高インフレ継続で売られるも最安値更新は回避
〇トルコリラ円、3日発表の消費者物価指数で高インフレ継続示され安値11.60に
〇中銀による追加利下げが急がれない可能性も踏まえ、売り一巡後は買い戻される
〇ドル/トルコリラはFOMC後の全般ドル安反応で三角持ち合いの範囲に留まる
〇10月消費者物価コア指数上昇率、前年同月比16.8%で9月の17.0%から若干低下
〇次回中銀金融政策会合は18日、コア指数の上昇率を下回っても利下げ強行懸念
〇11.85超えからは11.90を目指す上昇を想定、11.90以上は反落注意
〇11.75割れからは下向き、11.70割れからは11.60前後への下落を想定
【概況】
トルコリラ円の11月2日は12.00円から11.81円の取引レンジ、3日早朝の終値は11.85円で前日終値の11.94円からは0.09円の円高リラ安だった。11月1日が前日比0.09円の円安リラ高だったところを打ち消す反落となった。
11月3日は11.86円から11.60円(ベンダ―によって安値は11.68円や11.60円までブレあり)の取引レンジ、4日早朝の終値は11.80円で前日比は0.05円の円高リラ安で続落となった。11月3日16時にトルコの9月消費者物価、生産者物価の発表があり高インフレ状態が継続していることが示されたために発表からはリラ売り反応となってこの日の安値11.60円まで下げて10月25日に付けた史上最安値11.50円へ迫ったものの、今後のトルコ中銀による追加利下げが急がれない可能性も踏まえて売り一巡後は買い戻されたために日足は長い下ヒゲを付けた。
【対ドルでの暴落一服は9.50リラを挟んだ持ち合い】
ドル/トルコリラの11月2日は9.61リラから9.44リラの取引レンジ、3日早朝終値は9.59リラで前日終値の9.53リラからは0.06リラのドル高リラ安となった。
11月3日は9.74リラから9.56リラの取引レンジ、4日早朝の終値は9.63リラで前日比0.04リラのドル高リラ安となった。
10月21日にトルコ中銀が政策金利を大幅利下げしたこと、エルドアン大統領による欧米10か国大使国外追放指示騒動から25日早朝に9.85リラまで史上最安値を更新したが、目先の悪材料一巡で10月26日夜に9.38リラまで戻し、その後は9.60リラ台では買い戻されるも徐々に戻り高値が切り下って三角持ち合いの様相となっていた。11月3日の下落で三角持ち合いからはいったん下放れたものの、19時台安値から買い戻されたこと、米FOMC後は全般ドル安反応となったことで日足は長い下ヒゲがついたため、終値ベースでは三角持ち合いの範囲にぎりぎりのところでとどまっている。しかし3日の下ヒゲをつぶす下落に入る場合は持ち合い下放れにより10月25日安値試し、さらに最安値更新へと進みかねないところと思われる。
【トルコの高インフレは継続】
11月3日夕刻にトルコ統計局が発表した10月の消費者物価指数上昇率は全体の前月比が2.39%となり9月の1.25%を大幅に上回ったが市場予想の2.76%は下回った。前年同月比は19.89%となり9月の19.58%を上回ったが市場予想の20.40%は下回った。トルコ中銀が政策金利の判断目安としている消費者物価コア指数の上昇率は前月比で1.8%となり9月の1.5%から伸びが加速、前年同月比は16.8%となり9月の17.0%からは若干低下した。
10月の生産者物価上昇率は前月比で5.24%となり9月の1.55%から大幅に伸びが加速、前年同月比も46.31%となり9月の43.96%を上回った。
世界的な資源エネルギー価格の高騰が生産者物価高騰を招き、消費者物価上昇へと反映される流れが続いている。消費者物価上昇率の前年同月比は全体では2019年1月の20.35%以来の高水準であり、コア指数においても前月からわずかに下がったとはいえ高水準にとどまっている。
トルコ中銀の金融政策決定会合は11月18日にある。中銀は大統領による利下げ要求圧力により高インフレ下での利下げを強行、9月会合でそれまでの19%から18%へ利下げし、10月会合ではさらに2%の大幅引き下げで9月消費者物価コア指数の17.0%を下回る16.0%へと利下げした。コア指数の上昇率を下回っても利下げをする姿勢であり、11月会合においても追加利下げを強行する事も懸念される。市場の不信感と先行き不透明感は継続している。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月28日夕安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして10月29日夜から11月2日夜にかけての間への上昇を想定していたが、11月1日夜へ戻り高値を切り上げたところから反落したために11月2日午前時点では既にサイクルトップを付けた可能性があるとし、11.87円割れからは弱気サイクル入りとして11月2日夕から4日夕にかけての間への下落を想定するとした。
11月3日夜に一段安したところから0.10円以上の反騰となっているため、28日夕安値から4日目となる11月3日夜安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしたと思われる。高値形成期は11月1日夜高値を基準として4日夜から8日夜にかけての間と想定されるが、戻りは短命の可能性もあるので11.75円割れを弱気転換注意とし、11.70円割れからは弱気サイクル入りとして8日夜から10日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では11月3日夜からの反発で遅行スパンが実線に迫っているが先行スパンには届かずにいる。遅行スパン好転からは高値試し優先とし、先行スパン突破からは上昇が勢い付く可能性もあるとみるが、遅行スパンが好転できずに失速する場合及び一時的に好転しても再び悪化するところからは下げ再開とみる。
60分足の相対力指数は3日夜への下落時に30ポイントを割り込んだところから持ち直しているので40ポイント以上での推移中は60ポイント台への上昇余地ありとするが、40ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント以下を目指すとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11.75円を下値支持線、11.85円を上値抵抗線とする。
(2)11.75円以上での推移中は上昇余地ありとし、11.85円超えからは11.90円を目指す上昇を想定する。11.90円以上は反落注意とするが、11.75円以上を維持しての推移なら5日の日中も高値試しへ向かう可能性が残るとみる。
(3)11.75円割れからは下向きとし、11.70円割れからは11.60円前後への下落を想定する。11.65円以下は反騰注意とするが、11.70円以下での推移なら5日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
11月04日
20:30 週次外貨準備高 10/29時点 (10/22時点 854.5億ドル)
11月10日
16:00 9月 失業率 (8月 12.1%)
11月11日
16:00 9月 経常収支 (8月 +5.28億ドル)
20:30 週次外貨準備高 11/5時点
11月12日
16:00 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 5.4%)
16:00 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 13.8%)
16:00 9月 小売売上高 前月比 (8月 0.3%)
16:00 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 15.0%)
11月15日
17:00 10月 財政収支 (9月 -235.9億リラ)
11月18日 トルコ中銀金融政策決定会合
注:ポイント要約は編集部
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