としての銀行も対応に苦慮することになる。
海外投資家にとってはリラ売りを仕掛け、トルコ国内投資家はリラからユーロやドルなどのハードカレンシーや安全資産としてのゴールドなどへ逃避する動きも活発化してくると思われる。
エルドアン政権が今後も利下げ継続姿勢を続ける中でリラ暴落を阻止するとすれば、ドル売りリラ買いの市場介入は限界もあるため、外貨取引への規制強化で身動きを採り難くすることしか残されていないかもしれない。
12月16日にトルコ中銀は市場予想通りに政策金利を現行の15%から14%へ引き下げるのか、引き下げた後に当面の利下げ打ち止め姿勢を示すのか、利下げ継続姿勢を強行に示すのかにより、リラ暴落がいったん収まるのか、通貨危機的な状況へと深刻化してゆくのか、明暗も分かれるのだろうと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月8日未明高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして9日夕から13日夕にかけての間への下落を想定してきたが、12月13日夕刻に一段安してから急反騰したため、14日午前時点では13日夕安値を直近のサイクルボトムとした。また高値形成期は12月8日未明高値を基準として11日未明から15日未明にかけての間と想定されるので既に反落注意期にあるとし、8円を再び割り込む場合は新たな弱気サイクル入りとなる可能性が警戒されるとした。
12月13日夕高値からの反落で8円を割り込んできているので現状は新たな弱気サイクル入りとして16日夜から20日夜にかけての間への下落を想定する。反騰入りには8円台回復からさらに急騰するような上昇が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では12月13日夕高値からの下落が続いて遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落しているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は12月13日夕高値からの下落が続いて30ポイント台へ低下している。50ポイント以下での推移中は一段安余地ありと、30ポイント割れからは10ポイント台への低下へ進むとみる。強気転換は50ポイント超えからとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.80円を下値支持線、8.00円を上値抵抗線とする。
(2)8.00円以下での推移中は下向きとし、7.80円割れからは7.60円前後への下落を想定する。7.60円以下は反騰注意とするが、8円以下での推移が続くうちは16日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。また下げ足が速まる場合は7.50円前後へ下値目途を引き下げる。
(3)8.00円を超える場合は8.10円前後への上昇とその後の反落を想定する。

【当面の主な予定】

12月15日
 17:00 11月 財政収支 (10月 -174.1億リラ)
12月16日
 20:00 トルコ中銀 金融政策決定会合 政策金利 (現行 15.00%)
 20:30 週次 外貨準備高(グロス) 12/10時点 (12/3時点 850億ドル)
12月20日
 23:30 11月 中央政府債務 (10月 226.9億リラ)
12月21日
 16:00 12月 消費者信頼感指数 (11月 71.1)


注:ポイント要約は編集部

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