トルコリラ円見通し ドル全面高続き対ドル、対円での史上最安値更新続く、連続利下げ予想も(21/11/12)

トルコリラ円の11月11日は11.58円から11.41円の取引レンジ、12日早朝の終値は11.49円で前日終値の11.56円からは0.07円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し ドル全面高続き対ドル、対円での史上最安値更新続く、連続利下げ予想も(21/11/12)

ドル全面高続き対ドル、対円での史上最安値更新続く、連続利下げ予想も

〇トルコリラ円、昨日安値11.41、対ドルでの史上最安値更新やドル円の上げ渋りを背景に大幅続落
〇対ドル、11/11夕刻9.97へ下落、前日に引き続き最安値を更新
〇トルコ9月経常収支は改善、外貨準備高拡大するもリラ高には結びつかない状況
〇11/18開催のトルコ中銀金融政策決定会合、15%への利下げ予想、リラ売りが一段と進む可能性も
〇11.55以下での推移中は下向きとし、11.41割れからは11.30前後への下落を想定する
〇11.55から11.60にかけてのゾーンは、戻り売りにつかまりやすいとみる

【概況】

トルコリラ円の11月11日は11.58円から11.41円の取引レンジ、12日早朝の終値は11.49円で前日終値の11.56円からは0.07円の円高リラ安となった。
11月10日の米10月消費者物価上昇率が前年比で6.2%となり31年ぶりの高水準となったことをきっかけに米長期債利回りが急上昇して為替市場はドル全面高となった。トルコリラ円にとってはドル円の急上昇が下支えになるところではあったがそれ以上にドル高リラ安が進行したことで11月10日には11.46円まで下落して10月25日に付けたこれまでの史上最安値11.50円を割り込んだ。
11月11日は米国市場が祝日だったことで手掛かりに欠けたもののドルストレートでのドル高が継続、ユーロやポンドなどが年初来安値を更新する中でトルコリラは対ドルでの史上最安値をさらに更新、ドル円が114円を挟んで上げ渋ったことでトルコリラ円も大幅続落となった。
夕刻にこの日の安値を付けたところから深夜にかけてはいったん戻したものの12日早朝にかけては再び軟調な推移となっている。

【対ドルでの史上最安値更新続く】

ドル/トルコリラの11月11日は9.97リラから9.81リラの取引レンジ、12日早朝の終値は9.89リラで前日終値の9.83リラからは0.06リラのドル高リラ安となった。
11月10日の米消費者物価上昇率発表直後にドル全面高となりトルコリラも売られ、11月10日安値で9.87リラを付けて10月25日に付けたこれまでの史上最安値9.85リラを割り込んだが、11日も夕刻に9.97リラへ最安値を更新した。12日未明にかけては9.83リラへいったん戻したものの12日早朝には9.90リラを割り込んで最安値に再び迫っている。
ドル/トルコリラの下落幅は9月安値8.24リラから11日安値9.97リラまで2か月強の間で1.73リラまで拡大しているところだが、2018年8月の通貨危機においては8月の月間で4.90リラから7.21リラへ2.31リラの暴落となった時に匹敵する勢い及び規模となってきている。

【トルコの経常収支は改善、外貨準備高も拡大だがリラ売り攻勢止まず】

11月11日夕刻にはトルコの9月経常収支の発表があった。16.52億ドルの黒字となり8月の8.14億ドルから黒字幅が拡大した。トルコは構造的な経常赤字国であり、貿易赤字を観光収入等で賄っているが、今年5月に31.21億ドルの赤字だったところから赤字幅は6月に12.06億ドル、7月に6.01億ドルと縮小して8月から2か月連続で黒字となった。

ドル全面高続き対ドル、対円での史上最安値更新続く、連続利下げ予想も

11日夜に発表された週次の外貨準備高は11月5日時点でグロスで857.9億ドルとなり前週の841.1億ドルから増加した。今年の夏以降は増加基調を継続しており2020年8月の387.8億ドルを底として拡大している。
エルドアン政権及びトルコ中銀は経常収支の改善によるリラの立て直しを目指しており、これらの改善は本来ならリラ高材料となるべきところだが、現状は世界的なインフレ進行に対する金融引き締め及び利上げ催促的な長期債利回り上昇期にあり、為替市場はドル全面高の様相が濃くなってきているためにトルコの経常黒字化も外貨準備高拡大もリラ高には結びつかない状況だ。

【11月18日のトルコ中銀金融政策決定会合に対して15%への利下げ予想】

ロイター通信社による最新のアナリスト調査によると、11月18日の次回トルコ中銀金融政策決定会合では、政策金利の週間レポレートが現行の16.0%から15.0%へ引き下げられる見込みが予想中央値となった。物価上昇率が20%に迫る中で19.0%から17.0%へと大幅に利下げしたことが対ドル及び対円での史上最安値更新へのトリガーとなったが、さらに追加利下げとなればリラ売りは一段と進む可能性がある。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月4日夜に弱気転換目安とした11.70円を割り込んだために5日午前時点では11月4日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして8日夜から10日夜にかけての間への下落を想定したが、1月10日夜に史上最安値を更新したところからいったん戻して再び反落したために11日午前時点では11月10日夜安値を直近のサイクルボトムとして既に底割れから弱気サイクル入りしている可能性があるとして15日夜から17日夜にかけての間への下落を想定した。
11日夕刻安値へ一段安してからやや戻したものの10日深夜高値には届かずにいるのでまだ一段安余地ありとみる。強気転換は11日深夜高値11.63円超えからとし、下回るうちは週明けへの一段安警戒とみる。

60分足の一目均衡表では11月9日午前からの下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからの転落も続いている。先行スパンを上抜けないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とし、先行スパンを上抜くところからは戻り高値をさらに試すとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は10日夜から11日夕への安値更新に際して指数のボトムが切り上がる強気逆行がみられるものの10日深夜反発時から11日深夜反発時にかけて指数のピークが切り下がっているのでまだ一段安余地ありとして40ポイント割れからは20ポイント割れをもう一度試すとみる。強気転換には55ポイントを超えてその後も50ポイント以上を維持する必要がある。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11.41円を下値支持線、11.55円を上値抵抗線とする。
(2)11.55円以下での推移中は下向きとし、11.41円割れからは11.30円前後への下落を想定する。11.30円以下は反発注意とするが下げ足が速まる場合は11.20円台中盤へ下値目途を引き下げる。
(3)11.55円から11.60円にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみる。

【当面の主な予定】

11月12日
 16:00 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 5.4%)
 16:00 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 13.8%)
 16:00 9月 小売売上高 前月比 (8月 0.3%)
 16:00 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 15.0%)
11月15日
 17:00 10月 財政収支 (9月 1235.9億リラ)
11月18日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 週間レポレート (現行 16.0%、予想 15.0%)


注:ポイント要約は編集部

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