トルコリラ円見通し 暴落後の反騰一巡で再び失速(21/10/29)

トルコリラ円の10月28日は12.01円から11.77円の取引レンジ、29日早朝の終値は11.87円で前日終値の12.96円からは0.09円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し 暴落後の反騰一巡で再び失速(21/10/29)

トルコリラ円見通し 暴落後の反騰一巡で再び失速

〇トルコリラ円29日早朝終値11.87、買い戻し一巡後上値重く28日は4日ぶり前日比マイナスへ反落
〇対ドル29日早朝終値9.52、戻り一服し9.50挟んでの揉み合い続く
〇トルコ中銀、インフレ予想を上方修正、11/3消費者物価次第では追加利下げの可能性も
〇トルコへの海外観光客数、コロナ前2019年比6割、7-9月期観光収入も同比届かず
〇28日夕安値11.77を割り込まないうちは上昇余地ありとし、12.00超えからは12.10試しとする
〇12.85割れからは下向きとし、11.77割れからは11.60前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の10月28日は12.01円から11.77円の取引レンジ、29日早朝の終値は11.87円で前日終値の12.96円からは0.09円の円高リラ安となった。
10月21日の中銀利下げから急落に入って史上最安値を更新し、25日早朝には欧米10か国大使追放指示騒動から11.50円まで大幅続落となったが、大使追放騒動も落ち着き目先の悪材料出尽くしとしていったん買い戻しの動きに入り、10月26日高値では12.10円まで戻した。しかし先行きの不透明感、金融政策及び外交における大統領姿勢への不信感は根強く、買い戻し一巡後は上値が重くなり、28日は4日ぶりに前日比マイナスへ反落となった。

【対ドルでの戻りも一服】

ドル/トルコリラの10月28日は9.62リラから9.45リラの取引レンジ、29日早朝の終値は9.52リラで前日終値の9.48リラからは0.04リラのドル高リラ安となった。
10月21日の大幅利下げと25日早朝の欧米10か国大使国外追放指示報道から25日早朝には9.85リラまで史上最安値を更新したが、当面の悪材料消化で買い戻しに入り、26日夜には9.38リラを付けたが、先行き不透明感は解消せずにその後は9.50リラを挟んでの揉み合いが続いている。28日も夜に9.62リラへドル高リラ安となったところからは戻したが、さらにリラ買いを助長する動きにはならなかった。

【トルコ中銀、インフレ予想を上方修正】

トルコ中銀は四半期インフレ報告を発表した。2021年末のインフレ見通しの中間値は従来の14.1%から18.4%へ大幅に上方修正され、2022年末についても従来の7.8%から11.8%へ、2023年末についても従来の5.0%から7.0%へ上方修正した。2022年の食品価格予想については従来の10.1%から13.9%へ上方修正した。
カブジュオール総裁は10月21日会合での利下げについて、「現在のインフレ圧力は一時的であるために利下げを行った」とし、今後の2か月でどの程度の追加利下げ余地があるかを検討する」とした。また総裁は「外貨準備資産を増強する」「経常黒字を実現すれば金融と物価の安定を実現できる」とし、12か月累積ベースの経常収支は年内に改善するとの見通しを示した。

11月3日に10月のトルコ消費者物価、生産者物価の発表がある。9月の全体の消費者物価上昇率は前年比19.58%へ上昇したが、10月はさらに上昇して20%を超えることも予想されている。中銀総裁の発言からは当面して追加利下げを急がない印象だが、物価上昇が落ち着く兆しがあればさらに追加利下げしてゆく姿勢であることが改めて示された。またエルドアン大統領が10月21日の利下げ幅では満足していないとすれば、利下げ圧力がさらに増して11月18日の次回会合での利下げもあり得るところだ。

【海外からの観光客数は改善するもまだパンデミック前の6割】

トルコ文化観光省が発表した9月の海外観光客数は351万3453人で前年同月比は59.45%増となった。昨年9月は220万3482人で前年同月比59.4%減だったところからは改善しているが、コロナショック前の2019年9月は542万6818人でありまだ6割強に過ぎない。例年7月から8月をピークとして5月から10月までが観光シーズン。今後は漸減傾向期に入り1月と2月は端境期となる。
国別のトップ5はロシアの99.6万人、ドイツの39.6万人、ウクライナの31.2万人、ブルガリアの16.3万人、イランの15.2万人。
7-9月期の観光収入は114億ドルで4-6月期の30億ドルから大幅増だが、2019年7-9月期の140.31億ドルには届かず。
トルコリラが対ドル、対ユーロで史上最安値を更新していることは海外客にとってはお得でトルコにとってのリラ建てでの観光収入は増えるが、ドル建てではマイナス。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月25日朝へ一段安したところからの反騰により26日午前時点では25日朝安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、トップ形成期を26日午前から28日午前にかけての間と想定した。26日夜高値から上げ渋りに入ったために27日午前時点ではすでにサイクルトップを付けた可能性があるとし、その後も戻り高値が切り下がり基調で推移したために28日午前時点では26日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。またボトム形成期は28日朝から11月1日朝にかけての間と想定した。
10月28日夕刻の一段安で11.80円を割り込んだところから11.90円台まで戻したため、28日夕安値を直近のサイクルボトムとする。底割れ回避のうちは29日夜から11月2日夜にかけての間への上昇余地ありとするが、戻りは短命の可能性があると注意し、28日夕安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして11月2日午後から4日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では10月28日夕への下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落したが、その後の反発で遅行スパンは好転しやすい位置にある。遅行スパン好転からはさらに戻すとみて高値試し優先とするが、再び悪化する場合は下げ再開とみて安値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は28日夕の下落時に30ポイントを割り込んでから50ポイント台へ戻しているので、45ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、60ポイント台中盤は高値警戒とし、45ポイント割れからは下げ再開とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、10月28日夕安値11.77円を下値支持線、12.00円を上値抵抗線とする。
(2)28日夕安値を割り込まないうちは上昇余地ありとし、12.00円超えからは26日夜高値12.10円試しとするが、12.10円手前は戻り売りにつかまりやすいとみる。
(3)12.85円割れからは下向きとし、11.77円割れからは11.60円前後への下落を想定する。11.60円以下は反騰注意とするが、28日夕安値を割り込んだ後は週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

11月01日
 16:00 10月 イスタンブール製造業PMI (9月 52.5)
11月03日
 16:00 10月 消費者物価指数 前月比 (9月 1.25%)
 16:00 10月 消費者物価指数 前年同月比 (9月 19.58%)
 16:00 10月 消費者物価コア指数 前月比 (9月 1.5%)
 16:00 10月 消費者物価コア指数 前年同月比 (9月 17.0%)
 16:00 10月 生産者物価指数 前月比 (9月 1.55%)
 16:00 10月 生産者物価指数 前年同月比 (9月 43.96%)

11月18日 トルコ中銀金融政策決定会合


注:ポイント要約は編集部

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