ドル円見通し 当日高安で1円を超える下落だが、ふるい落とし一巡から持ち直し気味(21/11/18)

ドル円は11月17日朝に114.97円へ上昇、2017年3月5日以来4年半ぶりの高値水準となったが、NY市場中盤には113.92円まで大幅下落した。

ドル円見通し 当日高安で1円を超える下落だが、ふるい落とし一巡から持ち直し気味(21/11/18)

当日高安で1円を超える下落だが、ふるい落とし一巡から持ち直し気味

〇ドル円、17日朝に114.97へ上昇、2017年3月5日以来4年半ぶりの高値水準に
〇その後、米長期債利回り上昇一服から低下、NYダウとNY原油の下落等で113.92まで大幅下落
〇115円到達できず利食い売りが急がれ、連鎖反応となった「ふるい落とし」的な動き
〇18日早朝は114円台を回復しやや戻し気味、狼狽一巡から落ち着き取り戻すか攻防局面
〇18日未明安値113.92割れからは113.50前後への下落を想定、113.50以下は反発注意
〇114.50超えからは上昇再開に入ったと仮定して再び115円へ挑戦する流れとみる

【概況】

ドル円は11月17日朝に114.97円へ上昇、2017年3月5日以来4年半ぶりの高値水準となったが、節目の115円には届かずに日中を足踏みとしていたが、17日昼に一段安したユーロドルが突っ込み警戒感から買い戻された他、米長期債利回りが上昇一服から低下したこと、NYダウとNY原油の下落等を見てNY市場中盤には113.92円まで大幅下落した。日足は当日の高安で1円を超える急落型の大陰線となり、前日の陽線での上昇分を解消した。115円に到達できなかったことで利食い売りが急がれ、連鎖反応となった「ふるい落とし」的な動きとなっている。ただ114円割れに対する押し目買いもあって、18日早朝は114円台を回復してやや戻し気味の推移が観測、狼狽一巡から落ち着きを取り戻しにかかるのか攻防局面となっている。

【米長期債利回り低下、ドル高一服】

11月17日に米商務省が発表した10月の米住宅着工件数は152.0万件となり9月の153.0万件から減少、市場予想の158.0万件を下回った。最近の米経済指標が総じて強かったために着工件数の伸びが鈍化したことが株安長期債利回り低下の材料とされたようだ。ただし住宅着工許可件数は前月比4.0%増の165.0万件となり市場予想の163万件を上回っており、決して弱い数字ではなかった。ドル高の一服も米長期債利回り上昇一服も11月10日の米消費者物価上昇率が跳ね上がったことをきっかけとした流れに一服感が出たためと思われるが、ドル円としては115円到達目前からの反落だったために下げ足が速まってしまったというところか。

米10年債利回りは前日比0.05%低下の1.59%で終了。10月21日に1.70%へ上昇したところから11月9日の1.41%まで下げ、10日夜の米消費者物価上昇率発表をきっかけに急伸に入り17日も1.65%まで上昇していたが、上昇一服で失速した。30年債利回りは同0.05%低下の1.98%となり2.0%を割り込んだ。利上げ時期に敏感な2年債利回りは同0.02%低下の0.50%で終了したが、11月5日の0.39%から12日に0.54%へ上昇して10月28日に付けた年初来のピークである0.56%へ迫ったところから上昇一服の様相であり、まだ高値圏を維持している状況だ。
NYダウは前日比211.17ドル安、ナスダック総合指数は同52.29ポイント安と下げたが、高値警戒感とインフレ懸念を背景として上値が重くなりつつある印象だ。株安による債券買い戻しの動きも利回り低下とドル高一服につながった。

【ドル高一服だが主要通貨の動きはまちまち】

11月15日のラガルドECB総裁による利上げを急がないとした欧州議会発言をきっかけにユーロドルは下げ足を速めて15日、16日と大幅下落となり年初来安値を更新していたが、17日昼には1.1262ドルまで一段安となったところから買い戻されて1.1300ドル台を回復した。シュナーベルECB専任理事やデギンドスECB副総裁らがインフレへの警戒感を示したことも反発材料ではあったが、下げ一服でやや買い戻された程度であり17日早朝から昼への一段安を解消した程度にとどまっている。
ポンドドルは17日夕刻の英消費者物価及び小売物価上昇率の上ブレから12月の英中銀による利上げの可能性もあるとして11月12日以降の高値を切り上げる上昇となった。
豪ドル米ドルは豪中銀総裁の16日講演での利上げを急がない姿勢の強調を背景に16日夜高値からの下落で11月12日安値を割り込む一段安となり、NZドル米ドルもつれ安で17日昼にはこの間の安値を更新してその後も安値圏にとどまっている。

新興国通貨では高インフレ状態での利下げ強行姿勢を嫌気してトルコリラが史上最安値を更新、南アランドも17日には6月7日以降の最安値を更新するなどドル高感が継続している。
このように、ドル高には一服感がみられるものの趨勢としてのドル高基調は継続中であり、ドル円もテクニカル主導でいったん下げたところもやや狼狽的な動きが落ち着けば年初来高値更新を続ける動きへ持ち直すのではないかと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、11月12日深夜と15日午前に113.74円の同値を付けてダブルボトムとして強気サイクル入りしたが、12日高値から3日目となる17日朝高値でサイクルトップを付けて弱気サイクル入りしたと思われる。ボトム形成期は前回がダブルボトムだったため17日深夜から22日朝にかけての間と想定されるので早ければ18日未明安値でボトムを付けた可能性がある。このため114.30円超えからは上向きとし、114.50円超えからは強気サイクル入りとして20日早朝から24日午前にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では11月17日夜の急落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落した。先行スパンからの転落中は一段安警戒とするが、先行スパンへ潜り込むところからは上昇再開の可能性ありとし、先行スパン突破からは新たな上昇期入りとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は18日未明に20ポイント台へ急低下した。その後は30ポイント台へ戻しているが、50ポイントに届かないうちはもう一段安警戒とし、50ポイント到達からは上昇再開とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11月18日未明安値113.92円を下値支持線、114.50円を上値抵抗線とする。
(2)114.30円以下での推移中はまだ一段安余地ありと注意し、113.92円割れからは113.50円前後への下落を想定する。113.50円以下は反発注意とするが114円以下での推移なら19日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)114.30円超えからは上向きとし、114.50円超えからは上昇再開に入ったと仮定して再び115円へ挑戦する流れとみる。115円手前は反落注意だが、114.50円を超えた後も114.30円以上での推移なら19日も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

11/18(木)
米国・カナダ・メキシコ首脳会議(ワシントン)
未 定 (南) 南ア中銀 政策金利 (現行 3.50%、予想 3.50%)
14:35 (豪) エリス豪中銀総裁補、講演
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 16.00%、予想 15.00%)
22:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 26.7万件、予想 26.0万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 216.0万人、予想 212.0万人)
22:30 (米) 11月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (10月 23.8、予想 24.0)
24:00 (米) 10月 コンファレンスボード景気先行指数 前月比 (9月 0.2%、予想 0.8%)
27:00 (米) 財務省インフレ指数連動10年債入札

11/19(金)
休場 インド(シーク教ナナック生誕日、株式市場のみ休場)
08:30 (日) 10月 全国消費者物価 前年同月比 (9月 0.2%、予想 0.1%)
08:30 (日) 10月 全国消費者物価・生鮮食品除く 前年同月比 (9月 0.1%、予想 0.1%)
08:30 (日) 10月 全国消費者物価・生鮮食品・エネルギー除く 前年同月比 (9月 -0.5%、予想 -0.7%)
09:01 (英) 11月 GFK消費者信頼感 (10月 -17、予想 -18)
16:00 (独) 10月 生産者物価 前月比 (9月 2.3%、予想 1.9%)
16:00 (英) 10月 小売売上高 前月比 (9月 -0.2%、予想 0.5%)

16:00 (英) 10月 小売売上高 前年同月比 (9月 -1.3%、予想 -1.9%)
16:00 (英) 10月 小売売上高・除自動車 前月比 (9月 -0.6%、予想 0.6%)
16:00 (英) 10月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (9月 -2.6%、予想 -2.8%)
17:30 (欧) ラガルドECB総裁、講演
18:00 (欧) 9月 経常収支・季調済 (8月 134億ユーロ)
18:00 (欧) 9月 経常収支・季調前 (8月 176億ユーロ)
24:45 (米) ウォラーFRB理事、講演
26:15 (米) クラリダFRB副議長、講演

注:ポイント要約は編集部

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