トルコリラ週報:『実質金利低下でリラ安進行。史上最安値更新が射程圏内に』(11/6朝)

トルコリラの対円相場は9/1に記録した約4ヵ月ぶり高値13.34円をトップに反落に転じると、10/25にかけて史上最安値11.51円まで急落しました。

トルコリラ週報:『実質金利低下でリラ安進行。史上最安値更新が射程圏内に』(11/6朝)

『実質金利低下でリラ安進行。史上最安値更新が射程圏内に』

〇今週のトルコ円、米・ト緊張緩和期待に週明け早々に週間高値12.04まで上昇
〇その後国内CPIの不冴え、追加利下げ観測、大統領健康不安説に週後半にかけ11.64まで下落
〇トルコ円、テクニカル的に見て地合いの弱さを印象付けるチャート形状
〇ファンダメンタルズも、根強い追加利下げ観測、中銀独立性の疑義等売り材料多い
〇トルコ円続落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):11.30ー11.90

今週のレビュー(11/1−11/5)

今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初11.86円で寄り付いた後、@米土首脳会談の実現を受けた米・トルコ関係の緊張緩和期待(10/31にバイデン米大統領とエルドアン・トルコ大統領の首脳会談が実現)が支援材料となり、週明け早々に週間高値12.04円まで上昇しました。しかし、10/27に記録した直近高値12.06円をバックに伸び悩むと、Aトルコ10月製造業PMI(結果51.2、前回52.5)の冴えない結果や、Bトルコ10月消費者物価指数(結果19.89%、予想20.35%)および、C同コア指数(結果16.82%、予想17.90%)の市場予想を下回る結果、D上記BCを背景としたトルコ中銀による追加利下げ観測、E実質金利のマイナス幅拡大(上記Bの消費者物価指数は市場予想こそ下回ったものの結果は約2年半ぶり高水準)、Fエルドアン大統領の健康不安に係わる憶測報道(11/3に開催された与党AKPの政権樹立式典にエルドアン氏が姿を見せなかったことが背景)が重石となり、週後半にかけて、週間安値11.64円まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間11/6午前5時00分現在)では11.69円前後で推移しております。

来週の見通し(11/8−11/12)

トルコリラの対円相場は9/1に記録した約4ヵ月ぶり高値13.34円をトップに反落に転じると、10/25にかけて史上最安値11.51円まで急落しました。その後10/26に12.12円まで持ち直すも、11/4には再び11.64円前後まで下げ幅を広げるなど、上値の重い展開が続いております。ローソク足が全てのチャートポイント(一目均衡表転換線や基準線、90日移動平均線や21日移動平均線など)の下側に位置している他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転や弱気のパーフェクトオーダーも継続するなど、テクニカル的に見て、「地合いの弱さ」を印象付けるチャート形状となっております。

ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコ中銀による根強い追加利下げ観測(次回会合は11/18)や、A中銀の独立性に対する不信感(エルドアン大統領による利下げ圧力)、B上記@Aを背景とした外国人投資家によるトルコ離れ(国内から国外への資本流出)、Cリラ安防衛能力の不十分さ(限定的な為替介入余力)、D景気停滞とインフレ高進が同時進行するスタグフレーション懸念(今週発表されたトルコ10月製造業PMIは冴えない結果。一方、トルコ10月消費者物価指数は約2年半ぶり高水準)、E実質金利のマイナス幅拡大(トルコは外国資本に依存している構造であるため、実質金利の更なる低下は大規模な資本流出に繋がる恐れ)など、トルコリラ円相場の下落を意識させる材料が複数あります。

『実質金利低下でリラ安進行。史上最安値更新が射程圏内に』

以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は11/10に予定されているトルコ9月雇用統計や、11/11のトルコ9月経常収支、週次外貨準備高、11/12のトルコ9月鉱工業生産、トルコ9月小売売上高に注目が集まります。市場予想を下回る結果となった場合には、トルコ経済の先行き不透明感を背景に、トルコリラが10/25に記録した史上最安値11.51円を割り込み大きく値を崩す可能性が想定されることから、来週はダウンサイドリスクに注意を要する1週間となりそうです。

来週の予想レンジ(TRYJPY):11.30ー11.90

注:ポイント要約は編集部

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