『対円・対ドル共に史上最安値更新。来週はトルコ中銀会合に注目』
〇今週のトルコ円、11.70台から11.36まで急落、史上最安値を更新
〇トルコ中銀追加利下げ観測、米CPI上昇に伴うドル高等が重石に
〇トルコ中銀はリラ防衛策に外貨預金の準備率引き上げを実施するも市場の反応は限定的
〇トルコリラ、対円対ドルとも史上最安値を大幅更新、テクニカルの地合い弱い
〇ファンダメンタルズもトルコ円下落材料多い
〇トルコ円続落をメインシナリオとして予想、11/18の中銀会合での追加利下げの有無に注目集まる
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):11.05ー11.65
今週のレビュー(11/8−11/12)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初11.70円で寄り付いた後、早々に週間高値11.76円まで上昇しました。しかし、上方に控える一目均衡表転換線に続伸を阻まれると、@トルコ中銀による追加利下げ観測(来週のトルコ中銀会合で100bpの追加利下げに踏み切るとの思惑)や、A米10月消費者物価指数の急上昇(米インフレ懸念再燃→米長期金利急上昇→米国とトルコの金利差拡大→対外債務を多く抱えるトルコから米国への資金流出)、B実質金利のマイナス幅拡大、Cトルコ経済の先行き不透明感などが重石となり、週後半にかけて、史上最安値11.36円まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間11/13午前5時00分現在)では11.37円前後で推移しております。尚、トルコ中銀は11/9、リラ安防衛策の一環として外貨預金の所要準備率を200bp引き上げる措置を発表しましたが、市場の反応は限定的となりました。
来週の見通し(11/15−11/19)
トルコリラの対円相場は9/1に記録した約4ヵ月ぶり高値13.34円をトップに反落に転じると、今週末にかけて史上最安値11.36円まで急落しました。ローソク足が全ての主要チャートポイント(一目均衡表転換線や基準線、90日線や21日など)の下側に位置している他、強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転や弱気のパーフェクトオーダー、弱気のバンドウォークも成立するなど、テクニカル的に見て、「地合いの弱さ」を決定付けるチャート形状となっております(対円・対ドル共に史上最安値を大幅更新)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコ中銀による次回会合(11/18)での追加利下げ観測や、Aエルドアン大統領による利下げ圧力(中銀の独立性に対する不信感)、B世界的なインフレ懸念(新興国から米国への資金流出圧力)、C上記@ABを背景とした外国人投資家によるトルコ離れ、Dリラ安防衛手段の乏しさ(介入余力の乏しさ)、Eトルコ経済の先行き不透明感(トルコ国内におけるスタグフレーション懸念)、F実質金利のマイナス幅拡大(名目金利引き下げ+インフレ高進の組み合わせ)など、トルコリラ円相場の下落を意識させる材料が増えつつあります。
以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は11/18に予定されているトルコ中銀会合に注目が集まります。市場では先週発表されたトルコ10月消費者物価コア指数が市場予想を下回ったことや、今週発表された経常収支が市場予想を上回ったことで、11月会合で100bpの追加利下げ、12月会合でも100bpの追加利下げに踏み切るとの見方が増えつつある為、来週は週を通して、ダウンサイドリスクに注意を要する1週間となりそうです(トルコリラの金利先安観→トルコリラ下落の波及経路。心理的節目11円割れを試すシナリオも想定)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):11.05ー11.65
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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