来週の為替相場見通し:『ドル高基調が継続か。ドル円は年初来高値更新も視野に』(11/13朝)

ドル円は週明け11/9に約1ヵ月ぶり安値112.71まで下げ幅を広げるも、一目均衡表基準線をバックに下げ渋ると、週末にかけて114.31まで反発しました

来週の為替相場見通し:『ドル高基調が継続か。ドル円は年初来高値更新も視野に』(11/13朝)

『ドル高基調が継続か。ドル円は年初来高値更新も視野に』

〇今週のドル円、週初は雇用統計後のドル売りの流れに11/9にかけて112.71の週間安値に下落
〇その後株式市場の反発、米CPIの予想外の上昇による米長期金利の急上昇に週末にかけ114.31まで急伸
〇ユーロドルドル売り先行し週初1.1609をつけるも、ドル買い強まり、週末にかけて1.1433まで急落
〇ドル円テクニカルの地合い強く、ポジション調整を終え、ドル高円安トレンド再開か
〇ファンダメンタルズもドル円上昇材料増える
〇ドル円続伸がメインシナリオ、米指標、当局者発言要注意
〇来週の予想レンジ(USDJPY):113.00ー115.00、(EURUSD):1.1350−1.1550

今週のレビュー(11/8−11/12)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初113.43で寄り付いた後、@先週末金曜日の米雇用統計後のドル売りの流れ(米長期金利低下→ドル売り)や、A米当局者によるハト派的な発言(クラリダFRB副議長やフィラデルフィア連銀ハーカー総裁など)、B株式市場の軟調推移(リスク回避の円買い圧力)、C心理的節目113.00を割り込んだことに伴う短期筋のロスカット、DパウエルFRB議長の後任としてハト派色の強いブレイナード理事が就任するのではないかとの思惑が重石となり、翌11/9にかけて、週間安値112.71(10/11以来、約1ヵ月ぶり安値圏)まで下落しました。しかし、一目均衡表基準線をバックに下げ渋ると、E株式市場の持ち直し(リスク回避の円買い後退)や、F岸田首相による「来週中に数十兆円規模の経済対策取りまとめる」との前向きな発言、

G米10月消費者物価指数(結果6.2%、予想5.8%、※前年同月比)および、H米10月消費者物価コア指数(結果4.6%、予想4.3%、※前年同月比)の市場予想を上回る結果(米CPIは1990年11月以来の大幅な伸びを記録。同コア指数は1991年8月以来の伸びを記録)、I上記GHを背景とした米利上げ前倒し観測(米10年債利回りは1.41%から1.59%へ急上昇)が支援材料となり、週末にかけて、週間高値114.31(11/1以来の高値圏)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間11/13午前5時00分現在)では、113.90前後で推移しております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.1555で寄り付いた後、@先週末金曜日の米雇用統計後のドル売りの流れ(米長期金利低下→ドル売り)や、A米当局者によるハト派的な発言(クラリダFRB副議長やフィラデルフィア連銀ハーカー総裁など)、Bユーロ圏11月投資家信頼感指数(結果+18.3、予想+15.0)の良好な結果が支援材料となり、翌11/9にかけて、週間高値1.1609まで上昇しました。しかし、レジスタンスポイントが密集する1.1600前後の壁に続伸を阻まれると(一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線やボリンジャーミッドバンドが密集するレジスタンスゾーン)、C欧米金融政策格差を背景としたユーロ売り・ドル買い圧力や、D先週来続いたドル売りの巻き戻し、E米10月消費者物価指数および、F米10月消費者物価コア指数の市場予想を上回る結果、G上記EFを背景とした米長期金利の急上昇(米インフレ懸念再燃→米利上げ前倒し観測→米金利上昇→米ドル高)、

H心理的節目1.1500を割り込んだことに伴う短期筋のロスカット、I北アイルランドを巡る英国と欧州連合の確執懸念が重石となり、週末にかけて、週間安値1.1433(昨年7月以来、約1年4ヵ月ぶり安値圏)まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間11/13午前5時00分現在)では1.1445前後で推移しております。

来週の見通し(11/15−11/19)

<ドル円相場>
ドル円は週明け11/9に約1ヵ月ぶり安値112.71まで下げ幅を広げるも、一目均衡表基準線をバックに下げ渋ると、週末にかけて114.31まで反発しました(先週末金曜日の米雇用統計後の下げ幅を解消。全値戻しを達成済み)。この間、一目均衡表基準線や転換線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線を上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する一目均衡表三役好転や、移動平均線のパーフェクトオーダーも継続するなど、テクニカル的に見て、地合いの強さを決定づけるチャート形状となりつつあります(ポジション調整終了→ドル高・円安トレンド再開)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(来年7月頃の利上げ再開が織り込まれる米国と、金融緩和の長期化が織り込まれる日本との金融政策格差)や、A米主要株価指数の底堅い動き(米テーパリング開始決定や利上げ前倒し観測再燃でも米株が崩れていないことに対する安堵感→投資家心理改善)、B黒田日銀総裁による円安容認観測(同氏は10/28、「現時点で若干の円安だが、これが悪い円安とか日本経済にとってマイナスになるということはない」「日本経済に総合的にプラスであることは確実」と発言)、C世界的なインフレ懸念(米国および中国でインフレ懸念台頭。インフレが一時的で終わらないリスクを織り込む展開。米利上げ前倒し観測がもう一段高まれば、特に新興国から米国への資金還流が促され、米ドル高の動きが一層強まる恐れ。また、資源インフレ発生に伴う円の実質金利低下→円売りの流れも併せて警戒)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が増えつつあります。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は米経済指標(米11月ニューヨーク連銀製造業景況指数、米10月輸入物価指数、米10月小売売上高、米10月鉱工業生産、米10月住宅着工件数、米11月フィラデルフィア連銀景況指数など)に加えて、複数の米当局者発言(リッチモンド連銀バーキン総裁、アトランタ連銀ボスティック総裁、カンザスシティ連銀ジョージ総裁、サンフランシスコ連銀デイリー総裁、ボウマンFRB理事、クリーブランド連銀メスター総裁、ウォーラーFRB理事、シカゴ連銀エバンス総裁、クラリダFRB副議長など)に注目が集まります。

米経済指標が市場予想を上回る場合や、米当局者よりタカ派的な発言(先日の米CPIの急上昇を受けて発言内容がタカ派寄りにシフトするか否か)が見られる場合などには、米早期利上げ観測再燃→米長期金利上昇→米ドル高の経路でドル円には強い上昇圧力が加わることが予想される為、来週もアップサイドリスクに注意を要する1週間となりそうです(10/20に記録した約4年ぶり高値114.71を試すシナリオを想定)。

来週の予想レンジ(USDJPY):113.00ー115.00

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は9/3に記録した直近高値1.1910をトップに反落に転じると、今週末にかけて、昨年7月以来、約1年4ヵ月ぶり安値となる1.1436まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転や、移動平均線のパーフェクトオーダー、バリンジャーバンド下限に沿って下落を続ける弱気のバンドウォークも継続するなど、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます(1.15台前半から1.11台半ばにかけては真空地帯でサポートポイントなし→1.11台後半まで一気に下げ足を速めるリスクが潜在的にあり)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@欧米金融政策の方向性の違い(来年7月頃の早期利上げが織り込まれる米国と、金融緩和長期化が見込まれる欧州との金融政策格差。ラガルドECB総裁やレーンECB専務理事は引き続きハト派的なスタンスを維持)、A欧州圏を巡る新型コロナウイルスの感染再拡大懸念(ドイツ・フランス・オランダなどの主要国でも感染者が急拡大。ロックダウン再導入への警戒感)、B上記Aを背景とした欧州経済の先行き不透明感、Cドイツを巡る政局不透明感、D北アイルランド議定書を巡る英国・欧州連合間の確執懸念など、ユーロドル相場の上値を抑制する材料が増えつつあります。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロドル相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、ユーロ安・ドル高基調の継続を示唆)。尚、来週はユーロ圏の経済イベントに乏しいことから、米ドル主導の動き(米当局者発言やそれに伴う米長期金利の動きに上下する展開)が想定されます。米長期金利上昇→米ドル高の流れが加速する場合には、ユーロドルにもう一段強い下押し圧力が加わるものと推察される為、来週もダウンサイドリスクに注意を要する1週間となりそうです。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.1350−1.1550

注:ポイント要約は編集部

『ドル高基調が継続か。ドル円は年初来高値更新も視野に』

ドル円日足

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