トルコリラ円見通し 終値ベースの史上最安値を更新(21/11/10)

トルコリラ円の11月9日は11.72円から11.57円の取引レンジ、10日早朝の終値は11.58円で前日終値11.68円から0.10円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し 終値ベースの史上最安値を更新(21/11/10)

トルコリラ円見通し 終値ベースの史上最安値を更新

〇トルコリラ円、11/9は11.72から11.57の取引レンジ、10日早朝終値11.58で10/25以来の安値更新
〇ドル/トルコリラ、11/9は9.73から9.64の取引レンジ、リラ買い材料に欠ける中最安値近辺で持ち合い
〇トルコ中銀は外資預金準備率引き上げ、準備高増加するもリラ暴落、市場の信用得られずか
〇11.65以下での推移中は一段安警戒とし、11.55割れからは11.40台中盤への下落を想定する
〇11.65超えからは11.72円試しへ向かうが、11.70前後では戻り売りにつかまりやすいとみる

【概況】

トルコリラ円の11月9日は11.72円から11.57円の取引レンジ、10日早朝の終値は11.58円で前日終値11.68円から0.10円の円高リラ安となった。10月25日に付けた史上最安値11.50円割れには至らずにいるが、その時以来の安値となった。終値ベースでは10月22日の11.79円を11月4日時点で割り込んで最安値を更新しているが、9日も終値ベースでの最安値更新となっている。
10月21日のトルコ中銀による大幅利下げを嫌気してそれまでの史上最安値だった昨年11月6日安値12.03円を割り込み、25日のエルドアン大統領による欧米10か国大使追放指示騒動で続落したところからいったん戻したものの10月26日の戻り高値12.10円からはジリ安の推移が続いている。先週末の米雇用統計を通過して為替市場ではドル安感がやや優勢となったが、ドル円の下落が目立ちクロス円全般の先安感が強まる中でトルコリラ円も徐々に10月25日安値へ迫っているところだ。

【対ドルでは最安値近辺での持ち合い】

ドル/トルコリラの11月9日は9.73リラから9.64リラの取引レンジ、10日早朝の終値は9.72リラで前日終値の9.68リラからは0.04リラのドル高リラ安となった。
10月25日に9.85リラへ急落して史上最安値を更新し、10月26日に9.38リラへ戻した後は最安値更新を回避しているものの徐々に戻り高値も安値も切り下がり基調で推移している。11月4日以降は4日の高安レンジ(9.76リラから9.60リラ)の範囲にとどまって9.70リラを中心とした小規模な持ち合いの様相だが、リラ買いへの積極材料がみられない中で持ち合い下放れから10月25日安値試し、さらに最安値更新へのきっかけを伺う位置取りという印象だ。

【トルコ中銀、外貨準備率引き上げ】

トルコ中銀は11月9日に外貨預金準備率を200ベーシスポイント引き上げたと発表した。また準備高に占めるゴールドの上限を従来の15%から10%へ引き下げた。この上限は段階的に引き下げられて最終的にはゼロにする予定とされた。
準備率引き上げにより、リラ建ての所要準備高は74億リラ(凡そ7億6400万ドル)増加し、外貨建て所要準備高は凡そ38億ドル増加する見通しという。リラ安に対する防衛的政策として外貨準備高を増加させて信用を高める狙いと思われる。
トルコの外貨準備高は10月25日時点ではグロスで841.1億ドル、ネットでは326.4億ドルとされる。ネットでは今年4月時点で99.3億ドルまで減少していたところから増加に転じて3倍増となっている。グロスでは2020年11月に403.7億ドルまで減少したところからは倍増しているが、2016年以前に1000億ドルを超えていたところと比較すればまだ下回った状況だ。最近の外貨準備高増加に反してリラは暴落的な下げとなっており、外貨準備高の増加も市場の信認を得る材料にはなっていないようだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月4日夜に弱気転換目安とした11.70円を割り込んだために5日午前時点では11月4日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして8日夜から10日夜にかけての間への下落を想定してきた。
11月8日夜安値から9日午前高値へ小反発したもののその後に安値を更新しているためまだ一段安警戒とみる。
11月9日午前高値11.72円を超える場合は直前安値をボトムとした強気サイクル入りとして10日夕から11日午前にかけての上昇を想定するが、9日午前高値を超えずに安値更新が続く場合は8日夜安値を直近のサイクルボトムとしてすでに底割れから新たな弱気サイクル入りしているとみて11日夜から15日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では11月9日午前からの下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからの転落も続いている。下げ渋りに入ると遅行スパンは好転しやすくなるが先行スパンを上抜けないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とし、先行スパンを上抜くところからは反騰入りの可能性ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は30ポイント台での横ばいが続いているが反騰入りの気配がみられないため20ポイント以下へ一段安しやすい状況とみる。強気転換には50ポイントを超える反騰が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11.50円を下値支持線、11.65円を上値抵抗線とする。
(2)11.65円以下での推移中は一段安警戒とし、11.55円割れからは11.50円試しへ向かい、下げ足が速まる場合は11.40台中盤(11.47円から11.43円)への下落を想定する。11.45円以下は反騰注意とするが、11.60円以下での推移なら11日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)11.65円超えからは11月9日午前高値11.72円試しへ向かうとみるが、11.70円前後では戻り売りにつかまりやすいとみる。

【当面の主な予定】

11月10日
 16:00 9月 失業率 (8月 12.1%)
11月11日
 16:00 9月 経常収支 (8月 +5.28億ドル)
 20:30 週次外貨準備高 11/5時点
11月12日
 16:00 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 5.4%)
 16:00 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 13.8%)
 16:00 9月 小売売上高 前月比 (8月 0.3%)
 16:00 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 15.0%)
11月15日
 17:00 10月 財政収支 (9月 1235.9億リラ)
11月18日
 20:00 トルコ中銀 金融政策決定会合 週間レポレート (現行 16.0%)


注:ポイント要約は編集部

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