『下落リスクに要警戒。来週は南アCPIと米FOMCに注目』
〇今週の南ア円、寄り付き7.01が週間安値
〇オミクロン株を巡る過度の悲観論の後退、短期筋のショートカバー等に週央にかけ7.26まで上昇
〇週末にかけては南ア経済先行き不透明感、米テーパリングペース加速観測に7.09前後に反落
〇南ア円、上方に複数のチャートポイントが控えるなどテクニカルの地合いは弱いと判断
〇ファンダメンタルズも南アでのオミクロン株感染拡大と経済先行き不透明感強い
〇来週は南アインフレ指標と米FOMCに要注目
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):6.85ー7.25
今週のレビュー(12/6−12/10)
今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週間安値となる7.01円で寄り付いた後、@新型コロナウイルス・オミクロン株を巡る過度な悲観論の後退(専門家による他の変異株よりも症状が軽いとの指摘や、米CNBCによる「米ファイザー社製ワクチンを3回接種することで新型コロナウイルス・オミクロン株が中和される」との試験データ公表など)や、A短期筋のショートカバー(リスク回避ムード後退→新興国通貨買い)、B南ア11月SACCI景況感指数(結果92.8、前回91.0)の良好な結果が支援材料となり、週央にかけて、週間高値7.26円まで上昇しました。しかし、一目均衡表基準線に続伸を阻まれると、C南ア経済の先行き不透明感(今週発表された南ア経済指標の大半が悪化)や、D米テーパリングペースの加速観測、E南アフリカにおける新型コロナウイルスの新規感染者数増加(2万2千人を突破し第4波で最多更新)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間12/11午前3時10分現在)では7.09円前後で推移しております。
来週の見通し(12/13−12/17)
南アフリカランド円相場は11/26に記録した約10ヵ月ぶり安値6.93円をボトムに反発に転じると、今週半ばにかけて一時7.26円まで上昇しましたが、週末にかけて再び下げ足を速める展開となりました。@上方に複数のレジスタンスポイント(一目均衡表基準線や90日移動平均線など)を控えていること、A強い売りシグナルを示唆する三役逆転が点灯していること、Bダウ理論の下落トレンド入りが成立していることなどを踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます(来週は再び11/26安値6.93円を試すシナリオを想定)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@南アフリカにおける新型コロナウイルス・オミクロン株の感染拡大懸念や、A上記@を背景とした南アフリカ経済の先行き不透明感(今週発表された南ア7ー9月期GDPや、南ア10月小売売上高、南ア10月製造業生産、南ア7ー9月期経常収支は軒並み不冴な結果。世界各国による南アフリカへの渡航禁止措置も南ア経済の下押し要因)、B国営電力会社エスコムによる計画停電・長期化リスク、C与党・アフリカ民族会議の求心力低下、D米FRBによるタカ派スタンスへの転換(米長期金利に上昇圧力→新興国から米国への資本流出懸念)など、南アランド円相場の下落を意識させる材料が増えつつあります。
こうした中、来週は12/15に予定されている南ア11月消費者物価指数(CPI)および、同生産者物価指数(PPI)の他、12/16の米FOMCに注目が集まります。CPIおよびPPIで南アフリカ国内のインフレ加速が示される場合には、スタグフレーション懸念の台頭を背景に南アランドに強い下押し圧力が加わると予想されます(株安に伴う南アランド売りと、実質金利低下に伴う南アランド売りの組み合わせ)。また、米FOMCでタカ派的なスタンスが示される場合にも、米金利上昇→新興国から米国への資本流出の経路で南アランドに下落圧力が加わるものと推察されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(来週は11/26安値6.93円を試すシナリオを想定)。
来週の予想レンジ(ZARJPY):6.85ー7.25
南アランド円日足
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