来週の為替相場見通し:『FOMCと米雇用統計に注目。ドル高トレンド再開か』(10/30朝)

ドル円は10/20に記録した約4年ぶり高値114.71をトップに反落に転じると、今週後半にかけて、約2週間ぶり安値となる113.25まで下落しました。

来週の為替相場見通し:『FOMCと米雇用統計に注目。ドル高トレンド再開か』(10/30朝)

『FOMCと米雇用統計に注目。ドル高トレンド再開か』

〇今週のドル円、中国恒大集団の利払い実施、株式市場の堅調等に週初114.32まで急伸
〇その後コモディティの急反落、株価の軟調、米3QGDPの不冴えに113.25まで反落
〇週末にかけては米長期金利上昇、月末フロー、米指標の改善に114円近辺で越週
〇ユーロドル、週後半にかけ1.1581まで下落するも、ラガルドECB総裁のタカ派発言等で1.1693まで反発
〇週末にかけては米金利上昇や月末のユーロ売りフローに1.1535まで急落し、1.1560近辺で越週
〇ドル円、テクニカルには下方向のサポート、買いシグナル多く、地合い強い
〇ファンダメンタルズも米早期テーパリング観測と、日銀の緩和政策長期化、円安容認等支援材料増える
〇ドル円上昇をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(USDJPY):113.00ー115.00、(EURUSD):1.1450−1.1650

今週のレビュー(10/25−10/29)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初113.60で寄り付いた後、@中国恒大集団のデフォルト回避(利払い実施)や、A株式市場の堅調推移、B上記@Aを背景としたリスク選好の円売り圧力、C原油先物価格の更なる上昇(資源価格高騰→インフレ懸念→米ドル高)、D日米金融政策の方向性の違いに着目したドル買い・円売り圧力、E米経済指標(米10月リッチモンド連銀製造業指数、米10月コンファレンスボード消費者信頼感指数、米9月新築住宅販売件数など)の力強い結果が支援材料となり、翌10/26にかけて、週間高値114.32まで急伸しました。

しかし、買い一巡後に伸び悩むと、F短期筋の見切り売り(円ショートポジションの解消)や、Gコモディティ価格の急反落、H株式市場の軟調推移、I上記GHを背景としたリスク回避の円買い圧力(クロス円下落→ドル円連れ安)、I米金利低下を受けたドル売り圧力、J重要イベントを控えたポジション調整、K対ユーロでのドル売り圧力、L米第3四半期GDP速報値の冴えない結果(約1年ぶり低成長)が重石となり、週後半にかけて、週間安値113.25(10/14以来、約2週間ぶり安値圏)まで反落しました。もっとも、心理的節目113.00をバックに下げ渋ると、M米主要株価指数の堅調推移(リスク選好の円売り再開)や、N米金利上昇に伴うドル高圧力(米10年債利回りが1.60%台を回復)、O月末ロンドンフィキシングに絡むドル買いフロー、P米経済指標の力強い結果(米10月シカゴ購買部協会景気指数や、米10月ミシガン大消費者信頼感指数など)が支援材料となり、結局114.01前後まで持ち直しての越週となっております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.1644で寄り付いた後、@欧米金融政策の方向性の違いに着目したユーロ売り・ドル買い圧力や、A独IFO景況指数(結果97.7、予想98.0)の冴えない結果、Bスペイン中銀デコス総裁による「ユーロ圏経済見通しが大幅に下方修正される可能性がある」とのハト派的な発言、Cドイツ連銀月報による「ドイツの経済成長は第4四半期に顕著に減速する可能性が高い」との見通し発表が重石となり、週後半にかけて、一時1.1581まで下落しました。

しかし、売り一巡後に下げ渋ると、Dドイツ10月消費者物価指数(結果4.5%、予想4.4%、※前年同月比)の伸び率高進(集計開始以来最大の伸び率記録)や、EラガルドECB総裁による「高インフレの局面は予想よりも長く継続する可能性がある」「PEPPの3月終了を信じる十分な根拠がある」とのタカ派的な発言、F上記Eを背景としたユーロショートの買戻し(ショートカバー)、G株高を背景としたリスク選好のドル売り圧力、H米第3四半期GDP速報値の冴えない結果が支援材料となり、一転して週間高値1.1693(9/28以来、約1ヵ月ぶり高値圏)まで反発しました。もっとも、心理的節目1.1700をバックに伸び悩むと、I上値の重さを嫌気した短期筋のショート再開や、J米金利上昇に伴うドル高圧力、K月末ロンドンフィキシングに絡むユーロ売りフローが重石となり、週末にかけて、週間安値1.1535(10/13以来)まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、結局1.1558前後での越週となっております(ラガルドECB総裁発言後の上昇幅を全て解消)。

来週の見通し(11/1−11/5)

<ドル円相場>
ドル円は10/20に記録した約4年ぶり高値114.71をトップに反落に転じると、今週後半にかけて、約2週間ぶり安値となる113.25まで下落しました。重要イベントを前に直近1ヶ月で急速に積み上げられた円ショート(IMM通貨先物市場では円ショートが過去最高水準に増加)の巻き戻しが誘発されたことが背景と考えられます。但し、ダウンサイドに複数のサポートポイント(ボリンジャーミッドバンドや一目均衡表基準線など)を控えている点や、強い買いシグナルを示唆する三役好転や、移動平均線のパーフェクトオーダー、ダウ理論の上昇トレンドが成立している点などを踏まえれば、テクニカル的に見て、地合いは強い(ここからの更なる下落は容易ではない)と判断できます(今週の下落は上昇トレンドの過程で見られる一時的な押し目。RSIなどのオシレータ系インジケータも過熱感を解消しており、来週はポジション調整一巡後の反発リスクに要警戒→事実週末にかけて114円台を既に回復)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによる早期テーパリング観測・早期利上げ観測の高まり(市場コンセンサスは11/4のFOMCでテーパリング決定→来年半ばにテーパリング終了→来年9月頃に最初の利上げ)や、A日銀による金融緩和の長期化観測(金融緩和脱却の糸口が見えない状況)、B上記@Aを背景とした日米金融政策の方向性の違い(ドル買い・円売り)、C黒田総裁による円安容認発言(同氏は「現時点で若干の円安だが、これが悪い円安とか日本経済にとってマイナスになるということはない」「日本経済に総合的にプラスであることは確実」「実質実効為替レートの水準について具体的なノルムがあるわけではない」と発言)、D株高を背景とした世界的なリスク選好ムード(米利上げ観測が高まっても株式市場が底堅さを維持→過剰流動性相場逆流リスクの後退)、E世界的なインフレ懸念(資源価格上昇→インフレ懸念→本邦の実質金利低下→円売り圧力。※但しバイデン米大統領による原油価格抑制策の発動には要警戒)など、ドル高・円安基調の継続を意識させる材料が増えつつあります。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は11/1の米10月ISM製造業景況指数や、11/3の米10月ADP雇用統計、米10月ISM非製造業景況指数、11/4の米FOMC、11/5の米10月雇用統計など重要イベントが目白押しとなります。米経済指標が市場予想を上回る場合には、米早期利上げ観測再燃→米長期金利上昇→米ドル高の経路と、米主要株価指数上昇→リスク選好の円売りの経路が組み合わさることで、想定以上にドル高・円安が進む可能性があると考えられます。また、11/4日本時間未明に発表される米FOMCでは、テーパリングの正式決定が既に織り込まれている為、注目はパウエルFRB議長発言の中から、利上げ時期を探る動きとなりそうです(今週のラガルドECB総裁がそうであったように、パウエル議長が持続的なインフレリスクの可能性に言及する場合などには、市場でタカ派的と見做され、米金利上昇→米ドル高に繋がる恐れあり。来週は10/20に記録した約4年ぶり高値を試すシナリオを想定)。

来週の予想レンジ(USDJPY):113.00ー115.00

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は10/12に記録した約1年3ヵ月ぶり安値1.1524をボトムに反発に転じると、今週後半にかけて約1ヵ月ぶり高値となる1.1693まで上昇しましたが、週末にかけて再び1.1535まで値を崩す冴えない動きとなりました。この間、一目均衡表基準線や転換線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転やパーフェクトオーダーも継続するなど、テクニカル的に見て、地合いの弱さを印象付けるチャート形状となっております(上値余地の乏しさを再確認→続落リスクに要警戒)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@欧米金融政策の方向性の違い(早期テーパリング・早期利上げが織り込まれる米国と、金融緩和の長期化が見込まれる欧州との金融政策格差)や、A欧州経済の先行き不透明感(スタグフレーション懸念)、Bドイツ連銀バイトマン総裁の辞任報道に端を発したECBメンバーのハト派傾斜の思惑、Cドイツを巡る政局不透明感(連立政権の組み合わせに係る不確実性)など、ユーロドルの上値を抑制する材料が増えつつあります。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロドル相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は欧州側のイベント(11/4のユーロ圏9月生産者物価指数や、11/5のユーロ圏9月小売売上高)よりも、米国側のイベント(11/1の米10月ISM製造業景況指数、11/3の米10月ADP雇用統計、米10月ISM非製造業景況指数、11/4の米FOMC、11/5の米10月雇用統計など)が目白押しとなる為、米ドル主導の神経質な値動きが予想されます(当方のメインシナリオは良好な米経済指標+米テーパリング決定→米金利上昇に伴うドル高→ユーロドル下落→10/12に記録した年初来安値1.1524を割り込むシナリオを想定)。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.1450−1.1650

注:ポイント要約は編集部

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ドル円日足

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