トルコリラ円見通し 暴落後の反騰一服、11月3日のトルコ物価上昇率を見て次の流れへ(21/11/1)

トルコリラ円の10月29日は11.94円から11.80円の取引レンジ、30日早朝の終値は11.85円で前日終値の11.87円から0.02円の円高リラ安。

トルコリラ円見通し 暴落後の反騰一服、11月3日のトルコ物価上昇率を見て次の流れへ(21/11/1)

暴落後の反騰一服、11月3日のトルコ物価上昇率を見て次の流れへ

〇29日のトルコリラ円11.94-11.80レンジでの取引、前日の高安レンジ内にとどまり軟調な展開
〇ドル高感強まり、トルコリラでもドル高リラ安圧力で26日以降戻り高値切り下がり
〇3日に10月インフレ率発表、20%台などインフレ進行ならリラ売り圧力強まりやすい
〇29日高値11.94を超えて戻り高値を試す場合は12.10から12.20台程度まで
〇11.77割れからは10/25安値11.50、底割れの場合は11.20台、さらに11.00前後を目指す流れ

【概況】

トルコリラ円の10月29日は11.94円から11.80円の取引レンジ、30日早朝の終値は11.85円で前日終値の11.87円から0.02円の円高リラ安。
10月21日にトルコ中銀が予想以上の大幅利下げを強行して急落、25日早朝にはエルドアン大統領による欧米10か国大使追放指示騒動から11.50円まで大幅続落となったものの、大使追放指示撤回からひとまず落ち着き、目先の悪材料出尽くしから買い戻されて10月26日には12.10円まで戻したが、その後は戻り一巡でジリ安の推移。29日は前日に付けた安値11.77円割れには至らずに前日の高安レンジ内にとどまっての動きだったが、戻り高値を切り下げて軟調な展開だった。

【対ドルでは再びリラ安へ】

ドル/トルコリラの10月29日は9.62リラから9.48リラの取引レンジ、30日早朝の終値は9.60リラで前日終値の9.52リラからは0.08リラのドル高リラ安となった。
10月21日の大幅利下げと25日早朝の欧米10か国大使国外追放指示報道から25日早朝には9.85リラまで史上最安値を更新した後は目先の悪材料一巡でリラの買い戻しへ動いて26日夜にはは9.38リラまで戻したもののその後はリラ売りが再開、リラの戻り高値は27日の9.43リラ、28日の9.45リラ、29日の9.48リラと徐々に切り下がっている。
10月28日はECB金融政策発表と米7-9月期GDPが予想を下回ったことをきっかけにユーロが急伸して全般ドル安の動きだったものの29日夜は真逆にユーロが急落、ポンドも追従して大幅下落したことでドル高感が再び強まり、ドル/トルコリラにおいてもドル高リラ安圧力が強まった印象だ。
週間ベースでは前週末の9.57リラから9.60リラへ0.03リラのドル高リラ安だが、4週連続のドル高リラ安で史上最安値を6週連続で更新した。

【2019年の利下げ開始時との違い】

【2019年の利下げ開始時との違い】

トルコ中銀は2019年7月にウイサル総裁が就任、それまでの24.0%から19.75%へ利下げし、その後は2020年5月の8.25%まで大幅利下げを強行し続けた。今回はその時に近いような利下げ開始の印象だが、2019年7月からの利下げ開始が可能だったのはインフレが収まっていたからであり、政策金利がインフレ率を上回る状況は維持されていたため必ずしも誤った政策ではなかった。しかし弱い通貨として暴落したことへの対処としての利上げを終了して利下げに向かったことは、高金利通貨としての魅力を削ぎ、2020年1月からは政策金利を下げ過ぎてインフレ率を下回る実質マイナス金利状態に陥ったことでリラ安を再び招いた。そこにパンデミックが重なったことで2020年2月からリラは崩れ始め、2020年11月6日に当時としての史上最安値12.03円まで暴落した。

現状においてはパンデミックによる不況は落ち着いているものの、政策金利がインフレ率を下回る実質マイナス金利状態へ再び回帰してしまったこと、しかも前回の利下げ開始時とは異なってインフレが進行中であることを踏まえれば無理筋の利下げ強行として海外投資家の信用を失墜させるものとなっている。10月14日に中銀副総裁2名ら3委員を突然解任したこと、10月25日へ一段安するきっかけとなった欧米10か国大使追放指示騒動も含めてエルドアン大統領の独裁的な政治姿勢への不信も強まった。
11月3日にはトルコの10月インフレ率の発表がある。市場予想はまだまとまっていないが消費者物価上昇率は全体で9月の19.58%から20%台へさらに上昇するのではないかとみられている。11月18日の次回トルコ金融政策決定会合までは間があるため、インフレ進行なら利下げ批判的なリラ売り圧力も強まりやすいと懸念される。

【当面のポイント】

【当面のポイント】

10月25日早朝に11.50円まで暴落し、揺れ返しの反騰で10月26日夜に12.10円まで戻した後はややジリ安の推移が続いている。10月28日安値11.77円まで下げた後は新たな安値更新を回避しているものの11.94円手前では戻り売りにつかまっているところだ。
11月3日のトルコ10月消費者物価上昇率、11月4日未明の米連銀FOMC、11月5日夜の米雇用統計等を見ながらの推移と思われるが、11.94円を超えて戻り高値を試す場合は12.10円から12.20円台程度までとし、11.77円割れからは10月25日安値11.50円を目指し、底割れの場合は11.20円台、さらに11.00円前後を目指す流れとみる。

【当面の主な予定】

11月01日
 16:00 10月 イスタンブール製造業PMI (9月 52.5)
11月03日
 16:00 10月 消費者物価指数 前月比 (9月 1.25%)
 16:00 10月 消費者物価指数 前年同月比 (9月 19.58%)
 16:00 10月 消費者物価コア指数 前月比 (9月 1.5%)
 16:00 10月 消費者物価コア指数 前年同月比 (9月 17.0%)
 16:00 10月 生産者物価指数 前月比 (9月 1.55%)
 16:00 10月 生産者物価指数 前年同月比 (9月 43.96%)
11月04日
 20:30 週次外貨準備高 10/29時点 (10/22時点 854.5億ドル)
11月10日 9月 失業率 (8月 12.1%)
11月11日 9月 経常収支 (8月 +5.28億ドル)

11月18日 トルコ中銀金融政策決定会合

注:ポイント要約は編集部

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