トルコリラ円見通し 戻り高値切り下がりの三角持ち合い、下放れ警戒
〇トルコリラ円、11/8は11.75から11.60の取引レンジ、夜安値11.60まで下落し11/3安値と並ぶ
〇戻り高値が徐々に切り下がり三角持ち合いの様相、持ち合い下放れへの懸念がやや強まる
〇ドル/トルコリラ、11月8日は9.74から9.64の取引レンジ
〇ドル高リラ安一服だが、リラ反騰入りのきっかけがみられない展開
〇トルコリラ円、10/25の下ヒゲが11/3からのジリ安で徐々につぶされ、一段安へと進みやすくなるか
〇11.75以下での推移中は一段安警戒とし、11.60割れからは11.50台前半への下落を想定する
〇11.75超えからはいったん戻しに入るとみて11.80手前を試すとみるが、11.77以上は反落警戒とする
【概況】
トルコリラ円の11月8日は11.75円から11.60円の取引レンジ、9日早朝の終値は11.65円で先週末終値の11.67円からは0.02円の円高リラ安だった。
10月21日のトルコ中銀による2%の大幅利下げで昨年11月6日の史上最安値12.03円を割り込んで11円台へ転落し、エルドアン大統領による欧米10か国大使追放指示騒動から10月25日午前には11.50円まで大幅続落した。10月26日に12.10円までいったん買い戻されたものの先安感は解消できずにその後はジリ安の推移となっている。
11月3日に11.60円まで下げた後は新たな安値更新を回避しているものの、11月4日終値11.70円で終値ベースでの史上最安値を更新、5日終値も最安値を更新した。
11月8日は11月5日夜の米雇用統計通過後にドルストレートでドル安となる一方でドル円は下落となり、トルコリラの独自材料となる指標発表等が無かったことで下げ一服の様相だったが、ドル/トルコリラがやや膠着状態の中でドル円が113円に迫る下落となったことで円高に圧されて夜安値で11.60円へ下落して11月3日安値と並んでいる。戻り高値は11月4日の11.84円から11月5日の11.77円、11月8日夕の11.75円と徐々に切り下がっており、60分足レベルでは戻り高値切り下がり型の三角持ち合いの様相となっているため、持ち合い下放れへの懸念がやや強まっている印象だ。
【対ドルでも再び最安値へ徐々に迫る】
ドル/トルコリラの11月8日は9.74リラから9.64リラの取引レンジ、9日早朝の終値は9.68リラで先週末終値の9.67リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
10月25日への急落で9.85リラまで史上最安値を更新したところから10月26日に9.38リラへ戻したが、その後は新たな最安値更新を回避しているものの11月4日までは徐々に戻り高値も安値も切り下がり基調が続いた。
11月5日は米雇用統計通過後にドルストレートでのドル高感が弛んでユーロやポンド、豪ドルが反発、新興国通貨でもメキシコペソと南アランドが11月3日夜以降は対ドルで戻しに入っており、ドル/トルコリラにおいてもドル高圧力がやや鈍化しているものの9.70リラを挟んでの安値圏持ち合いにとどまり、9.65リラ前後では売られ、8日夜にも9.74リラまで下げる局面があるなどドル高リラ安一服ではあるがリラの反騰入りのきっかけがみられない展開が続いている。
【10月25日の下ヒゲが徐々につぶされる展開】
トルコリラ円は10月25日安値で11.50円まで急落した当日終値11.84円まで戻したために日足は長い下ヒゲを付けた。長い下ヒゲは「タクリ足」とも呼ばれて目先の安値を出し切っての反騰入りのサインとなることも多く、翌日以降に勢いのある陽線で上昇すれば底打ち反騰感が強まるものだが、今回は11月3日からのジリ安により下ヒゲ部分のレンジが徐々につぶされている。
下ヒゲがつぶれると「タクリ足」の効果は消え、ひとまず下げ渋ったものの悪材料と安値を出し切った印象が薄れ、下ヒゲを解消し始めたところから一段安へと進みやすくなる。
概ね3か月から4か月周期でトルコリラ円は底打ち反騰を繰り返して来ているが、昨年5月7日底から6月3日へ戻した後の下落期では、8月中に若干の下げ渋りを見せたものの明確な底打ち反騰がみられないまま次の下落期に入って合計6か月後となる11月6日安値へと下落していった経緯がある。今回も6月2日と6月21日の両安値をダブル底として前回のサイクルボトムを付けたものの既に底割れとなり6月2日安値からは5か月、6月21日安値からも4か月を経過しており、10月25日の長い下ヒゲを形式的なサイクルボトムとしつつ、底割れから連続的な弱気サイクル入りしてゆく可能性が警戒される。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月11月3日夜に一段安したところからの反騰により11月4日午前時点では10月28日夕安値から4日目となる11月3日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとしたが、11月4日夜に弱気転換目安とした11.70円を割り込んだため、5日午前時点では11月4日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして8日夜から10日夜にかけての間への下落を想定した。
11月8日夜へ安値を切り下げてからやや戻しているものの勢いに欠けるためまだ一段安余地ありとみるが、8日夕高値11.75円を超える場合は強気サイクル入りとみて9日午前から11日午前にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では11月4日午後に下落した後は11.70円を挟んだ弱持ち合いのために遅行スパンは実線と交錯を繰り返しているが、先行スパンを上抜けきれずにいる。このため先行スパンを上抜けないうちは遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、先行スパンを上抜くところからはいったん戻しに入るとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は30ポイント台から50ポイント台後半までのレンジで往来しており方向感に欠ける。60ポイント超えからはいったん戻しに入るとみて70ポイントに迫る上昇を想定するが、50ポイント以下での推移中は下向きとし、40ポイント割れからは20ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11月8日夜安値11.60円を下値支持線、8日夕高値11.75円を上値抵抗線とする。
(2)11.75円以下での推移中は一段安警戒とし、11.60円割れからは11.50円台前半への下落を想定する。11.53円以下は反騰注意とするが、11.70円以下での推移なら10日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)11.75円超えからはいったん戻しに入るとみて11.80円手前を試すとみるが11.77円以上は反落警戒とし、その後に11.70円を割り込むところからは下げ再開とみる。
【当面の主な予定】
11月10日
16:00 9月 失業率 (8月 12.1%)
11月11日
16:00 9月 経常収支 (8月 +5.28億ドル)
20:30 週次外貨準備高 11/5時点
11月12日
16:00 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 5.4%)
16:00 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 13.8%)
16:00 9月 小売売上高 前月比 (8月 0.3%)
16:00 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 15.0%)
11月15日
17:00 10月 財政収支 (9月 1235.9億リラ)
11月18日
20:00 トルコ中銀 金融政策決定会合 週間レポレート (現行 16.0%)
注:ポイント要約は編集部
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