ドル円、重要イベントを控えて様子見ムードが継続中。米FOMCがメインイベント
〇ドル円、米国時間にかけ安値113.43まで下落
〇オミクロン株感染拡大懸念、株式市場の軟調推移が重石
〇その後はFOMC前のポジション調整、生産者物価指数の伸び率加速に113.75まで反発
〇ユーロドル、欧州時間午後1.1326まで伸ばすも感染拡大懸念等背景に1.1256まで反落
〇ドル円、テクニカル的に強い地合い、下がったところで押し目買いが出易いチャート形状
〇FOMCのタカ派的観測が要因となり、金融引き締めへの転換が意識されやすい状況
〇ドル円相場はアップサイドリスクが強まる1日になりそう
〇本日の予想レンジ:113.20ー114.20
海外時間のレビュー
14日(火)のドル円相場は狭いレンジ内で方向感に欠ける展開。@新型コロナウイルス・オミクロン株の感染拡大懸念(英国で初の死者を確認)や、A上記@を背景とした株式市場の軟調推移(リスク回避の円買い圧力)が重石となり、米国時間にかけて、安値113.43まで下落しました。しかし、前日海外時間に記録した安値113.39をバックに下げ渋ると、B米FOMCを控えたポジション調整(米金利上昇→米ドル高)や、C株式市場およびWTI原油先物の下げ幅縮小(リスク回避の円買い後退)、D米11月生産者物価指数(結果9.6%、予想9.2%)の伸び率加速が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値113.75まで反発しました。
引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間12/15午前5時00分現在)では、113.72前後で推移しております。
14日(火)のユーロドル相場は軟調推移。欧州時間午後にかけて高値1.1326まで上値を伸ばすも、買い一巡後に伸び悩むと、@欧州圏で広がる新型コロナウイルス感染拡大懸念や、A欧米金融政策の方向性の違い、B米11月生産者物価指数の伸び率加速、C独IFO経済研究所による2022年成長率予測の下方修正(9月時点の5.1%から3.7%へ修正)、Dウクライナを巡る地政学的リスクが重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.1256まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間12/15午前5時00分現在)では、1.1260前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は重要イベント(日米欧の金融政策イベント)を前に方向感に欠ける値動きとなりました(113円台半ばで様子見ムード)。但し、@ダウンサイド(113円台前半)に一目均衡表雲上限などの支持帯が控えていること、Aその更に下(112円台半ば)に直近で二度止められた強力な支持帯(11/30安値112.53、12/3安値112.56)が控えていること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは強い(下がったところでは押し目買いが出易いチャート形状→下値余地は乏しい)と判断できます。
こうした中、本日は日本時間明日早朝4時00分に発表される米FOMC(連邦公開市場委員会)や、同4時30分のパウエルFRB議長定例記者会見に注目が集まります。今回は経済見通し(SEP)とドットチャートの発表を含む会合となるため、注目点は以下3つに分類できます(一つ目はドットチャートの中央値が上方修正されるか否か。二つ目は声明文のインフレ部分の文言が変更されるか否か。三つ目はテーパリング加速についての決定がなされるか否か)。
一つ目については、ブラックアウト期間前の米当局者のタカ派的な発言を見る限り、2022年末、2023年末共に上方修正される公算が大きいと判断できます(2022年の利上げ回数が2回なのか3回なのか、或いは4回なのか注目)。二つ目については、パウエルFRB議長が先月末に「一時的という文言を使うことをやめるべきだと考えている」と発言したことで、これまで声明文で繰り返し用いられてきた「一時的(transitory)」という文言は削除される可能性が高いと判断できます。三つ目については、現行の月間150億ドル(米債100億ドル、住宅ローン担保証券50億ドル)の削減額が、月間300億ドル(米債200億ドル、住宅ローン担保証券100億ドル)の削減額へと増額されるシナリオが想定されます。
この為、市場では米FRBによる金融緩和から金融引き締めへの政策転換が意識されやすく、ドル円相場は、米金利上昇→米ドル高の経路で、アップサイドリスクが強まる1日となりそうです(尚、本日は米FOMC以外にも、中国11月小売売上高や、中国11月鉱工業生産、中国11月固定資産投資、米11月小売売上高、米12月ニューヨーク連銀製造業景気指数など重要イベントが目白押しとなります)。
本日の予想レンジ:113.20ー114.20
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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