ドル円見通し オミクロン株死者報道からリスク回避の動きだが、FOMC前で小動き
〇ドル円、12/13夜に113.72まで戻したが深夜113.36まで小反落、その後は113.50を挟んでの小動き
〇英国でのオミクロン株死者報道からリスク回避の動きだが、FOMC前のため小動きにとどまる
〇NYダウ・ナスダックともに下落、株売り債券買いにより米長期債利回りは総じて低下
〇パウエルFRB議長が「インフレは一時的」との見解を撤回、FOMCでどの程度姿勢が変化するか注目
〇感染拡大続くオミクロン株、軽症で済まない可能性が浮上し金融市場全般にも暗い影
〇113.79を下回るうちは一段安余地ありとし、113.21割れからは113.00前後試しを想定する
〇113.79超えからは12/8夜高値113.95試しとし、高値更新からは114円台序盤を目指す流れとみる
【概況】
ドル円は113.50円を挟んでの小動きとなっている。先週末11日未明に113.21円まで下げたところから13日夜には113.72円まで戻していたが、英国でのオミクロン株感染者の死亡が確認されたとの報道から為替市場全般がリスク回避に動いてドルストレートではドル高、クロス円では円高となり、ドル円は深夜に113.36円まで小反落、その後は113.50円を挟んでの小動きとなっている。
11月26日にオミクロン株発生が報道された当初には過剰な悲観的な動きに走り、12月6日からはやや悲観し過ぎとして買い戻されていたが、まだ発生から1か月も経過していないためにオミクロンへの評価も錯綜する。初の死者報道でNYダウが下落、株売り債券買いで米長期債利回りは低下、ドル円にはクロス円でのリスク回避的な円高と米長期債利回り低下での売り圧力がかかったが、12月16日未明に声明発表が予定されるFOMC前ということもあり小動きにとどまった印象だ。
【NYダウ反落、米10年債利回り低下】
12月13日のNYダウは前日比320.04ドル安と下落した。11月8日に史上最高値3万6565.73ドルから12月1日安値3万4006.98ドルまで大幅下落したところからオミクロン株への悲観後退によりV字反騰に入り12月10日には3万5982.69ドルまで切り返していたのだが、初のオミクロン株死者報道から反落した。ナスダック総合指数も前日比217.32ポイント安と下落した。
株売り債券買いにより米長期債利回りは総じて低下、指標の米10年債利回りは先週末比で0.07%低下の1.42%となった。12月3日に1.33%まで低下したところから12月8日に1.53%まで戻していたが、13日は1.50%台からの急落となった。2年債利回りも12月10日に0.73%を付けて年初来最高水準としていたところから反落していたが、13日は先週末比0.02%低下の0.64%まで続落となった。
米連銀のFOMCが14-15日の日程で開催され、日本時間16日未明には声明発表と議長会見がある。テーパリングの早期終了と利上げ想定時期の前倒しが予想されるところであり、従来までの「インフレは一時的」としてきた米連銀の見解について先の議会証言でパウエル議長が撤回、インフレ対策に軸足を置く姿勢を示したことで今回はどの程度の姿勢変化がみられるか注目されている。オミクロン株死者報道の続報と共にFOMCのスタンスを見定めたいところだ。
【オミクロン株への楽観薄れる】
英国のジョンソン首相は12月13日、少なくとも1名がオミクロン株感染で死亡したと発表した。オミクロン株発生が報じられた11月25日以降では初の死者となる。BBCによれば英国では12月12日までに3100人以上のオミクロン株感染が確認されている。日々倍増のペースでの感染力との報道もあり、検査が追い付かずに実際の感染者は無症状者も含めて公式発表よりも相当に多い可能性も指摘されている。
来年2月に冬季五輪が開催される北京に近い中国天津市で中国本土初のオミクロン株感染者1人が確認されたと現地で報道された。海外からの入国者とされ詳細は不明だが、感染抑制への対応が他国と比較して極めて厳しい中国での規制強化への動きが景気回復の腰折れにつながる可能性も警戒される。
世界保健機関(WHO)は12月12日にオミクロン株に対するワクチンの効果が従来株に比べ低くなっている可能性があるとの公式見解を発表した。ワクチンの有効性についての報道も錯綜しているが、ワクチン・スルーで感染力が極めて高いことは周知だが、軽症や無症状だけでは済まない可能性が浮上したことは金融市場全般にも暗い影を落とすものだ。12月14日早朝時点で世界の感染確認国は65か国に拡大している。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、11月30日夜安値と12月4日未明安値をダブルボトムとして強気サイクル入りしていたが、12月8日夜高値でサイクルトップを付けて下落した。12月4日未明安値から4日目となる12月10日夜安値からいったん戻して11日未明へ安値を更新しているので、既に12月10日夜高値でサイクルトップを付けて新たな弱気サイクル入りしている可能性もある。このため11日未明安値を割り込まないうちは11日未明安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして14日の日中から15日深夜にかけての間への上昇を想定するが、11日未明安値を割り込む場合は10日夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして14日夜から16日深夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では113.50円を挟んでの揉み合いが続いているため両スパン共に実線と交錯を繰り返して方向感に欠ける。10日夜高値超えからは遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、10日夜高値を超えないうちは一段安注意とし、両スパン揃っての悪化中は安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は113.50円を挟んだ揉み合いのため50ポイントを挟んで60ポイント台では売られ40ポイント前後では買われている。40ポイントを割り込む場合は揉み合いから安値試しへ移行し始めるとみて30ポイント割れを試す流れとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、113.21円を下値支持線、113.79円を上値抵抗線とする。
(2)113.79円を下回るうちは一段安余地ありとし、113.21円割れからは113.00円前後試しを想定する。下げ足が速まる場合は112.50円を目指す可能性もあるとみる。また113.30円以下での推移なら15日の日中も安値試しを続けやすいとみる。
(3)113.79円超えからは12月8日夜高値113.95円試しとし、高値更新からは持ち合い上放れに入るとみて114円台序盤(114.05円から114.30円)を目指す流れとみる。114.20円以上は反落注意とするが、113.95円を超えた後も113.70円以上での推移なら15日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
12/14(火)
米連邦公開市場委員会(FOMC)初日
09:30 (豪) 11月 NAB企業景況感指数 (10月 11)
13:30 (日) 10月 鉱工業生産・確報 前月比 (速報 1.1%)
13:30 (日) 10月 鉱工業生産・確報 前年同月比 (速報 -4.7%)
13:30 (日) 10月 設備稼働率 前月比 (9月 -7.3%)
16:00 (英) 11月 失業保険申請件数 (10月 -1.49万件)
16:00 (英) 11月 失業率 (10月 5.1%)
16:00 (英) 10月 失業率・ILO方式 (9月 4.3%、予想 4.2%)
19:00 (欧) 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 -0.2%、予想 1.2%)
19:00 (欧) 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 5.2%、予想 3.2%)
22:30 (米) 11月 生産者物価指数 前月比 (10月 0.6%、予想 0.5%)
22:30 (米) 11月 生産者物価指数 前年同月比 (10月 8.6%、予想 9.2%)
22:30 (米) 11月 生産者物価コア指数 前月比 (10月 0.4%、予想 0.4%)
22:30 (米) 11月 生産者物価コア指数 前年同月比 (10月 6.8%、予想 7.2%)
12/15(水)
06:45 (NZ) 7-9月期 経常収支 (4-6月 -13.96億NZドル、予想 -80.13億NZドル)
08:30 (豪) 12月 ウエストパック消費者信頼感指数 (11月 105.3)
11:00 (中) 11月 小売売上高 前年同月比 (10月 4.9%、予想 4.8%)
11:00 (中) 11月 鉱工業生産 前年同月比 (10月 3.5%、予想 3.8%)
13:30 (日) 10月 第三次産業活動指数 前月比 (9月 0.5%、予想 1.2%)
16:00 (英) 11月 消費者物価指数 前月比 (10月 1.1%、予想 0.4%)
16:00 (英) 11月 消費者物価指数 前年同月比 (10月 4.2%、予想 4.8%)
16:00 (英) 11月 消費者物価コア指数 前年同月比 (10月 3.4%、予想 3.7%)
16:00 (英) 11月 小売物価指数 前月比 (10月 1.1%、予想 0.3%)
16:00 (英) 11月 小売物価指数 前年同月比 (10月 6.0%、予想 6.7%)
22:30 (米) 12月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (11月 30.9、予想 25.0)
22:30 (米) 11月 小売売上高 前月比 (10月 1.7%、予想 0.8%)
22:30 (米) 11月 小売売上高・除自動車 前月比 (10月 1.7%、予想 0.9%)
22:30 (米) 11月 輸入物価指数 前月比 (10月 1.2%、予想 0.8%)
22:30 (米) 11月 輸出物価指数 前月比 (10月 1.5%、予想 0.5%)
24:00 (米) 10月 企業在庫 前月比 (9月 0.7%、予想 1.1%)
24:00 (米) 12月 NAHB住宅市場指数 (11月 83、予想 84)
28:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC) 政策金利 (現行 0.00-0.25%、予想 0.00-0.25%)
28:30 (米) パウエル米連銀議長、定例記者会見
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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