トルコリラ円見通し 利下げショックからの暴落一服での持ち合い、明日の物価統計待ち(21/11/2)

トルコリラ円の11月1日は12.02円から11.84円の取引レンジ、2日早朝の終値は11.94円で先週末10月29日終値の11.85円からは0.09円の円安リラ高となった。

トルコリラ円見通し 利下げショックからの暴落一服での持ち合い、明日の物価統計待ち(21/11/2)

トルコリラ円見通し 利下げショックからの暴落一服での持ち合い、明日の物価統計待ち

〇トルコリラ円、11/1は12.02から11.84の取引、目先の悪材料出尽くし感から買い戻され下げ止まる
〇10/25以降は持ち合いの様相での推移、明日夕刻のトルコ10月消費者物価上昇率の発表を待つ状況
〇対ドル、11月1日は9.61から9.46の取引、10/26夜以降9.50を挟んだ持ち合いの様相
〇昨日発表の10月のイスタンブール製造業PMIは前月より悪化、やや景気回復鈍化の兆し
〇11.90以上での推移中は上昇余地ありとし、12.02超えからは12.10を目指す上昇を想定する
〇11.90割れからは下向きとし、11.87割れからは11.70前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の11月1日は12.02円から11.84円の取引レンジ、2日早朝の終値は11.94円で先週末10月29日終値の11.85円からは0.09円の円安リラ高となった。
10月21日のトルコ中銀による予想以上の大幅利下げに対するショックから急落となり昨年11月6日安値12.03円を割り込んで11.92円へ史上最安値を更新、22日に11.76円へ、25日早朝にはエルドアン大統領による欧米10か国大使追放指示騒動から11.50円まで安値を切り下げたが、大統領による大使追放支持撤回でひとまず落ち着き、大幅利下げに対するショックも織り込んで目先の悪材料出尽くし感から買い戻されて下げ止まっている。25日以降は12円を付けるところは売られ、11.80円前後では買い戻される持ち合いの様相で推移しつつ、明日夕刻のトルコ10月消費者物価上昇率の発表を待つ状況だ。

【対ドルでの暴落一服は9.50リラを挟んだ持ち合い】

ドル/トルコリラの11月1日は9.61リラから9.46リラの取引レンジ、2日早朝の終値は9.53リラで先週末終値の9.60リラからは0.07リラのドル安リラ高だった。
10月21日の大幅利下げと25日早朝の欧米10か国大使国外追放指示報道により25日早朝に9.85リラまで史上最安値を更新したが、その後は目先の悪材料一巡でリラの買い戻しとなり10月26日夜には9.38リラまで戻した。その後は新たな安値更新も戻り高値切り上げへも進まずに9.50リラを挟んでの持ち合いの様相。
世界的な物価上昇と主要国中銀による金融緩和から引き締めへの姿勢変更の動きが新興国への投機マネー流入を抑え始めるきっかけにもなるため、新興国通貨への売り圧力も強まりかねないところだが、10月後半からは南アランドの対ドルでの下落が目立ち6月以降の安値を更新、メキシコペソも10月22日から6日間の続落で急落商状となっていることも気になるところだ。

【トルコの経済指標はやや景気回復鈍化の兆し】

11月1日に発表された10月のイスタンブール製造業PMIは51.2となり9月の52.5から低下した。コロナショック発生で2020年4月に33.4まで低下してから回復基調に入り、2020年7月には56.9へ上昇、その後の感染再拡大等から2021年5月には49.3まで低下して1年ぶりの50ポイント割れとなったが2021年8月には54.1まで持ち直していた。しかし9月の52.5、10月の51.2へと低下しており、世界的なインフレ懸念や資源高、サプライチェーンの混乱等による製造業への圧迫感がトルコにも影響を与えている印象だ。リラ安による信用不安も圧迫要因だ。

トルコリラ円見通し 利下げショックからの暴落一服での持ち合い、明日の物価統計待ち

10月後半からのトルコ景況感は悪化傾向がみられる。10月25日発表の10月製造業景況感は109.6で9月の113.4から低下、10月27日発表の10月経済信頼感指数は101.4で9月の102.4から低下している。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月28日夕刻の一段安で11.80円を割り込んだところから11.90円台まで戻したため、10月29日午前時点では28日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして10月29日夜から11月2日夜にかけての間への上昇を想定した。11月1日夜へ戻り高値を切り上げたところから反落しているので既にサイクルトップを付けた可能性があるため、11.87円以上での推移中はまだ上昇再開余地ありとするが、11.90円割れを弱気転換注意とし、11.87円割れからは弱気サイクル入りとして11月2日夕から4日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では11月1日午後の上昇で先行スパンを上抜いたが、1日夜高値からの反落で遅行スパンは悪化しやすい位置にある。先行スパンからの転落を回避するうちは上昇余地ありとするが、先行スパン転落からは下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は1日午後から夜への高値切り上げに際して指数のピークが切り下がる小規模な弱気逆行がみられて50ポイントを割り込んできているため既に下落期入りしている可能性が疑われる。このため上昇再開は60ポイント超えからとし下回るうちは一段安の余地ありとして30ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11.87円を下値支持線、11月1日夜高値12.02円を上値抵抗線とする。
(2)11.90円以上での推移中は上昇余地ありとし、12.02円超えからは12.10円を目指す上昇を想定する。12.07円以上は反落注意とするが、11.90円以上を維持しての推移なら3日の日中も高値試しへ向かう可能性が残るとみる。
(3)11.90円割れからは下向きとし、11.87円割れからは11.70円前後への下落を想定する。11.70円以下は反騰注意とするが、11.85円以下での推移なら3日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

11月03日
 16:00 10月 消費者物価指数 前月比 (9月 1.25%)
 16:00 10月 消費者物価指数 前年同月比 (9月 19.58%)
 16:00 10月 消費者物価コア指数 前月比 (9月 1.5%)
 16:00 10月 消費者物価コア指数 前年同月比 (9月 17.0%)
 16:00 10月 生産者物価指数 前月比 (9月 1.55%)
 16:00 10月 生産者物価指数 前年同月比 (9月 43.96%)
11月04日
 20:30 週次外貨準備高 10/29時点 (10/22時点 854.5億ドル)
11月10日 9月 失業率 (8月 12.1%)
11月11日 9月 経常収支 (8月 +5.28億ドル)

11月18日 トルコ中銀金融政策決定会合



注:ポイント要約は編集部

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