ドルはレンジ上抜け、欧英中銀の動き要注意(12/16夕)

16日の東京市場はドルが小高い。ただ、上値は依然として重く、前日記録した戻り高値114.27円に面合わせしたに過ぎなかった。

ドルはレンジ上抜け、欧英中銀の動き要注意(12/16夕)

ドルはレンジ上抜け、欧英中銀の動き要注意

〇本日のドル円、114.25レベルで上げ止まると、その後は高値圏での保ち合いに
〇本日は欧州と英国の政策金利発表予定、英国は「先行き利上げ示唆」が示される可能性
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは113.70-114.60、本日も上げ止まった114.27が最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は、昨日ドルが戻り高値を付けた後の安値113.95前後がサポート

<< 東京市場の動き >>

16日の東京市場はドルが小高い。ただ、上値は依然として重く、前日記録した戻り高値114.27円に面合わせしたに過ぎなかった。

ドル/円は114.00-05円で寄り付いたのち、わずかに割り込んだ113.95円レベルを日中安値として以降はドル買い優勢。つまり、ほとんどの時間帯を114円台で過ごすなど、ドルは小高く推移したものの、頭も重く上値は限られた。114.25円レベルで上げ止まると、その後は高値圏での保ち合いに。16時現在ドル/円は114.15円前後で推移し、欧米市場を迎えている。
なお、トルコリラは本日も冴えず、またもや対円などで最安値を更新。対円では7.5円を下回り、一時7.3円台も。

一方、材料的に注視されていたものは、「米金融政策」と「ロシア情勢」について。
前者は、米国債などの資産を購入する「量的緩和縮小の加速」が決まるなど、注目されていた米FOMCは予想よりもタカ派的な内容に。また、「22年中に計3回の政策金利の引き上げを見込む」といった内容も伝えられている。事前のパウエルFRB議長の議会証言などを通じ、タカ派的な内容はある程度予想された反面、一方でオミクロン株の感染拡大などが足かせ要因として懸念されたが、結果として予想以上の強気見通しが示されたと言って間違いないようだ。

対して後者は、ウクライナ高官が「7日の米露首脳会談後も、ロシアはウクライナ国境付近から軍部隊を撤退させていない」と発言するなか、欧州委員長からは「ロシアがウクライナに侵攻すれば前例のない制裁を科す」との発言が改めて観測されていた。またロシアは日本に対しても挑発行動に出ていたようで、防衛省が「ロシアの情報収集機が、オホーツク海経由で日本海と太平洋を往復するなど長距離飛行したのを確認した」と発表したうえで、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進して対応したことを明らかにしている。そうしたなか中露首脳が電話会談を行い、「西側諸国の介入拒絶で一致」したという。動きが喧しい。

<< 欧米市場の見通し >>

ドル/円相場は過去1週間強推移していた113.22-95円のレンジを、強めの内容となった米FOMCを好感する格好で「しっかり」と上抜けてきた。一時114.27円まで上昇している。ドルの上値展望が広がったことは間違いなさそうで、続伸にも要注意。なお、以前にもレポートしたように、年初来高値115.52円を起点としたフィボナッチの61.8%戻しは114.40円で、まずは同レベルの攻防に注目だ。
日米欧英など各国の金融政策に対する関心は依然として高いなか、昨日の米FOMCを継ぐ格好で本日は欧州と英国の政策金利発表が行われる予定となっている。ちなみに、ともに金融政策そのものは「現状維持」の見通しだが、問題は先行きについて。欧州もさることながら、英国は「先行き利上げ示唆」が示される可能性を指摘する声も少なくないようだ。事実とすれば、ポンドが対円などで買い進められ、さらなる上値を試す可能性もある。

テクニカルに見た場合、ドル/円はレンジ取引の上限を超え、再びドル高方向へとバイアスが掛かった感がある。そんなドルの抵抗は昨日高値の114.27円、さらに114.40円など。それらを超えれば、いよいよ115台乗せも見えてくる。
基本的なリスクは上向きでドル続伸には要注意だが、調整の動きを警戒する声もなくはない。確かに、前述したように114円台に乗せて「小さなレンジ」を上抜けたものの、112.50-115.50円という大きなレンジにはいまだとどまっている。油断は禁物かもしれない。

材料的に見た場合、中長期的には、米欧に対抗するためロシアとの結び付きを一段と強める「中国情勢」、WHOが「ワクチン効果は限定的な可能性がある」と発表し物議を醸している「新型コロナ・オミクロン株問題」、「原油供給問題」−−などに注目。
一方、本日は米経済指標として、週間ベースの新規失業保険申請件数や12月の製造業PMIなどが発表される見込みだ。昨日の米FOMCで示された「タカ派」見通しを裏付けるような内容となるのか、指標内容はしっかりと注視したい。また。それ以外では先でも取り上げたECBとBOE、欧英中銀による政策金利の発表には要注意で、欧州通貨主導の展開も。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは113.70-114.60円。本日東京時間も近いレベルで上げ止まった114.27円が最初の抵抗。抜けると114.40円などが意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、昨日ドルが戻り高値を付けた後の安値である113.95円前後がサポートとしてまず注目か。ただ、割り込んでも底堅そうで大崩れは予想しにくい。

ドルはレンジ上抜け、欧英中銀の動き要注意

ドル円日足

注:ポイント要約は編集部

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