トルコリラ円見通し 6日連続の日足陰線、5日連続の史上最安値更新(21/11/17)

トルコリラ円の11月16日は11.34円から10.97円の取引レンジ、17日早朝終値は11.09円で前日終値の11.32円から0.23円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し 6日連続の日足陰線、5日連続の史上最安値更新(21/11/17)

6日連続の日足陰線、5日連続の史上最安値更新

〇トルコリラ円、11/16は11.34から10.97の取引レンジ、6日連続日足陰線
〇9/2高値13.32から10.97まで2.35の下落幅、2020年6月3日からの下落時に近い
〇11/18トルコ中銀金融政策決定会合、予想中央値は15.0%への引き下げ
〇ドル/トルコリラ、11/17早朝終値10.34リラで最安値更新、ドル高感でリラ売り加速
〇利下げ見送りでの強気サプライズ、利下げ強行一段安後の買い戻し、いずれかが流れ変更には必要
〇11.18以下での推移中は下向きとし、10.97割れからは10.80、10.70順次試す流れとみる
〇11.18超えの場合11.25前後への上昇を想定、その後の反発警戒とする

【概況】

トルコリラ円の11月16日は11.34円から10.97円の取引レンジ、17日早朝終値は11.09円で前日終値の11.32円から0.23円の円高リラ安となった。
10月21日のトルコ中銀による高インフレ下での2%の大幅利下げを嫌気して11円台に突入、昨年11月6日の12.03円を割り込んで史上最安値更新に入り、10月25日安値で11.50円を付けたところからいったん12円台回復まで戻したものの勢い付かず、11月に入ってからは連日の下落で11月9日から16日まで6日連続の日足陰線、11月10日からは5日連続で史上最安値を更新している。
11月18日のトルコ中銀金融政策での3会合連続の利下げ見通しと高インフレ下での利下げ強行という金融政策への不信感がリラ売り攻勢にさらされている状況だ。
11月16日深夜にこの日の安値となる10.97円までややフラッシュクラッシュ的に下げてからいったん戻したものの早々に売られて17日午前序盤には11.10円を割り込んでいる。FX業者によっては深夜の安値は11.00円から10.89円の安値を示現しているところもあった。

【対ドルでの史上最安値更新も続く】

ドル/トルコリラの11月16日は10.40リラから10.02リラの取引レンジ、17日早朝終値は10.34リラで前日終値の10.05リラからは0.29リラのドル高リラ安となった。
10月21日のトルコ中銀による2会合連続の大幅利下げとエルドアン大統領による欧米10か国大使追放指示騒動から10月25日に9.85リラへ史上最安値を更新し、10月26日に9.38リラまでいったん戻したもののその後は連日の下落となり、11月10日に米消費者物価上昇率が上ブレしたことでのドル全面高にも押されて9.87リラへ最安値を更新、11日から15日までも連日の最安値更新となっていたが、11月16日も米経済指標が軒並み強く米長期債利回りが上昇、ECBが利上げを急がない姿勢を強調したことで15日に急落していたユーロドルが大幅下続落してドル高感が強まり、弱い通貨としてのリラ売りが加速した。
当日の高値から安値まで0.38リラの値幅による日足大陰線で下落だが、10月21日の中銀利下げ時にける9.18リラから9.55リラへと0.37リラの日足大陰線となった時を若干超える規模の下落となっている。

【11月18日に利下げ強行か、思いとどまるか】

11月16日にトルコのエルバン財務相は「物価安定は持続的な成長にとって必要不可欠であり、トルコはインフレと戦うことを決意している」と述べたが、「残念ながらインフレは我々が希望する水準ではない」とした。エルバン財務相は12日にも政府が輸出促進のためリラ安を望んでいるのではないかとの質問に対して、トルコは変動相場制をとっているとリラ安誘導を否定、経常収支の改善を目指しているとトルコ議会予算委員会で発言している。しかしリラ防衛への積極姿勢やインフレ抑制への金融引き締めの必要性には言及していない。
11月18日のトルコ中銀金融政策決定会合に対して市場は3会合連続での利下げを予想しており、予想レンジは14.5%への大幅引き下げから16.0%での現状維持までで、予想中央値は15.0%への引き下げとなっている。

【下落角度は2020年6月3日からの下落時に近い】

トルコリラ円の下落規模は2020年6月3日高値16.25円から同年11月6日の当時の史上最安値12.03円への下落時(下落幅は4.22円)、2021年2月16日高値15.26円まで戻してからアーバル総裁解任騒動などにより6月2日安値12.44円まで下落した時(下げ幅2.82円)に対して、9月2日高値13.32円から11月16日時点の安値10.97円まで2.35円の下落幅となっており、下落角度としては2020年6月3日からの下落時に近い印象だ。
ドル/トルコリラも既に心理的な節目の1ドル=10リラも超えて底抜けした状況での最安値追及に入っており、流れが変わるとすれば11月18日に中銀が利下げを見送ることでの強気サプライズか、利下げ強行でさらに一段安したところで当面の悪材料消化として買い戻されるのか、いずれかの動きが必要だろう。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月4日午前高値をサイクルトップとした下落継続としてきたが、11月10日夜安値からいったん戻して一段安したために11月11日午前時点では11月10日夜安値を直近のサイクルボトム、10日深夜高値を同サイクルトップとした新たな弱気サイクル入りとして15日夜から17日夜にかけての間への下落を想定した。
16日深夜に11円割れへ急落したところからいったん戻しているため、16日深夜安値でボトムを付けて既に新たな下落期に入りつつある状況か、15日午後安値を直近のサイクルボトムとしてすでに底割れから新たな下落期に入っている可能性が考えられる。このため11月16日深夜の戻り高値11.18円を超えないうちはもう一段安へ進みやすいとみて18日のトルコ中銀金融政策決定会合前後への下落継続とみる。

60分足の一目均衡表では11月9日午前からの下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからの転落も続いている。先行スパンを上抜けないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とし、先行スパンを上抜くところからは戻り高値をさらに試すとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は16日深夜の急落時に20ポイントまで低下してから戻したが40ポイントに届かずにいるのでまだ一段安余地ありとみる。強気転換は50ポイント超えからとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、10.97円を下値支持線、11.18円を上値抵抗線とする。
(2)11.18円以下での推移中は下向きとし、10.97円割れからは10.80円、10.70円を順次試す流れとみる。10.70円以下は反騰注意とするが、11.18円以下での推移なら18日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)11.15円から11.18円にかけては戻り売りにつかまりやすいとみる。11.18円超えの場合は11.25円前後への上昇を想定するが、その後の反落警戒とする。

【当面の主な予定】

11月18日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合
 週間レポレート (現行 16.0%、予想 15.0%)
翌日貸出金利 (現行 17.5%)
       翌日借入金利 (現行 14.5%)
       後期流動性貸出金利 (20.50%)
 20:30 週次 外貨準備高(グロス) 11/12時点 (11/5時点 857.9億ドル)
11月22日
 16:00 11月 消費者信頼感指数 (10月 76.8)
 17:00 10月 観光客数 前年比 (9月 59.45%)
 23:30 10月 中央政府債務 (9月 218.1億リラ)
11月24日
 16:00 11月 製造業景況感 (10月 109.6)
 16:00 11月 設備稼働率 (10月 78.0%)    


注:ポイント要約は編集部

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