エルドアン大統領の金利と戦う発言から大幅続落、今晩トルコ中銀金融政策会合
〇トルコリラ円、10日から6日連続史上最安値更新、さらに18日午前序盤10.57まで最安値更新
〇大統領が「金利と戦う」と演説、中銀による3会合連続利下げが濃厚となりリラ売りが一段と加速
〇本日金融政策決定会合、利下げ強行なら通貨危機的なリラ売りに歯止めがかからなくなる可能性も
〇金利発表、事前予想中央値は現行の16%から15%への引き下げ、予想レンジは14.5%から16.0%
〇ドル/トルコリラも6日連続最安値更新、18日午前には10.77リラへと最安値をさらに更新
〇10.80以下での推移中は下向き、10.50割れからは10.30、10.20、10.10と順次試す流れ
〇反騰入りはトルコ中銀の金融政策発表とそれに対する市場の反応を見てから
【概況】
トルコリラ円の11月17日は11.13円から10.69円の取引レンジ、18日早朝の終値は10.71円で前日終値の11.09円からは0.38円の円高リラ安となった。
11月18日夜のトルコ中銀金融政策決定会合を前にしてエルドアン大統領が「金利と戦う」と演説したことでトルコ中銀による3会合連続の利下げが濃厚となりリラ売りが一段と加速した。
11月に入ってからは連日の下落だが、11月9日から17日まで7日連続の日足陰線、11月10日からは6日連続で史上最安値を更新している。18日午前序盤には10.57円までさらに最安値を更新している。
今晩のトルコ中銀金融政策決定会合で利下げが見送られればトルコリラには強気サプライズとなっていったん反騰入りのきっかけともなりえるが、連続利下げ強行なら通貨危機的なリラ売りに歯止めがかからなくなる可能性もあるところだ。わずかな利下げの場合はいったん売られてから目先の売り材料消化で買い戻される可能性もあるが、まずは利下げ度合いと市場の反応を見定める必要がありそうだ。
【対ドルでの史上最安値更新も続く】
ドル/トルコリラの11月17日は10.68リラから10.29リラの取引レンジ、18日早朝の終値は10.61リラで前日終値の10.34リラから0.27リラのドル高リラ安となった。連日の史上最安値更新が続いているが、11月9日から17日まで7日連続の日足陰線で下落、10月25日に付けた当時の史上最安値9.85リラを10月10日に割り込んだところから6日連続の最安値更新となったが、18日午前には10.77リラへと最安値をさらに更新している。
11月16日は前日比0.29リラのドル高リラ安となる日足大陰線での下落だったが、17日も大陰線の連続であり、1ドル=10リラの壁を超えてからリラ暴落に歯止めがかからない状況に陥っている。
【11月18日に利下げ強行か、大統領は金利との闘い継続を宣言】
トルコのエルドアン大統領は11月17日に「金利が人々を押しつぶすようなことはさせない」「金利との闘いを最後まで続ける」と演説した。大統領は「金利が原因であり、インフレは結果だ」「人々から金利の負担を取り除く」「企業オーナーに対しては投資と雇用、輸出増を求める」との旨を述べた。
エルドアン大統領は従来から金利低下こそがインフレを抑えると主張してきた。2018年8月に15.25円まで暴落した通貨危機的なリラ安に対処するためにトルコ中銀は2017年12月の8.0%から2018年9月の24%まで大幅利上げに踏み切ったが、リラ安とインフレが落ち着くと2019年7月から連続利下げに入ったことで再びリラ安が進行、昨年11月6日には12.03円まで史上最安値を更新した。それを立て直したのがアーバル前中銀総裁による三度の利上げだったが、これを不満としてアーバル総裁は解任されたために3月から6月にかけてリラ安が再燃、9月23日に政策金利を19%から18%へ引き下げ、中銀副総裁ら3名の委員を解任し、10月21日にさらに16%まで大幅に引き下げたことで史上最安値更新に至っている。
11月18日夜のトルコ中銀政策金利発表についての事前予想中央値は現行の16%から15%への引き下げであり、予想レンジは14.5%への大幅引き下げから16.0%での現状維持まで幅広い。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月4日午前高値をサイクルトップとして下落基調の継続としてきたが、16日深夜に急落したところからいったん戻したものの早々に一段安へ進んでいるため、現状は11月15日夕高値を起点とした下落期の継続と思われる。安値形成期は18日午後から22日午後にかけての間と想定されるが、史上最安値を連日更新する暴落商状のためさらに長引く可能性や、一時的な反騰から早々に次の弱気サイクルへ進む可能性もあると注意する。強気転換には直近の安値から0.20円以上の反騰ないし10.90円を超える事が必要と思われる。
60分足の一目均衡表では11月9日午前からの下落で遅行スパンが悪化したが、その後も悪化が続いており、先行スパンからの転落も長期化している。遅行スパンが好転するような反騰となるところからはいったん戻しに入るとみるが、その際は先行スパンが大きな壁となりやすいと思われる。
60分足の相対力指数は10ポイント台へ低下しているが、今のところは相場が安値を更新する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行は見られない。40ポイント以下での推移中は一段安を繰り返しやすいとし、強気転換は50ポイント超えからとする。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、10.50円を下値支持線、10.80円を上値抵抗線とする。
(2)10.80円以下での推移中は下向きとし、10.50円割れからは10.30円、10.20円、10.10円と順次試す流れとみる。反騰入りはトルコ中銀の金融政策発表とそれに対する市場の反応を見てからと考える。
(3)10.80円超えからは11.00円前後への上昇を想定するが、11.00円以上は反落警戒とみる。
【当面の主な予定】
11月18日
20:00 トルコ中銀 金融政策決定会合
週間レポレート (現行 16.0%、予想 15.0%)
翌日貸出金利 (現行 17.5%)
翌日借入金利 (現行 14.5%)
後期流動性貸出金利 (20.50%)
20:30 週次 外貨準備高(グロス) 11/12時点 (11/5時点 857.9億ドル)
11月22日
16:00 11月 消費者信頼感指数 (10月 76.8)
17:00 10月 観光客数 前年比 (9月 59.45%)
23:30 10月 中央政府債務 (9月 218.1億リラ)
11月24日
16:00 11月 製造業景況感 (10月 109.6)
16:00 11月 設備稼働率 (10月 78.0%)
注:ポイント要約は編集部
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