ドル円見通し 週末からの反騰一服、FOMC前でポジション調整的な動き
〇ドル円、11/1夜114.44まで高値を伸ばしたがその後上昇一服、11/2未明113.92まで下げる
〇11/1夜の経済指標不冴えにより週末からの反騰一服、ドル円もドル安感が強まる
〇米長期債利回りは揉み合いの様相でFOMC待ち、株式市場はNYダウ・ナスダックともに最高値更新
〇11/4未明発表のFOMC金融政策、テーパリング決定・来年中の利上げに踏み切ることが予想され注目高い
〇114.44を超えないうちは一段安余地ありとし、113.75割れからは113.24試しへ向かうとみる
〇114.44を上抜き返す場合は113.24を起点とした上昇基調の継続とし、114.69試しとみる
【概況】
ドル円は10月28日深夜安値113.24円からの持ち直しを継続して11月1日夜には114.44円まで高値を伸ばして10月26日夜高値114.30円を上抜いた。その後は上昇一服で2日未明には113.92円まで下げ、2日午前序盤は114.00円を挟んだ推移となっている。
10月28日深夜への下落はECB理事会とラカルド総裁会見及び米7-9月期GDPが予想を下回ったこと等をきっかけとしてユーロドルが急伸したことからドル安感が強まったためだったが、29日夜は米経済指標が総じて強かったことで28日夜とは真逆の揺れ返しでユーロやポンドが急落してドル高感が強まったためにドル円も持ち直しとなった。11月1日は夜にかけては週末のリバウンド基調を維持してドル円も上昇していたが、米ISM製造業景況指数やマークイットの製造業PMIが冴えなかったためにユーロドルが週末の急落幅に対して凡そ半値を戻す反発となりドル円もドル安感が強まって114円をいったん割り込むところまで下げた。11月2-3日開催のFOMCを意識して10月20日高値114.69円を超えてゆくのは時期尚早としてやや圧された印象だ。
【米FOMC待ちで米長期債利回りは小動き、株式市場は強気で最高値更新】
11月1日の米10年債利回りは前週末比変わらずの1.56%で終了。一時は1.60%台へ上昇したものの勢いは続かなかった。10月21日に1.70%まで上昇して8月4日の1.12%以降の高値を更新、今年の年初からの急伸で付けた3月のピーク1.77%へ迫ったところから仕切り直しに入って10月27日に1.52%まで下げてからは揉み合いの様相でFOMC待ち。
利上げ時期に敏感な2年債利回りも変わらずに0.50%で終了。10月28日に0.56%まで急伸して年初来高値を更新したところから29日に0.46%までいったん下げて再び持ち直しているが0.50%を挟んで高値圏持ち合いの様相でありこれもFOMC待ちの様相。ドル円にとっては米長期債利回りが落ち着いていることで押し上げも一服という状況。一方で米国株式市場は強気一色でNYダウとナスダックはともに取引時間中の史上最高値を更新し、3日連続で終値ベースの史上最高値も更新している。米連銀が徐々に金融緩和政策から引き締めへとシフトしてゆくことを織り込みながらも、景気回復による株高継続感は健在のようで、株高がリスク選好感を呼ぶことはドル円には下支えとなるところだが、これもFOMCの結果と週末の米雇用統計を見てからということでドル円も株高に対する反応は限定的だった。
【米国の景況感はやや鈍化】
米サプライ管理協会(ISM)が発表した10月の米製造業景況指数は60.8となり9月から0.3ポイント低下、市場予想の60.5は上回った。好景気の目安である50ポイント以上を17か月連続で上回っているものの、サプライチェーンの混乱による原材料調達の停滞、原油価格等の高騰によるコストアップが影響し始めているために伸びも鈍化している印象だ。IHSマークイットによる10月の米製造業PMI確定値も速報の59.2から58.4へと下方修正され、9月確定値の60.7から低下している。
景気回復のペースが鈍化していることは、先週発表された米7-9月期GDPが前期比年率で2.0%にとどまって市場予想の2.7%に届かず、4-6月期の6.7%から大幅に鈍化したことにも示されているが、一方で物価上昇率は高止まりからさらに上昇基調を継続する可能性を示唆しており、10月29日に発表された米個人消費支出価格指数(PCE)のデフレーターは全体で前年同月比が4.4%、コア指数で3.6%と高水準にある。このため米連銀は11月4日未明発表のFOMC金融政策ではテーパリング(量的金融緩和による資産購入規模の縮小開始)を決定し、来年中には利上げに踏み切ることが予想されている。
11月2日は昼の豪中銀理事会で先行きの利上げ姿勢が示されるかどうか注目されるが、夜は主要な米経済指標発表はなく手掛かりに欠けると思われる。11月3日には米ADP民間部門の雇用報告、ISMサービス業景況指数があり、4日未明のFOMC声明発表と議長会見へ向かう。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、10月23日未明安値から4日目となる10月28日深夜安値で直近のボトムを付けて反騰入りしてきた。10月26日夜高値を基準として高値形成期は29日夜から11月2日深夜にかけての間と想定されるが、1日夕高値から114円割れへと反落しているので1日夕高値で直近のサイクルトップを付けて下落期に入っている印象だ。ボトム形成期は11月2日夜から4日深夜にかけての間と想定されるのでまだ一段安余地ありとするが、1日夕高値を上抜き返す場合は新たな強気サイクル入りとして4日夕から8日夕にかけての間への上昇が想定される。
60分足の一目均衡表では11月1日夜からの反落で遅行スパンが実線と交錯しているが先行スパンを上回った状況は維持している。遅行スパンが実線に沿って上昇するうちは高値更新へ進む可能性を残すが、先行スパンへ潜り込み始めるところからは下落期入りとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、先行スパン転落からは下げ足が速まる可能性があると注意する。
60分足の相対力指数は29日から11月1日への高値切り上げに際して指数のピークが切り下がる弱気逆行が発生して50ポイントを割り込んでいる。このため60ポイントを超える反騰へ進めないうちは30ポイント前後への一段安余地ありとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、113.75円を下値支持線、11月1日夕高値114.44円を上値抵抗線とする。
(2)114.44円を超えないうちは一段安余地ありとし、113.75円割れからは10月28日深夜安値113.24円試しへ向かうとみる。113.24円以下は反発注意とし、113.50円を割り込んだところから114円台回復へと切り返す場合は60分足レベルの逆三尊形成から上昇期に入る可能性が考えられるが、その場合でも113.90円以下での推移なら3日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)11月1日夕高値を上抜き返す場合は10月28日深夜安値を起点とした上昇基調の継続とし、10月20日午前高値114.69円試しとみるが、3日夜の米経済指標や4日未明のFOMCを控えていることから114.60円以上は反落警戒圏とみる。
【当面の主な予定】
11/2(火)
休場、メキシコ
米連邦公開市場委員会(FOMC)初日
12:30 (豪) 豪中銀 政策金利 (現行 0.10%、予想 0.10%)
12:30 (豪) 豪中銀 3年債利回り誘導目標 (現行 2024年4月債、0.10%)
12:30 (豪) 豪中銀 債券購入 (現行 週40億豪ドル)
14:50 (豪) デベル豪中銀副総裁、パネル討論会参加
17:55 (独) 10月 製造業PMI改定値 (速報 58.2、予想 58.2)
18:00 (欧) 10月 製造業PMI改定値 (速報 58.5、予想 58.5)
11/3(水)
休場、日本
英中銀金融政策委員会(MPC)初日
06:45 (NZ) 7-9月期 就業者数 前期比 (4-6月 1.0%、予想 0.4%)
06:45 (NZ) 7-9月期 就業者数 前年同期比 (4-6月 1.7%、予想 2.8%)
06:45 (NZ) 7-9月期 失業率 (4-6月 4.0%、予想 3.9%)
07:00 (豪) 10月 マークイット・サービス業PMI改定値 (速報 52.0)
09:30 (豪) 9月 住宅建設許可件数 前月比 (8月 6.8%、予想 -2.0%)
10:45 (中) 10月 財新サービス業PMI (9月 53.4、予想 53.9)
16:00 (英) 10月 ネーションワイド住宅価格 前月比 (9月 0.1%、予想 0.3%)
18:30 (英) 10月 サービス業PMI改定値 (速報 58.0、予想 58.0)
19:00 (欧) 9月 失業率 (8月 7.5%、予想 7.4%)
21:15 (米) 10月 ADP非農業部門民間就業者数 前月比 (9月 56.8万人、予想 40.0万人)
22:45 (米) 10月 サービス業PMI改定値 (9月 58.2、予想 58.2)
23:00 (米) 10月 ISMサービス業景況指数 (9月 61.9、予想 62.0)
23:00 (米) 9月 製造業新規受注 前月比 (8月 1.2%、予想 0.0%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
27:00 (米) 米FOMC 政策金利 (現行 0.00-0.25%、予想 0.00-0.25%)
27:00 (米) 米FOMC 債券購入 (現状 月次1200億ドル、うち国債800億ドル、MBS400億ドル)
27:30 (米) パウエル米連銀(FRB)議長、定例記者会見
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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