トルコリラ円レポート月曜版
〇先週のトルコリラ円、安値8.08レベル高値8.41レベル、中銀会合前に積極的取引手控えられ膠着
〇S&P格付け見通し引き下げ、高インフレ下での利下げ実施、22年トルコインフレ率30%に達するとする
〇16日中銀会合で1%利下げの場合、政策金利14%、実質金利はコアCPIと比べ−3.6に
〇この状況下での追加利下げ、トルコリラ続落の材料になり得る
〇今週は8円の大台を下抜け7.50レベルをサポートに、8.50レベルをレジスタンスとする週とみる
今週もトルコリラ円となります。
最近トルコリラばかりをメインで扱っていますが、今週の金融政策ウィークにはトルコ中銀も含まれていることを考えると今週もトルコリラを扱わざるを得ないところです。
まず、先週の振り返りですが、「大台を下抜け7.50レベルをサポートに、8.75レベルをレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が8.08レベル、高値が8.41レベルとなり、予想レンジよりもかなり狭い値幅でトルコリラ安値圏での膠着相場となりました。
先週のトルコリラは、3週連続でトルコリラ大幅安が繰り返される中で警戒感が高まってのスタートではありましたが、FOMCでのテーパリング加速と利上げ前倒し見通しがコンセンサスとなる中でトルコ中銀は1%の追加利下げが予想されていること、またトルコリラ安局面で中銀が直接介入を行ってきたことの効果が全く見られないことからトルコリラの上値は着実に重たくなっていました。しかし、今週16日の中銀会合を前に積極的な取引が手控えられたことにより膠着していたという一週間でした。
今週も金曜のNY引け頃にS&Pが格付け見通しを安定的からネガティブとしたことで週明け相場には警戒感が高まりましたが、今のところは膠着のまま動いていません。S&Pは見通しを引き下げた際にトルコが高いインフレにも関わらず利下げを行っていることから2022年の早い段階でトルコのインフレ率が30%に達するとしました。
ちなみに前回(12月3日発表)のCPIは21.31%、コアCPIは17.6%と上昇中ですから、今週予想通りに1%の利下げを行うと、政策金利は14%となり実質金利は中銀が参照するコアCPIと比べてもー3.6%にも達します。この状況下での追加利下げはトルコリラ続落の材料になるとしか思えません。
本邦個人投資家の買いポジション自体は減って来てはいるものの、いまだ高水準で水準的にも高いコストでの買いポジションが残っていることを考えると将来的にストップオーダーとして出てくる可能性もありますし、利下げによるインフレが深刻になれば格付け引き下げにもつながってくるでしょう。現時点ではトルコリラを買う材料は見当たりません。
先週執筆時点では現状維持を見込んでいたのですが、エルドアン大統領は依然として中銀への利下げ圧力を緩めないため、トルコリラ自滅の利下げとなりそうです。
テクニカルには週足チャートから見て行きましょう。
以前も見た2018年11月末高値を起点とした逆N波動(ピンク)ですが、次のターゲットは78.6%(61.8%の平方根)エクスパンションの7.37となっていて、今週の中銀利下げ後は同水準を試しに行く可能性を考えざるを得ない状況です。
いつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)もご覧ください。
先週の膠着で下降チャンネルはワークしなくなったため消しましたが、次の下げで新たな下降チャンネルを形成しに行く展開をイメージしています。また上値はこれといったターゲットは無いため、先週高値の8.41から節目としての8.50といった水準では戻り売りが出やすくなってくると言えそうです。
先週の膠着がどうも嵐の前の静けさのような気がしてならず、今週はトルコリラ安の動きを再開する可能性が高そうです。トルコ中銀の介入も並行して出てくる可能性はありますが、もはやトルコリラ安の勢いを緩やかにする程度のものでしょう。
今週は8円の大台を下抜け、次の節目でもありテクニカルなターゲットにも近い7.50レベルをサポートに、8.50レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
注:ポイント要約は編集部
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