ドル円見通し 113円台中盤での持ち合い、FOMC前で小動き続く(21/12/15)

12月14日夜は米11月PPI上昇率が予想を大幅に上回りドル高反応も見られたが、16日未明に政策発表のある米FOMCを控えたところのためドル円の反応は動意に欠けた。

ドル円見通し 113円台中盤での持ち合い、FOMC前で小動き続く(21/12/15)

ドル円見通し 113円台中盤での持ち合い、FOMC前で小動き続く

〇ドル円、113.50挟んだ持ち合いでの推移、16日未明米FOMC控え動意に欠ける
〇FOMC後、114円超え上昇感強めるか、113円割れから下落再開感強まるか試される局面
〇米11月PPI上昇率予想大幅超え、米連銀早期テーパリング終了と利上げ時期前倒しに寄与し得る
〇NYダウ続落、米長期債利回り小幅上昇、英国でのオミクロン株死者発生報道から反騰にブレーキ
〇113.95を下回るうちは一段安余地ありとし、113.21割れからは113.00前後試しを想定する
〇114円超えからは114.30から114.70円を目指す上昇を想定する

【概況】

ドル円は12月8日夜高値113.95円で11月29日深夜高値と同値としたところから12月11日未明安値113.21円へ下落したが、13日朝からはややジリ高の推移を続けている。しかし、14日夕刻と15日早朝に113.75円を付けて13日夕高値113.72円をわずかに上抜いた程度であり、12月7日以降の113.50円を中心とした狭いレンジでの持ち合い状態から抜け出せずにいる。
12月14日夜は米11月PPI上昇率が予想を大幅に上回ったことで米連銀によるタカ派シフトへの見方が強まってドル高反応も見られたが、12月16日未明に政策発表のある米FOMCを控えているためドル円の反応は動意に欠けた。FOMC後に114円を超えて上昇感を強めるか、113円割れからの続落で下落再開感が強まるのか試されるところだ。

【米PPI上昇率は予想を超えてインフレ継続感強める】

12月14日夜に米労働省が発表した11月の生産者物価指数の上昇率は前月比で0.8%となった。市場予想では10月の0.6%から0.5%へ若干の鈍化が見込まれていたが予想以上の伸びとなった。前年同月比は9.6%となり10月の8.8%(速報の8.6%から上方修正)及び市場予想の9.2%を大幅に上回ったが、伸び率としては2010年以降で最大となった。エネルギーと食料品を除いたコア指数の伸び率は前月比で0.7%となり市場予想及び10月の0.4%から大幅に加速し、前年同月比は7.7%で市場予想の7.2%及び10月の7.0%(速報の6.8%から上方修正)を大幅に上回った。
12月10日に先行して発表された11月の米CPI上昇率は全体の前年同月比が6.8%で1982年6月以来39年ぶりの上昇率となり、コア指数の前年同月比も4.9%となったが、PPIの伸びが加速していることを踏まえれば12月のCPI上昇率もさらに加速する可能性がありそうだ。これらはいずれも米連銀による早期のテーパリング終了と来年に予想される利上げ想定時期の前倒しに寄与するものと思われる。

FOMCは日本時間16日4時に声明発表、4時半に議長会見が行われる。インフレへの警戒度、テーパリング終了時期や利上げ想定時期及び回数など、前回会合まで「インフレは一時的」としてきた見解を撤回した後だけにタカ派シフトの度合いが注目される。

【NYダウは続落、米長期債利回りは小幅上昇】

12月14日の米長期債利回りは総じて小幅上昇した。10年債利回りは前日比0.02%上昇の1.44%。30年債利回りは同0.03%上昇の1.83%、2年債利回りは同0.02%上昇の0.66%。10年債利回りは13日に英国でのオミクロン株感染死者発生報道からの株売り債券買いで序盤の1.50%から1.41%まで低下していたがFOMCを控えて下げ止まりからやや戻している。2年債利回りも前日までの低下から持ち直し気味で年初来の高水準を維持している。
NYダウは12月13日の前日比320.04ドル安から14日は同106.77ドル安と続落、ナスダック総合指数も13日の前日比217.32ポイント安から14日も175.64ポイント安と続落した。
12月13日に英国でオミクロン株による初の死者が発生と報じられ、英保健相が感染の急拡大により向こう48時間でオミクロン株の感染が主流となると述べたことで12月3日安値からのV字反騰にブレーキがかかった状況だ。

米国においても米疾病対策センター(CDC)によれば米国全体のオミクロン株感染比率は12月11日時点で2.9%に過ぎないものの12月4日時点の0.4%から急増しており、ニュージャージー州とニューヨーク州などでは既に13.1%を占めているという。死者は低水準にとどまっておりデルタ株よりも軽症性という見方も継続している印象だが、感染力の強さを踏まえると先行きの不透明感もぬぐえないところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、11月30日夜安値と12月4日未明安値をダブルボトムとして戻した後は113.50円を挟んだ持ち合いでの推移が続いているために方向感に欠けるところだが、現状は12月11日未明安値113.21円を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしているところと思われる。トップ形成期は13日夜から15日深夜にかけての間と想定されるが、16日未明のFOMCに対する反応次第で一段高へ進む可能性と急落に転じる可能性、または15日夜から16日未明にかけていったん下落したところからFOMC後に急伸するようなケースも考えられる。状況次第だが、FOMC後に一段高に入る場合は16日の日中から17日にかけての間への上昇継続とし、FOMC後に急落してからも反騰入りできない場合は16日夜から17日夜にかけての間への下落継続となりやすいと思われる。

60分足の一目均衡表では113.50円を挟んだ揉み合いのために方向感に欠けるところだが、15日朝時点では両スパン揃って好転しているため遅行スパン好転中は高値試し優先とし、両スパン揃って悪化するところからは安値試し優先とする。またFOMC後に急伸の場合は遅行スパン好転中の高値試し優先へ、逆に急落の場合は遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は113.50円を挟んだ揉み合いのため50ポイントを挟んで60ポイント台では売られ40ポイント前後では買われている。FOMCに対する反応待ちの様相だが、急伸する場合は70ポイント台後半への上昇、急落反応の場合は30ポイント割れを目指す流れとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、113.21円を下値支持線、113.95円を上値抵抗線とする。
(2)113.95円を下回るうちは一段安余地ありとし、113.21円割れからは113.00円前後試しを想定する。FOMC等をきっかけに下げ足が速まる場合は112.50円割れを目指すとみる。
(3)15日の日中から夜にかけては114円手前では戻り売りにつかまりやすいとみるが、114円超えからは114円台中盤(114.30円から114.70円)を目指す上昇を想定する。

【当面の主な予定】

12/15(水)
11:00 (中) 11月 小売売上高 前年同月比 (10月 4.9%、予想 4.8%)
11:00 (中) 11月 鉱工業生産 前年同月比 (10月 3.5%、予想 3.8%)
13:30 (日) 10月 第三次産業活動指数 前月比 (9月 0.5%、予想 1.2%)
16:00 (英) 11月 消費者物価指数 前月比 (10月 1.1%、予想 0.4%)
16:00 (英) 11月 消費者物価指数 前年同月比 (10月 4.2%、予想 4.8%)
16:00 (英) 11月 消費者物価コア指数 前年同月比 (10月 3.4%、予想 3.7%)
16:00 (英) 11月 小売物価指数 前月比 (10月 1.1%、予想 0.3%)
16:00 (英) 11月 小売物価指数 前年同月比 (10月 6.0%、予想 6.7%)

22:30 (米) 12月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (11月 30.9、予想 25.0)
22:30 (米) 11月 小売売上高 前月比 (10月 1.7%、予想 0.8%)
22:30 (米) 11月 小売売上高・除自動車 前月比 (10月 1.7%、予想 0.9%)
22:30 (米) 11月 輸入物価指数 前月比 (10月 1.2%、予想 0.6%)
22:30 (米) 11月 輸出物価指数 前月比 (10月 1.5%、予想 0.5%)
24:00 (米) 10月 企業在庫 前月比 (9月 0.7%、予想 1.1%)
24:00 (米) 12月 NAHB住宅市場指数 (11月 83、予想 83)
28:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC) 政策金利 (現行 0.00-0.25%、予想 0.00-0.25%)
28:30 (米) パウエル米連銀議長、定例記者会見

12/16(木)
休場、南ア
日銀・金融政策決定会合初日
06:45 (NZ) 7-9月期 GDP 前期比 (4-6月 2.8%、予想 -4.5%)
06:45 (NZ) 7-9月期 GDP 前年同期比 (4-6月 17.4%、予想 -1.6%)
08:50 (日) 11月 貿易収支・季調前 (10月 -674億円、予想 -5952億円)
08:50 (日) 11月 貿易統計。季調済 (10月 -4447億円、予想 -3208億円)
09:30 (豪) 11月 新規雇用者数 (10月 -4.63万人、予想 20.00万人)
09:30 (豪) 11月 失業率 (10月 5.2%、予想 5.0%)

17:30 (独) 12月 製造業PMI速報値 (11月 57.4、予想 57.0)
17:30 (独) 12月 サービス業PMI速報値 (11月 52.7、予想 51.0)
18:00 (欧) 12月 製造業PMI速報値 (11月 58.4、予想 57.9)
18:00 (欧) 12月 サービス業PMI速報値 (11月 55.9、予想 54.3)
18:30 (英) 12月 製造業PMI速報値 (11月 58.1、予想 57.6)
18:30 (英) 12月 サービス業PMI速報値 (11月 58.5、予想 57.0)
19:00 (欧) 10月 貿易収支・季調済 (9月 61億ユーロ、予想 58億ユーロ)
19:00 (欧) 10月 貿易収支・季調前 (9月 73億ユーロ)
21:00 (英) 英中銀 政策金利 (現行 0.10%、予想 0.10%)
21:45 (欧) 欧州中銀 政策金利 (現行 0.00%、予想 0.00%)
22:30 (欧) ラガルド欧州中銀総裁、定例記者会見

22:30 (米) 11月 住宅着工件数・年率換算件数 (10月 152.0万件、予想 157.0万件)
22:30 (米) 11月 建設許可件数・年率換算件数 (10月 165.0万件、予想 166.0万件)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 18.4万件、予想 20.0万人)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 199.2万人)
22:30 (米) 12月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (11月 39.0、予想 28.5)
23:15 (米) 11月 鉱工業生産 前月比 (10月 1.6%、予想 0.7%)
23:15 (米) 11月 設備稼働率 (10月 76.4%、予想 76.8%)
23:45 (米) 12月 製造業PMI速報値 (11月 58.3、予想 58.5)
23:45 (米) 12月 サービス業PMI速報値 (11月 58.0、予想 58.8)


注:ポイント要約は編集部

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