トルコリラ円見通し トルコ中銀は予想通りの利下げだが追加利下げ懸念で大幅続落(21/11/19)

トルコ中銀は11月18日の金融政策決定会合で政策金利の週間レポレートを現行の16.0%から15.0%へ引き下げた。

トルコリラ円見通し トルコ中銀は予想通りの利下げだが追加利下げ懸念で大幅続落(21/11/19)

トルコリラ円見通し トルコ中銀は予想通りの利下げだが追加利下げ懸念で大幅続落

〇トルコ中銀、政策金利を16%から15%へ引き下げ
〇トルコ円、11/18午前10.40まで下げたが19時台に10.93まで一時反騰、利下げ発表後は10.06へ一段安
〇日足は8日連続の陰線、7日連続での史上最安値更新
〇対ドル、11/18午前10.97へ続落、19時台に10.41まで戻し、利下げ発表後11リラ台へと史上最安値更新
〇12月にも追加利下げの可能性、悪材料出尽くしとはならず、急落一服でも安値圏にとどまる
〇トルコ円、10.60以下での推移中は下向きとし、10.00割れからは9.80、9.70等を順次試す流れとみる
〇10.50-60は戻り売りに捕まりやすいが、10.60越えからは10.80前後への反騰想定

【概況】

トルコリラ円の11月18日は10.92円から10.06円の取引レンジ、19日早朝の終値は10.38円で前日終値の10.71円からは0.33円の円高リラ安となった。
11月18日20時発表予定だったトルコ中銀の政策金利発表は5分遅れとなったが市場予想通りにこれまでの16%から15%へと引き下げられた。
11月18日午前にかけては前夜のエルドアン大統領による「金利と戦う」との演説報道から続落となり10.40円まで下げたが、イベント前のポジション調整的な買い戻しが入って19時台には10.93円までいったん反騰した。しかし利下げが発表されると再び売られて10.06円へ一段安となった。その後も10.30円を挟んで安値圏の揉み合いにとどまっている。
日足は8日連続の陰線、11月10日に10月25日安値11.50円を割り込んでから7日連続での史上最安値更新。

【対ドルでの史上最安値更新も続く】

ドル/トルコリラの11月18日は11.28リラから10.41リラの取引レンジ、19日早朝の終値は10.99リラで前日終値の10.61リラからは0.38リラのドル高リラ安となった。
11月9日から11月17日まで6日連続の日足陰線となり、11月10日に10月25日に付けた最安値9.85リラを割り込んでからは連日の最安値更新に入り17日には10.68リラへ続落、18日も午前安値で10.97リラへ大幅続落となったが、中銀政策金利発表前のポジション調整で買い戻されて19時台には10.41リラまでいったん戻していた。
利下げ発表から再びリラ売りが仕掛けられて11リラ台へと史上最安値を更新、その後は11.00リラを挟んで安値圏での揉み合いで推移している。

【トルコ中銀、12月にも追加利下げの可能性】

トルコ中銀は11月18日の金融政策決定会合で政策金利の週間レポレートを現行の16.0%から15.0%へ引き下げた。9月23日の前々回会合で従来の19.0%から18.0%へ利下げし、10月21日の前回会合で16.0%まで2.0%の大幅利下げを強行した。11月18日の利下げで3会合連続の利下げとなった。
トルコ中銀は声明において「物価上昇の原因となっている食料品やエネルギー等の供給面での要因が2022年前半も続くとみている」としたが、こうした状況を踏まえて12月会合でも「限定的な余地の行使(追加利下げ)」について検討するとした。
エルドアン大統領は11月17日の演説で、与党内にも利上げを求める声があるとした上で、「彼らと一緒に歩むことはない」「大統領である限り高金利との戦いを続ける」と述べておりさらに利下げを中銀に迫ってゆく姿勢を示している。

トルコリラ円見通し トルコ中銀は予想通りの利下げだが追加利下げ懸念で大幅続落

追加利下げの可能性を踏まえてトルコリラは対ドル、対円で共に史上最安値を大幅に更新したが、これで悪材料出尽くしとはならず、急落一服でも安値圏にとどまっており、トルコ中銀及び大統領に対する高インフレ下での無謀な利下げ強行への不信感を示す動きは続きそうだ。

【トルコ中銀による2019年以降の主な流れ】

・2019年07月 6日、トルコ中銀ウイサル総裁就任、在任中 24.0%から8.25%まで利下げ
・2020年11月 6日 12.03円の史上最安値を付ける
・2020年11月 7日、トルコ中銀アーバル総裁就任、任期中三度の利上げ 10.25%→19.00%
・2021年 1月28日、トルコ中銀アーバル総裁、「2023年まで引き締め継続」と発言
・2021年 2月16日、15.28円まで上昇、2020年11月以降の最高値
・2021年 3月19日、トルコ中銀アーバル総裁解任、3月22日に15.08円から13.33円へ暴落
・2021年 6月 2日、12.42円へ下落
・2021年 9月 2日、13.32円へ上昇、カブジュオール総裁「インフレ率を下回る政策金利にしない」姿勢
・2021年 9月 8日、トルコ中銀、カブジュオール総裁「コアCPIを政策金利判断目安」発言でリラ売り再開
・2021年 9月23日、トルコ中銀、19.0%から18.0%へ利下げ、9月27日安値12.42円へ下落

・2021年10月14日、エルドアン大統領、中銀副総裁2名、委員1名を解任
・2021年10月21日、トルコ中銀、18.0%から16.0%へ利下げ、11.92円へ急落で史上最安値更新
・2021年10月25日、エルドアン大統領、欧米10か国大使追放指示騒動 11.50円へ史上最安値更新
・2021年11月10日、10月25日安値を割り込み、16日まで5日連続で最安値更新、11.00円割れ
・2021年11月17日、エルドアン大統領、「金利と戦う」と演説、10.29円へ最安値更新
・2021年11月18日、トルコ中銀、市場予想通りに15.0%へ利下げ、追加利下げに含み

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月4日午前の戻り高値を起点として下落基調を継続としてきた。
11月18日午前安値から18日夜へいったん戻し、利下げ発表から一段安しているため、18日夜高値を直近のサイクルトップとして新たな弱気サイクルに入ったと思われる。次の安値形成期は23日夜から25日夜にかけての間と想定されるので週末から週明けは安値試しが続きやすいとみる。強気転換にはまず10.50円を超えて18日夜高値に迫る反騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では11月2日に先行スパンから転落、11月9日午前の下落で遅行スパンが悪化してからは両スパン揃っての悪化が続いている。18日夜の反騰時も遅行スパンは好転できずに失速している。このため遅行スパンの悪化中は安値試し優先とし、遅行スパンが一時的に好転しても先行スパンを上抜き返せないうちはその後に悪化するところから下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は18日午前に10ポイント台へ低下したとこから18日夜にいったん50ポイント台へ戻したがその後の失速で30ポイント前後へ低下している。50ポイント台を維持できないうちは一段安警戒として再び10ポイント台を試す可能性があるとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、10.00円を下値支持線、10.60円を上値抵抗線とする。
(2)10.60円以下での推移中は下向きとし、10.00円割れからは9.80円、9.70円等を順次試す流れとみる。
(3)10.50円から10.60円にかけては戻り売りにつかまりやすいとみる。10.60円超えからは10.80円前後への反騰入りを想定する。

【当面の主な予定】

11月22日
 16:00 11月 消費者信頼感指数 (10月 76.8)
 17:00 10月 観光客数 前年比 (9月 59.45%)
 23:30 10月 中央政府債務 (9月 218.1億リラ)
11月24日
 16:00 11月 製造業景況感 (10月 109.6)
 16:00 11月 設備稼働率 (10月 78.0%)    
11月25日
 20:00 トルコ中銀 金融政策決定会合議事要旨
 20:30 週次外貨準備高 11/19時点 (11/12時点 867.0億ドル)
11月29日
 16:00 10月 貿易収支 (9月 -25.5億ドル)
 16:00 11月 経済信頼感指数 (10月 101.4)
11月30日
 16:00 7-9月期 GDP前期比 (4-6月 0.9%)
 16:00 7-9月期 GDP前年同期比 (4-6月 21.7%)



注:ポイント要約は編集部

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