トルコリラ円見通し 7円台へ史上最安値を更新、対ドルでは14リラ台へ最安値更新(21/12/14)

トルコリラ円の12月13日は8.32円から7.73円の取引レンジ、14日早朝の終値は8.21円で先週末終値8.16円からは0.05円の円安リラ高となった。

トルコリラ円見通し 7円台へ史上最安値を更新、対ドルでは14リラ台へ最安値更新(21/12/14)

トルコリラ円見通し 7円台へ史上最安値を更新、対ドルでは14リラ台へ最安値更新

〇トルコリラ円、12/13午後8円を割り込み7.73まで最安値を更新、その後買い戻され持ち直す
〇ドル/トルコリラ、12/13午後14.61まで史上最安値を更新するも、夜13.64まで反騰
〇トルコ中銀、12/13に12/1以降四度目の市場介入、エルドアン大統領は中銀総裁らと緊急会合との報道
〇12/16の中銀金融政策、トルコ中銀の利下げに対する姿勢注目される
〇8.10以上での推移中は上昇余地あり、8.32を超える場合は8.35から8.40のゾーンを試すとみる
〇8.10割れからは下げ再開を疑い8.00試しとし、下げ足が速まる場合は8.05前後へ向かう流れとみる

【概況】

トルコリラ円の12月13日は8.32円から7.73円の取引レンジ、14日早朝の終値は8.21円で先週末終値8.16円からは0.05円の円安リラ高となった。
12月13日午後からの下落で8円を割り込み7.73円まで最安値を更新したが、トルコ中銀による12月1日以降四度目の市場介入発表、その後にエルドアン大統領とトルコ中銀総裁らが緊急会合を開くとの報道により何等かの対策が採られるのではないかとの警戒感から買い戻されて前日比ではプラス圏まで持ち直した。
日足は長い下ヒゲをつけた陰線であり、リラ反騰への強気材料が提供されれば「タクリ足」による切り返しへと進む可能性も考えられるが、13日の下ヒゲをつぶすような下落となれば「タクリ足」効果も消えて一段安へと進みかねないところ。まだ底の見えない状況だ。

【対ドルでは史上最安値を更新】

ドル/トルコリラの12月13日は14.61リラから13.64リラの取引レンジ、14日早朝の終値は13.79リラで先週末終値の13.87リラからは0.08リラのドル安リラ高となった。安値については14.75リラまで下げたとの報道もある。
12月13日午後に13.82リラ近辺で推移していたところ、15時台後半に14リラ台へ急落したところからリラ売りの連鎖となり14.61リラまで史上最安値を更新したが、中銀の市場介入報道、エルドアン政権や中銀による対応を警戒しての巻き戻しとなり23時台には13.64リラまで反騰した。その後は13.81リラを挟んでほぼ横ばいの推移となっている。
12月3日に13.89リラの史上最安値を付けた後は14リラ台へ進むには時期尚早として新たな最安値更新を回避していたが、13日は堤防決壊的な動きで急落した。12月16日にトルコ中銀金融政策決定会合が控えているため、やや急激で過剰なリラ安だったとしていったんは戻したが、先安感は根強く、リラ売り材料やテクニカル面でのタガが外れると暴落的な流れへ一挙に進みやすい状況にあることを示した印象だ。

【トルコ中銀は四度目の市場介入、大統領と中銀総裁が緊急会合】

12月10日にS&Pがトルコの長期債格付け見通しを従来の「安定的」から「ネガティブ」へ変更したこと、12月16日に追加利下げが強行されるとの見方からリラ売りが加速したと思われる。
大手格付け会社S&Pグローバル・レーティングは12月10日にトルコの外貨建て長期債格付けを「B+」、自国通貨建て長期債格付けを「BB−」にそれぞれ据え置いたものの見通しについては従来の「安定的」から「ネガティブ」に変更している。

トルコ中銀は12月13日に対ドルで14リラ台へと急落したところで12月1日以降四度目の市場介入を行った。3回目までの介入規模は総額で25億ドル規模とされるが、12月13日の介入規模は15〜20億ドル規模との見方や25億ドルに近かったとの見方もあるようだ。
市場介入の報道後、エルドアン大統領はトルコ中銀のカブジュオール総裁や財務相、国有銀行頭取らと緊急会合を持ったと報じられている。
12月16日のトルコ中銀金融政策決定会合では、4会合連続の利下げで政策金利の週間レポレートが現行の15%から14%へ引き下げられるのではないかと予想されているが、リラ暴落を踏まえて追加利下げを踏み止まるのか、利下げを強行してからしばらくは据え置くと宣言するのか、利下げ継続の宣言で市場に挑むのか注目される。
トルコ中銀は12月10日に年末時点の見通しとして、年間インフレ率予想を23.85%として11月時点の19.31%から大幅に上方修正し、為替水準については1ドル=13.77リラとして11月時点の1ドル=9.94リラから引き下げている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月6日夕安値から7日夜へ戻したところからの失速により12月9日午前時点では12月8日未明高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして9日夕から13日夕にかけての間への下落を想定してきた。
12月13日夕刻に一段安してから急反騰しているため、13日夕安値で直近のサイクルボトムを付けたと思われる。高値形成期は12月8日未明高値を基準として11日未明から15日未明にかけての間と想定されるので既に反落注意期にあるため、8円を再び割り込む場合は新たな弱気サイクル入りとなる可能性が警戒される。

60分足の一目均衡表では12月13日夕刻の急落からの反騰により遅行スパンは好転したが、先行スパンを一時的に超えた後は先行スパン内に潜り込んでいる。乱調な展開のため、8.10円以上での推移中は上昇余地ありとし、12月13日深夜高値8.32円を超える場合は遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、8.10円割れからは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は12月13日夕刻に10ポイント台序盤へ急落してから60ポイント台へ急反騰した。その後も50ポイント以上を維持しているのでまだ上昇余地が残るが、50ポイント割れを弱気転換注意、40ポイント割れからは下げ再開とみて再び10ポイント台を目指す流れと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.10円を下値支持線、8.32円を上値抵抗線とする。
(2)8.10円以上での推移中は上昇余地ありとし、8.32円を超える場合は8.35円から8.40円にかけてのゾーンを試すとみるがそこは反落警戒圏とみる。
(3)8.10円割れからは下げ再開を疑い8.00円試しとし、下げ足が速まる場合は8.05円前後へ向かう流れとみる。

【12月13日の結果】

 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 8.9%、結果 8.5%)
 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 -1.5%、結果 0.6%)
 10月 小売売上高 前年同月比 (9月 15.9%→17.2%、結果 15.2%)
 10月 小売売上高 前月比 (9月 1.2%→1.8%、結果 0.9%)
 10月 経常収支 (9月 16.52億ドル→16.74億ドル、結果 31.56億ドル)

【当面の主な予定】

12月15日
 17:00 11月 財政収支 (10月 -174.1億リラ)
12月16日
 20:00 トルコ中銀 金融政策決定会合 政策金利 (現行 15.00%)


注:ポイント要約は編集部

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