『冴えない動きが継続中。来週は南ア経済イベントが目白押し』
〇今週の南ア円、週初の高値7.60から、週央にかけ7.35まで下落、週末にかけ7.42レベルに小幅反発
〇大規模停電計画、米ドル高、与党ANCの求心力低下等が下落要因、一部経済指標は良好な結果
〇南ア円、ローソク足が主要チャートポイント下方ブレイク、テクニカルの地合い弱い
〇ファンダメンタルズも南ア円下落材料多い
〇南ア円続落がメインシナリオ、来週CPI、小売売上高、中銀会合に注目集まる
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.25ー7.60
今週のレビュー(11/8−11/12)
今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初7.53円で寄り付いた後、早々に週間高値7.60円まで上昇しました。しかし、21日移動平均線に続伸を阻まれると、@国営電力会社エスコムによる大規模計画停電の実施(計画停電が週末まで続くとの見通し→南ア経済の先行き不透明感)や、A米中で高まるインフレ懸念(米CPIが1990年11月以来の大幅な伸びを記録した他、中国PPIも1995年以降で最も高い伸びを記録)、B上記Aを背景とした新興国から米国への資本流出圧力、C南アフリカ中期予算発表を控えた警戒感、D与党・アフリカ民族会議(ANC)の求心力低下(政情不安に繋がる恐れ)、
E南アフリカの主要産品であるプラチナ価格の軟調推移などが重石となり、週央にかけて、週間安値7.35円まで下落しました。もっとも、11/2に記録した直近安値7.33円をバックに続落を阻まれると、F南ア9月製造業生産(結果3.8%、予想1.2%)の力強い結果や、G南ア政府による2021年のGDP成長率予想の上方修正、H南ア政府による中期予算発表での赤字削減+債務抑制に対するコミットメントが支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間11/13午前5時00分現在)では7.42円前後で推移しております。
来週の見通し(11/15−11/19)
南アランド円相場は10/20に記録した直近高値7.95円(約4ヵ月ぶり高値圏)をトップに反落に転じると、11/2にかけて約1ヶ月半ぶり安値7.33円まで下落しました(今週は11/10に一時7.35円まで下落するなど、直近安値に迫る展開)。週末にかけて持ち直すも戻りは鈍く、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます(ローソク足は、90日移動平均線や200日移動平均線、一目均衡表転換線や一目均衡表雲上下限などの主要チャートポイントを軒並み下方ブレイク)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@電力会社エスコムによる計画停電の長期化懸念や、A上記@を背景とした南アフリカ経済の先行き不透明感、Bインフレ上昇に伴う南アランドの実質金利低下、C与党・アフリカ民族会議(ANC)の求心力低下(5年に1度の南アフリカ統一地方選挙でANCの得票率は初めて半数を下回る結果→ラマポーザ政権の求心力低下→今年7月に発生したようなデモや暴動が再開し、政情が不安定化するとの警戒感)、D米国のインフレ懸念(米利上げ前倒し観測台頭→対外債務を多く抱える新興国から米国への資本流出圧力)など、南アランド円相場の下落を意識させる材料が増えつつあります。
以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は11/17に発表される南ア10月消費者物価指数や、南ア9月小売売上高に加えて、11/18の南ア中銀会合などに注目が集まります。また、南アフリカと経済的な結びつきの強い中国の主要経済指標(中国10月小売売上高、同鉱工業生産、同固定資産投資)にも警戒が必要でしょう。南ア経済指標や中国経済指標が市場予想を下回る場合や、南ア中銀会合がハト派的な内容に帰結する場合などには、南アランドにもう一段強い下落圧力が加わると見られる為、来週はダウンサイドリスクに注意を要する1週間となりそうです(11/2に記録した直近安値7.33円を試すシナリオを想定)。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.25ー7.60
注:ポイント要約は編集部
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