2017年3月以来の高値、米経済指標強くドル全面高
〇ドル円11/17早朝114.97へ急伸、16日夜米経済指標強くドル高加速、4年半ぶりの高値水準
〇米小売売上高、輸出入物価指数、鉄工業生産指数、総じて市場予想超え景気回復感
〇NYダウ前日比54.77ドル高、ナスダック総合指数120.01ポイント高上昇
〇米経済指標の強さ、米長期債利回り上昇、利上げ前倒し感重なりドル全面高の様相
〇115円到達からは115.25、115.50、115.75と段階的に高値を試して行く流れとみる
〇114.40割れからはいったん調整安入りとみて、114.30から114.00にかけてのゾーンを試すとみる
【概況】
ドル円は11月17日早朝に114.97円へ上昇、2017年3月5日以来4年半ぶりの高値水準となった。
11月10日夜の米消費者物価発表をきっかけとしたインフレ懸念深刻化による米長期債利回りの上昇と、ドル全面高により114円台へ乗せた後、12日午前高値114.30円から調整安に入ったが12日深夜と15日朝に113.74円を付けたところで下げ止まり、16日は114円台を再び回復して昼前には114.31円へ上昇して12日午前高値を超えた。16日夜は米経済指標が軒並み強かったことでドル高が加速し、10月20日高値114.69円を超えて年初来高値を更新、115円に迫るところまで急伸した。
【米経済指標、総じて強い】
米商務省による10月の小売売上高は前月比1.7%増となり9月の0.8%から大幅に上昇、市場予想の1.4%も超えて3か月連続のプラスとなった。変動の激しい自動車・同部品とガソリンを除くと1.4%増だった。
米労働省による10月の輸入物価指数は前月比1.2%上昇となり9月の0.4%から跳ね上がって2か月連続の上昇で市場予想の1.0%を上回った。前年比は6.1%上昇となった。輸出物価指数も前月比1.5%上昇となり9月の0.1%から跳ね上がって予想の1.0%を超えた。
米連銀による10月の鉱工業生産指数は前月比1.6%上昇となり9月の1.3%低下から改善して市場予想の0.7%を大幅に上回った。9月はハリケーンの影響が出ていたところから回復となった模様。前年同月比は5.1%上昇だった。また設備稼働率は76.4%で9月の75.2%から上昇した。
景気回復感と共にインフレ指標の上ブレも顕著であり、米経済指標発表後はドル全面高の様相となった。
【米連銀も徐々にタカ派へ傾斜か】
米セントルイス連銀のブラード総裁は11月16日にインタビューにおいて、GDPと労働市場の状況がコロナ前に戻れば「政策金利をコロナ前の水準に戻すべき時期だ」と述べた。コロナ前の政策金利は1.5%から1.75%であり、3%から4%へ大幅に利上げする必要はないとの見方を示した。総裁は「米連銀は今後において若干タカ派的となり、インフレリスクを管理しようとするだろう」とも述べた。利上げしても低水準にとどまる見通しではあるが、11月4日未明のFOMCで示された利上げを急がない姿勢からは徐々にタカ派へと傾斜してゆくだろうという市場の認識に沿ったものだ。
11月16日の米長期債利回りは概ね上昇、10年債利回りは前日比0.02%上昇の1.64%となり、11月9日の1.41%からの上昇を継続しており10月21日に付けた1.70%へ徐々に迫ってきている。30年債利回りも前日比0.03%上昇して2.03%となり2%へ乗せてからの続伸となった。2年債利回りは変わらずの0.52%だが11月5日の0.39%からの反騰一服で高水準を維持して10月28日の0.56%に迫る水準にある。
株式市場は経済指標の強さと年末商戦への期待感から買われてNYダウが前日比54.77ドル高、ナスダック総合指数も120.01ポイント高と上昇した。株買い・債券売りによる長期債利回り上昇感もあるが、インフレの進行による利上げ時期前倒し感からの利回り上昇であり、欧州中銀(ECB)が利上げを急がない姿勢を強調していることとの対比でユーロドルが大幅に下落していることも重なってドル全面高の様相となってきている。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、11月12日深夜と15日午前に113.74円の同値を付けてから114円台序盤を回復したために16日朝時点ではダブル底から既に新たな強気サイクル入りしているとして17日午前から19日午前にかけての間への上昇を想定した。
17日早朝へ大幅続伸しているため引き続きトップ形成中とみる。17日の下値支持線は114.50円前後までとし、若干下げたところは買われやすいとみるが、114.40円割れから続落に入る場合はいったん調整安に入る可能性があるとみて18日朝から22日午前にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では11月16日早朝に遅行スパンが好転、先行スパンも突破したが、その後も両スパン揃っての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。大幅上昇後の反動安も警戒されるので遅行スパン悪化からはいったん下げに入るとみて安値試し優先とするが、先行スパンを上回るうちはその後に遅行スパンが好転するところからは上昇再開とみる。
60分足の相対力指数は80ポイント台に到達しているので高値警戒感のあるところのため、小調整を入れてから高値を切り上げる際に指数のピークが切り下がる弱気逆行が発生するようだとその後に下げやすくなると注意し、60ポイント割れからは40ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、114.50円を下値支持線、115.00円を上値抵抗線とする。
(2)115円到達からは115.25円、115.50円、115.75円と段階的に高値を試して行く流れとみる。週足レベルで上値抵抗とすべき高値は2016年12月天井の118.65円まで見当たらなくなっていること、ここ数年で最大級の上昇であることも念頭に入れておきたい。
(3)114.40円割れからはいったん調整安入りとみて114.30円から114.00円にかけてのゾーンを試すとみるが、そこは押し目買いされやすい水準と考える。
【当面の主な予定】
11/17(水)
09:30 (豪) 7-9月期 賃金指数 前期比 (4-6月 0.4%、予想 0.5%)
09:30 (豪) 7-9月期 賃金指数 前年同期比 (4-6月 1.7%、予想 2.2%)
16:00 (英) 10月 消費者物価指数 前月比 (9月 0.3%、予想 0.8%)
16:00 (英) 10月 消費者物価指数 前年同月比 (9月 3.1%、予想 3.9%)
16:00 (英) 10月 消費者物価コア指数 前年同月比 (9月 2.9%、予想 3.1%)
16:00 (英) 10月 小売物価指数 前月比 (9月 0.4%、予想 0.8%)
16:00 (英) 10月 小売物価指数 前年同月比 (9月 4.9%、予想 5.7%)
18:00 (欧) ECB金融安定報告
19:00 (欧) 9月 建設支出 前月比 (8月 -1.3%)
19:00 (欧) 10月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (9月 4.1%、予想 4.1%)
19:00 (欧) 10月 消費者物価コア指数改定値 前年同月比 (9月 2.1%、予想 2.1%)
22:30 (米) 10月 住宅着工件数・年率換算件数 (9月 155.5万件、予想 158.0万件)
22:30 (米) 10月 住宅着工件数 前月比 (9月 -1.6%、予想 1.6%)
22:30 (米) 10月 建設許可件数・年率換算件数 (9月 158.9万件、予想 163.0万件)
22:30 (米) 10月 建設許可件数 前月比 (9月 -7.7%、予想 2.8%)
23:10 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
24:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
25:00 (米) ボウマンFRB理事、講演
25:20 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、ウォラーFRB理事、講演
26:40 (米) ウォラーFRB理事、講演
27:00 (米) 財務省20年債入札
11/18(木)
米国・カナダ・メキシコ首脳会議(ワシントン)
未 定 (南) 南ア中銀 政策金利 (現行 3.50%、予想 3.50%)
14:35 (豪) エリス豪中銀総裁補、講演
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 16.00%、予想 15.00%)
22:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 26.7万件、予想 26.0万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 216.0万人)
22:30 (米) 11月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (10月 23.8、予想 24.0)
24:00 (米) 10月 コンファレンスボード景気先行指数 前月比 (9月 0.2%、予想 0.8%)
27:00 (米) 財務省インフレ指数連動10年債入札
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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