ドル円、タカ派な米FOMCで一時上昇も再び反落。114円台を維持できず
〇ドル円、アジア時間に114.25まで上昇するも、海外時間に安値113.57まで下落
〇英中銀の利上げによる対ポンドでドル売りがドル円にも波及
〇「ウイグル強制労働防止法案」米議会通過による米中対立激化懸念、株価軟調も重石
〇ECB金融政策のタカ派スタンス転換で、ユーロドルは一時1.1360まで上昇
〇ドル円、テクニカルには強力な支持帯を下方に控え下落余地乏しい
〇ファンダメンタルズも、米利上げ時期の前倒し観測、オミクロン株の過度な悲観論の後退等支持材料多い
〇ドル円相場のアップサイドリスクをメインシナリオとして予想
〇本日日銀金融政策決定会合、黒田総裁記者会見後の円売り要注意
〇本日の予想レンジ:113.30ー114.20
海外時間のレビュー
16日(木)のドル円相場は上昇後に急反落。@日本時間早朝に発表された米FOMCがタカ派な結果(テーパリング・ペースの加速決定+声明文内の一時的=transitoryとの文言削除+ドットチャートの上方修正)となったことや、A上記@を背景としたドル高・株高圧力(米金利上昇を背景としたドル高と、株高を背景としたリスク選好の円売り圧力の組み合わせ)が支援材料となり、アジア時間朝方にかけて、11/26以来、約3週間ぶり高値となる114.25まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、B対英ポンドでのドル売り圧力(英BOEが主要国で初となる利上げを実施→英ポンドの対ドル相場急騰→ドル売りに波及)や、C米中対立激化懸念(米政府による「ウイグル強制労働防止法案」の上下両院通過)、D米主要株価指数の冴えない動き(リスク回避の円買い圧力)、E米金利低下に伴うドル売り圧力が重石となり、米国時間午後にかけて、安値113.57まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間12/17午前5時30分現在)では、113.62前後で推移しております。
16日(木)のユーロドル相場は堅調な値動き。@注目されたECB理事会で「パンデミック緊急購入プログラム=PEPPを2022年3月末で終了することが決定されたこと(但し、従来の資産購入プログラム=APPは増額)や、A上記@を背景としたECBによる金融政策のタカ派スタンス転換、BECBによるインフレ見通しの大幅上方修正(2022年のHICP見通しを従来の+1.7%から+3.2%へ上方修正)が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値1.1360まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、CラガルドECB総裁によるハト派的な発言(ECBが2022年中に利上げに踏み切る可能性は非常に低い)や、D株式市場の軟調推移、E欧州圏における新型コロナウイルス・オミクロン株の感染拡大リスク(欧州圏での行動制限が強化されるとの思惑)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間12/17午前5時30分現在)では、1.1333前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は米FOMC後に一時114.25(約3週間ぶり高値圏)まで上値を伸ばすも、114円upperの戻り売りに押される形で反落に転じると、海外勢参入後に再び113円台半ばへ値を崩す冴えない動きとなりました。しかし、ダウンサイドに一目均衡表雲下限といった強力な支持帯を控えている他、更にその下には11/30安値112.53や12/3安値112.56といった防衛線も広がっているため、余程強いドル売り・円買い圧力が見られない限り、続落余地は乏しいと判断できます(押し目買い圧力が続落を阻むシナリオ)。
また、ファンダメンタルズ的にも、米利上げ時期の前倒し観測(米金利上昇→米ドル高)や、新型コロナウイルス・オミクロン株を巡る過度な悲観論の後退(株高→リスク選好の円売り)、世界的な金融引き締め転換(日本とその他主要国との金融政策格差→対主要国通貨で円安が進む可能性)など、ドル高・円安トレンドの再開を連想させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場のアップサイドリスクをメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は日銀金融政策決定会合や黒田日銀総裁記者会見が予定されているものの、無風通過が予想される為、同イベント終了後の円売り再開に注意が必要でしょう(日本とその他主要国中銀との金融政策格差を再確認→円売り再開)。
本日の予想レンジ:113.30ー114.20
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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