トルコリラ週報:『史上最安値を再び更新。来週はトルコ中銀会合がメインイベント』(12/11朝)

トルコリラの対円相場は今週前半にかけて史上最安値8.10円まで急落しました

トルコリラ週報:『史上最安値を再び更新。来週はトルコ中銀会合がメインイベント』(12/11朝)

トルコリラ週報:『史上最安値を再び更新。来週はトルコ中銀会合がメインイベント』

〇今週のトルコ円、エルドアン大統領の利下げ圧力継続、米ドル高に週明け市場最安値8.10まで下落
〇その後市場のリスクセンチメント改善に8.46まで反発、週末にかけては8.18前後まで反落
〇トルコ円、全てのテクニカルポイントを下抜け、8.00割れより下は真空地帯
〇ファンダメンタルズも中銀利下げ観測はじめトルコ売り要因多い
〇12/16のトルコ中銀政策決定会合に注目集まる
〇1%超の利下げでトルコ売り加速も
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):7.70ー8.50

今週のレビュー(12/6−12/10)

今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初8.26円で寄り付いた後、@新型コロナウイルス・オミクロン株に端を発した世界経済の先行き不透明感や、Aトルコ中銀による追加利下げ観測(エルドアン・トルコ大統領による利下げ圧力。同氏は今週も「高金利は絶対に信じない」「低金利でインフレと為替変動を抑制する」と発言)、B米FRBによるタカ派スタンスへの転換(米長期金利上昇→新興国から米国への資金流出)などが重石となり、週明け早々に、史上最安値8.10円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると(心理的節目8.00円をバックにした押し目買いに続落を阻まれると)、Cトルコ中銀による介入警戒感や、D新型コロナウイルス・オミクロン株を巡る過度な悲観論の後退(専門家による他の変異株よりも症状が軽いとの指摘など)が支援材料となり、翌12/7にかけて週間高値8.46円まで反発しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、週末にかけては再び反落。本稿執筆時点(日本時間12/11午前3時10分現在)では8.18円前後で推移しております。

来週の見通し(12/13−12/17)

トルコリラの対円相場は今週前半にかけて史上最安値8.10円まで急落しました(9/1に記録した直近高値13.34円からわずか3ヵ月半で約39.2%の下落率)。@ローソク足が全てのチャートポイントを下抜けしている他(ダウンサイドにサポートポイントなし→心理的節目8.00円を割り込むと真空地帯)、A強い売りシグナルを示唆する三役逆転や、B弱気のパーフェクトオーダーも成立するなど、テクニカル的に見て地合いは弱いと判断できます(対円・対ドル共に史上最安値を更新中)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコ中銀による追加利下げ観測や、Aエルドアン・トルコ大統領による強烈な利下げ圧力(トルコ中銀の独立性への不信感)、B米FRBによるタカ派スタンスへの転換(新興国から米国への資本流出圧力)、Cリラ安防衛手段の不十分さ(トルコ中銀は先週来、リラ買い為替介入を継続しているが、外貨準備余力の乏しさを背景に相場への影響は限定的→介入すればするほどリラ売り圧力が強まる展開)、Dトルコ経済の先行き不透明感、E実質金利のマイナス幅拡大(インフレ加速と政策金利引き下げの組み合わせ)など、トルコリラ円相場の更なる下落を連想させる材料が増えつつあります。

トルコリラ週報:『史上最安値を再び更新。来週はトルコ中銀会合がメインイベント』

こうした中、来週は12/16に予定されているトルコ中銀の金融政策決定会合に注目が集まります。市場予想の100bpの引き下げ(15.00%→14.00%)を超える利下げ幅が示される場合や、追加利下げの可能性を高める声明文が発される場合などには、実質金利のマイナス幅拡大を通じて、トルコリラに強い下押し圧力が加えるものと推察されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。

来週の予想レンジ(TRYJPY):7.70ー8.50

注:ポイント要約は編集部

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