トルコリラ週報:『史上最安値を再び更新。来週はトルコのインフレ指標に注目』(10/30朝)

トルコリラの対円相場は9/1に記録した約4ヵ月ぶり高値13.34円をトップに反落に転じると、今週初にかけて史上最安値11.51円まで急落しました。

トルコリラ週報:『史上最安値を再び更新。来週はトルコのインフレ指標に注目』(10/30朝)

『史上最安値を再び更新。来週はトルコのインフレ指標に注目』

〇トルコ円、先週の中銀利下げの余波とエルドアン大統領の10か国大使追放に週初史上最安値11.51に下落
〇その後大統領の大使追放見送りに12.12まで急騰するも反落、11.86前後で越週
〇トルコ円、主要チャートポイント下抜け、テクニカルの地合い極めて弱い
〇ファンダメンタルズもトルコの再利下げ観測、中銀独立性への不信感等トルコ売り材料が複数存在
〇トルコ円続落がメインシナリオ
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):11.50ー12.10

今週のレビュー(10/25−10/29)

今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初11.83円で寄り付いた後、@トルコ中銀による先週のサプライズ利下げの余韻(トルコ中銀は先週100bpの利下げ予想に反して200bpの大幅利下げ)や、A上記@を背景とした追加利下げ観測の高まり、B中銀の独立性に対する不信感、C実質金利のマイナス幅急拡大、D格付会社フィッチレーティングスによる「トルコの利下げは失策」との批判報道、Eエルドアン大統領による米独仏を含む欧米など10ヵ国の駐トルコ大使の国外追放指示(ペルソナ・ノン・グラータ=好ましからざる人物として外務省に国外追放を指示)が重石となり、週明け早々に史上最安値11.51円まで急落しました。

しかし、Fエルドアン大統領が上記Eの国外追放指示を当面見送る構えを示すと、G短期筋のショートカバーや、H悪材料出尽くしに伴うリラ買い圧力が支援材料となり、翌10/26には一時12.12円まで急騰する場面も見られました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、Iトルコ10月経済信頼感(結果101.4、前回102.4)の不冴な結果や、Jカブジュオール・トルコ中銀総裁による「トルコリラ安は単に利下げが理由というわけではない」「中銀は誰の影響も受けていない」との発言、Kトルコ四半期インフレ報告の大幅上昇修正(インフレ率の上昇を予想しているにも係わらずトルコ中銀は追加利下げの可能性を示唆→トルコ経済の悪化懸念)が重石となり、結局11.86円前後での越週となっております。

来週の見通し(11/1−11/5)

トルコリラの対円相場は9/1に記録した約4ヵ月ぶり高値13.34円をトップに反落に転じると、今週初にかけて史上最安値11.51円まで急落しました。この間、主要チャートポイント(一目均衡表転換線や基準線、90日移動平均線や21日移動平均線など)を軒並み下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転や弱気のパーフェクトオーダーも成立するなど、テクニカル的に見て「地合いは極めて弱い」と判断できます(週央にかけてショートカバーが強まるも一目均衡表転換線がレジスタンスとして確り機能→上値の重さを再確認)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコ中銀による追加利下げ観測(トルコ中銀は11/18に予定されている次回会合で追加利下げに踏み切る構え)や、A中銀の独立性に対する不信感(エルドアン大統領はトルコ中銀メンバーに対する利下げ圧力を一段と強化)、B上記Aを背景とした外国人投資家によるトルコ離れ(国内から国外への資本流出圧力)、Cリラ安を防衛するための介入資金(外貨準備)の不十分さ、Dトルコ経済の先行き不透明感(景気停滞とインフレ高進が同時進行するスタグフレーション懸念)、E米土関係の悪化懸念(トルコ政府はロシア製S400の第2弾を購入する構え)など、トルコリラ円相場の更なる下落を意識させる材料が複数あります。

以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は11/3に予定されているトルコ10月消費者物価指数や同コア指数、トルコ10月生産者物価指数に注目が集まります。市場予想を上回る結果となった場合には、実質金利の低下を通じてリラ安が進むと予想される他、市場予想を下回る結果となった場合にも、追加利下げ観測を通じて、トルコリラには強い下押し圧力が加わるものと推察されます。この為、来週は週央以降(同指標発表後)のダウンサイドリスクに注意が必要でしょう。

来週の予想レンジ(TRYJPY):11.50ー12.10

注:ポイント要約は編集部

『史上最安値を再び更新。来週はトルコのインフレ指標に注目』

トルコ円日足

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