米インフレ進行でのドル全面高に圧されて史上最安値更新
〇米CPI、およそ31年ぶりの高水準でドル全面高、ドル/トルコリラ9.87で史上最安値更新
〇トルコリラ円も史上最安値11.46まで急落、ドル円急伸の円安でいったん戻すも終盤失速
〇10日発表9月トルコ失業率11.5%、8月から改善するも市場予想下回りリラ買いきっかけにならず
〇ドル全面高でユーロやポンド、豪ドルなどが売られるならリラ売りもさらに深刻化か
〇10日高値11.63を超える場合は11.65から11.67への上昇を想定
〇11.55割れからは下げ再開で10日夜安値11.46試し、底割れなら11.40前後への下落を想定
【概況】
トルコリラ円の11月10日は11.63円から11.46円の取引レンジ、11日早朝の終値は11.56円で前日終値の11.58円から0.02円の円高リラ安となった。
11月10日夜の米消費者物価上昇率が市場予想を超えて凡そ31年ぶりの高水準となったことで米連銀への利上げ催促と物価上昇を後追いする流れで米長期債利回りが急伸、為替市場はドル全面高の様相となりトルコリラは対ドルでの史上最安値を更新したことでトルコリラ円も米消費者物価上昇率発表後に史上最安値となる11.46円まで急落した。
ドル全面高の中でドル円が急伸したために最安値更新後は円安に押し上げられる形でトルコリラ円も深夜過ぎに11.63円までいったん戻したが、ドル円の上昇が一服する中で対ドルでのリラ安が継続したことで戻り売りとなって終盤には11.54円へ失速した。
【対ドルでは最安値近辺での持ち合い】
ドル/トルコリラの11月10日は9.87リラから9.70リラの取引レンジ、11日早朝の終値は9.83リラで前日終値の9.72リラからは0.11リラのドル高リラ安となった。
米消費者物価上昇率発表直後のドル全面高によりこの日の安値となる9.87リラを付けて10月25日に付けたこれまでの史上最安値9.85リラを割り込んだ。
米消費者物価上昇率発表直後の安値から9.76リラまでいったん戻したものの再び売られて最安値近辺へ下落したまま11日午前序盤に入っている。
10月21日のトルコ中銀による大幅利下げをきっかけに急落し、10月25日にはエルドアン大統領による欧米10か国大使国外追放指示騒動から最安値を大幅に更新し、その後は新たな安値更新を回避しつつもリラ売り基調は変わらずに徐々に戻り高値及びその後の安値も切り下げてきていたが、ドル全面高の発生で一挙に最安値更新へと進んだ。
【トルコの失業率は若干の改善】
11月10日夕に発表された9月のトルコ失業率は11.5%となり8月の11.8%から改善した。労働参加率も8月の51.2%から51.7%へと上昇した。しかし失業率は市場予想を下回ったことでリラ買いへの積極的なきっかけにはならず、夕刻からドル高感が強まったことで発表後はドル高リラ安反応となり、トルコリラ円においても円安により若干の戻しが入ったものの早々に売られた。
トルコの失業率は今年4月に13.5%まで悪化したところから6月に10.7%までいったん改善、7月に12.1%へ悪化したものの再び改善傾向にある。
11月11日は16時に9月のトルコ経常収支の発表がある。
11月18日の次回トルコ中銀金融政策決定会合まではまだ間があるが、当面は為替市場全般におけるドル高感がどこまで強まるのかという問題が最大の焦点となってくる模様で、トルコリラ円及びドル/トルコリラも全般の流れに左右されてゆくと思われるが、史上最安値を更新している弱さも加味されてドル全面高によりユーロやポンドなどのメジャー通貨及び豪ドルなどの資源通貨が売られる場合はリラ売りもさらに深刻化しかねないところと思われる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月4日夜に弱気転換目安とした11.70円を割り込んだために5日午前時点では11月4日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして8日夜から10日夜にかけての間への下落を想定してきた。
11月10日夜に史上最安値を更新したところからいったん戻して再び反落しているところだが、11月10日夜安値を直近のサイクルボトムとし、底割れ回避のうちは11日の日中から12日にかけての間への上昇余地ありとする。ただし、既に10日深夜高値でサイクルトップを付けた可能性があると注意し、10日夜安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして15日夜から17日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では11月9日午前からの下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからの転落も続いている。先行スパンを上抜けないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とし、先行スパンを上抜くところからは戻り高値をさらに試すとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は10日夜に20ポイントまで低下したところから60ポイント手前へ戻したがその後に50ポイントを割り込んでいる。50ポイント台回復からは上昇再開の可能性ありとするが、50ポイント以下での推移中は下向きとして40ポイント割れからは20ポイント前後への低下へ向かうとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11.55円を下値支持線、11.63円を上値抵抗線とする。
(2)11.55円以上での推移中は上昇余地ありとし、11.63円を超える場合は11.65円から11.67円への上昇を想定する。11.65円以上は反落警戒とするが、11.60円以上での推移なら12日の日中も高値を試す可能性があるとみる。
(3)11.55円割れからは下げ再開とみて10日夜安値11.46円試しとし、底割れからは11.40円前後への下落を想定する。下げ足が速まる場合は11.30円台後半へ向かう可能性もあるとみる。また11.55円以下での推移なら12日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
11月11日
16:00 9月 経常収支 (8月 +5.28億ドル)
20:30 週次外貨準備高 11/5時点
11月12日
16:00 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 5.4%)
16:00 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 13.8%)
16:00 9月 小売売上高 前月比 (8月 0.3%)
16:00 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 15.0%)
11月15日
17:00 10月 財政収支 (9月 -235.9億リラ)
11月18日
20:00 トルコ中銀 金融政策決定会合 週間レポレート (現行 16.0%)
注:ポイント要約は編集部
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