トルコリラ円見通し リラ売り止まず4日連続で史上最安値更新続く
〇トルコリラ円、11/15は11.45から11.28の取引レンジ、4営業日連続で史上最安値更新
〇ドル/トルコリラ、11/15は10.07から9.92の取引レンジ、連日の史上最安値更新
〇ドル高感強まる中、連続利下げが懸念されるリラ売り攻勢止まず
〇11/18のトルコ中銀金融政策決定会合、15%への利下げが予想される
〇11.40以下での推移中は下向きとし、11.28割れからは11.20前後への下落を想定する
〇11.35から11.40にかけてのゾーンは、戻り売りにつかまりやすいとみる
【概況】
トルコリラ円の11月15日は11.45円から11.28円の取引レンジ、16日早朝の終値は11.32円で先週末終値11.40円からは0.08円の円高リラ安となった、
11月18日のトルコ中銀金融政策決定会合における3会合連続での利下げ予想を背景にリラ売りの勢いは止まず、トルコリラ円の日足は5日連続の陰線で下落、10月25日に付けた11.50円を11月10日に割り込んでからは4営業日連続での史上最安値更新となっている。
トルコリラ円の下落規模は9月2日高値13.32円から11月15日安値11.28円まで既に2.04円の下落幅となっているが、2020年6月3日高値16.25円から同年11月6日の当時の史上最安値12.03円まで4.22円の下落規模となったところ、及び今年2月16日高値15.26円から6月2日安値12.44円まで2.82円の下落規模となったところに近い動きだ。
【対ドルでの史上最安値更新も続く】
ドル/トルコリラの11月15日は10.07リラから9.92リラの取引レンジ、16日早朝の終値は10.05リラで先週末終値の9.97リラからは0.08リラのドル高リラ安となった。
高インフレが続く中で10月21日のトルコ中銀による政策金利の18%から16%への大幅利下げ、10月25日にエルドアン大統領が欧米10か国大使の国外追放を指示したとの騒動も加わって10月25日に9.85リラへ史上最安値を更新し、いったん10月26日に9.38リラまで戻したものの早々にリラ売り再開となり、11月10日にドル全面高が進行したところで9.87リラへ最安値を更新、11日、12日、15日とその後も連日の史上最安値更新となっている。
11月15日はユーロドルが急落したことでメジャー通貨の加重平均であるドル指数が2020年7月以来の高値へと上昇、年初来最高値を更新したが、ドル高感が強まる中で連続利下げが懸念されるリラ売り攻勢も止まない印象だ。
11月15日夕刻にはトルコの10月財政収支の発表があり、174.1億ドルの財政赤字で9月の235.9億ドルの赤字に続いて2か月連続赤字だった。今年は2月と3月及び8月が黒字だったものの後は赤字に終わっている。発表に対する市場の反応は薄かった。
【11月18日の連続利下げ観測強まる】
11月18日にトルコ中銀の金融政策決定会合があるが、市場は3会合連続での利下げを予想している。
トルコ中銀は9月23日に政策金利の週間レポレートをそれまでの19.0%から18.0%へ引き下げ、10月21日にはさらに16.0%へと大幅に引き下げた。
消費者物価上昇率が20%近い高インフレ状態での利下げ強行であり、エルドアン大統領は利下げによってインフレも収まるとの異説を繰り返し強調しており、9月の利下げ幅が小さかったとして中銀の副総裁2名らを突然解任するなど中銀への介入姿勢を強めている。今回の会合では15%への利下げが予想されているが、アナリストの事前予想は14.5%への引き下げから16%での現状維持まで幅がある。
利下げと金融政策への不信感がリラ売りを招いているのだが、リラ安が輸出に貢献したとしても海外投資家の投資意欲を削ぎ投機マネーによるリラ売り攻勢が強まれば通貨危機的な状況にもなりかねないと懸念される。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月4日午前高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして11月8日夜から10日夜にかけての間への下落を想定していたが、1月10日夜に史上最安値を更新したところからいったん戻して再び反落したために、11日午前時点では11月10日夜安値を直近のサイクルボトム、10日深夜高値を同サイクルトップとした新たな弱気サイクル入りとして15日夜から17日夜にかけての間への下落を想定した。
15日夕刻に11.40円を超えるところまで戻してから一段安しているため引き続きボトム形成中とみるが、15日午後安値で直近のサイクルボトムを付けて底割れから新たな下落期に入っている可能性も懸念される。このため15日夕高値を超えないうちは一段安警戒として17日夜以降へ安値形成期が長引く可能性もあると注意する。
60分足の一目均衡表では11月9日午前からの下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからの転落も続いている。先行スパンを上抜けないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とし、先行スパンを上抜くところからは戻り高値をさらに試すとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は15日夕刻に60ポイントまで戻してから40ポイント割れへ失速しているので、50ポイント以下での推移中は下向きとして20ポイント台を目指す流れとみる。強気転換には55ポイントを超えてその後も50ポイント以上を維持する上昇が必要と思われる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11.28円を下値支持線、11.40円を上値抵抗線とする。
(2)11.40円以下での推移中は下向きとし、11.28円割れからは11.20円前後への下落を想定する。11.20円以下は反発注意とするが下げ足が速まる場合は11.10円台中盤へ下値目途を引き下げる。
(3)11.35円から11.40円にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみる。
【当面の主な予定】
11月16日
17:00 10月 自動車生産 前年比 (9月 -24.7%)
11月18日
20:00 トルコ中銀 金融政策決定会合 週間レポレート (現行 16.0%、予想 15.0%)
20:30 週次 外貨準備高(グロス) 11/12時点 (11/5時点 857.9億ドル)
11月22日
16:00 11月 消費者信頼感指数 (10月 76.8)
17:00 10月 観光客数 前年比 (9月 59.45%)
23:30 10月 中央政府債務 (9月 218.1億リラ)
11月24日
16:00 11月 製造業景況感 (10月 109.6)
16:00 11月 設備稼働率 (10月 78.0%)
注:ポイント要約は編集部
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