ドル円見通し 10月20日高値以降の右肩下がり続く(21/10/29)

ドル円は10月28日深夜安値で113.24円へ下落、先週末23日未明安値113.39円を割り込み10月20日高値114.69円以降の安値を更新した。

ドル円見通し 10月20日高値以降の右肩下がり続く(21/10/29)

10月20日高値以降の右肩下がり続く

〇ドル円、昨日深夜113.24へ下落し安値更新、ユーロ急伸と米GDP速報値によるドル安感が背景
〇ユーロドル1.1692へ急伸、ECB量的緩和政策の継続可能性後退がきっかけ
〇米7-9月期GDP予想下回るも雇用回復進む、FOMCで年内テーパリング開始と利上げ想定の提示か
〇来週は豪中銀理事会、米連銀FOMC、英中銀MPC、欧米長期債利回り上昇の場合、円安進む
〇28日安値113.24割れからは113.00及び112.85を試す下落を想定
〇113.85超えなら114.00から114.30を試す流れ、ドル高感加速の場合は週明けも続伸か

【概況】

ドル円は10月28日深夜安値で113.24円へ下落、先週末23日未明安値113.39円を割り込み10月20日高値114.69円以降の安値を更新した。10月26日夜に114.30円まで戻したところからの一段安であり、戻り高値を切り下げつつ安値を更新する右肩下がりの展開となっている。
10月28日は日銀金融政策決定会合、ECB理事会、米GDP速報の発表等があった。日銀金融政策には特段のサプライズ無しで反応も鈍かったが、夜のECB総裁会見が市場予想程にはハト派的ではないとして会見をきっかけにユーロが急伸し、米7-9月GDP速報も予想を下回ったことでドル安感が強まったことが28日深夜にかけてドル円が安値を切り下げた背景と思われる。

【ユーロ反騰】

10月28日夜はユーロドルが反騰、理事会声明発表当初はやや売られて1.1562ドルまで下げていたところから28日深夜には1.1692ドルへ急伸、10月12日安値1.1524ドル以降の高値を更新した。ユーロ高が呼び水となってポンドや豪ドル等も上昇してドル安感が高まった。
欧州中銀(ECB)は10月28日の定例理事会で金融政策の現状維持を決めた。政策金利を据え置き、新型コロナウイルス危機対策としての債券購入策の維持も決定した。市場の予想通りではあるが、昨年3月に導入された債券購入プログラムについては来年3月末までの予定となっているところ、12月の次回理事会で来年3月で終了することの可否を検討するとした。ECBの量的緩和政策が来年4月以降も継続する可能性が後退したとして市場の認識程にはハト派的ではないとの見方が広がり、量的緩和終了から早ければ来年夏にも利上げする可能性もあるのではないかとの見方もささやかれた。

来週は豪中銀理事会、米連銀FOMC、英中銀MPCと金融政策決定会合が続く。景気回復と物価上昇の兼ね合いで主要国中銀は金融緩和から引き締めへと舵を切りつつあるが、米長期債利回りと同調して主要国の長期債利回りも騰落している側面もあるため、主要中銀のスタンスの差から個別通貨の強弱も変わってくるところだ。ドル円にとっては米長期債利回りが上昇一服中には全般的なドル安感が強まる中で下落しやすいが、欧米長期債利回りが揃って上昇する場合は慢性的なデフレと金融緩和継続感から円安が進みやすくなると思われる。

【米GDPは予想を下回る、雇用回復は進む】

米商務省が発表した7-9月期の米GDPは年率換算前期比が2.0%増となり4-6月期の6.7%増から大幅に鈍化して市場予想の2.7%を下回った。プラス成長は5期連続だが、4-6月期に見られた景気の急回復感がやや後退した印象だ。特に個人消費は1.6%増にとどまって4-6月期の12.0%増から大幅に低下している。
米労働省による週間新規失業保険申請件数は前週比1万件減少の28万1000件となり市場予想の29万件を下回った。3週連続で改善しておりコロナショック発生以降では最低となった。失業保険受給者総数は224万3000人となり前週から23万7000人減少で市場予想の241万5000人を下回った。
GDPがやや鈍化したものの雇用改善と物価上昇は継続しており、来週の米FOMCでは市場予想通りに年内テーパリング開始と来年の利上げ想定が示されるのではないかと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、10月20日午前高値で当面のピークを付けて下落期に入ってきたが、10月23日未明安値からの戻りが26日夜高値で一巡して新たな下落期に入っている。安値形成期は27日夜から29日深夜にかけての間と想定されるので既に28日深夜安値でボトムを付けた可能性があるが、今晩の米経済指標に対する反応次第では11月1日午前にかけて伸びる可能性もあると思われる。このため113.85円以下での推移中は26日夜高値を起点とした下落の継続とし、113.85円を超えるところからはいったん強気サイクル入りとするが、その後に戻り幅の半値以上を解消するところからは下げ再開を警戒し、20日以降の安値を更新するところからは新たな弱気サイクル入りとして来週中盤への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では28日深夜安値からの反発で遅行スパンは好転しやすい位置に来ている。先行スパンからの転落中だが、113.85円を超えてくれば先行スパンを上抜き始める。このため先行スパンを上抜き返せないうちは一段安警戒として遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とするが、先行スパンを上抜くところからはいったん戻しに入るとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。ただし29日夜の米経済指標反応等から先行スパンを上抜いてから再び転落する場合は下げ再開を疑う。
60分足の相対力指数は27日夜から28日夜にかけての安値更新に際して指数のボトムが切り上がり気味で強気逆行の気配となっている。このため50ポイント以上での推移中は上向きとして60ポイント台を試すとみるが、40ポイントを割り込むところからは下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、10月28日深夜安値113.24円を下値支持線、113.85円を上値抵抗線とする。
(2)113.85円以下での推移中は一段安警戒とし、113.24円割れからは113.00円及び112.85円を試す下落を想定する。112.85円以下は反騰注意とするが、米経済指標等から下げ足が速まる場合は112円台中盤(112.65円から112.35円)へ下値目途を引き下げる。
(3)113.85円超えからはいったん戻しに入るとみて114.00円から26日夜高値114.30円を試す流れとみる。114円以上は反落警戒とするが、全般的なドル高感が加速する場合は26日夜高値を超えて週明けも続伸に入る可能性が高まるとみる。

【当面の主な予定】

10/29(金)
休場、トルコ(共和制宣言記念日)
米大統領、バチカン訪問
09:30 (豪) 9月 小売売上高 前月比 (8月 -1.7%、予想 0.3%)
09:30 (豪) 7-9月期 生産者物価指数 前期比 (4-6月 0.7%)
09:30 (豪) 7-9月期 生産者物価指数 前年同期比 (4-6月 2.2%)
14:00 (日) 9月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (8月 7.5%、予想 8.0%)
14:00 (日) 10月 消費者態度指数・一般世帯 (9月 37.8、予想 40.9)
17:00 (独) 7-9月期 GDP速報値 前期比 (4-6月 1.6%、予想 2.2%)
17:00 (独) 7-9月期 GDP速報値 前年同期比 (4-6月 9.4%、予想 2.5%)
17:00 (独) 7-9月期 GDP速報値・季調前 前年同期比 (4-6月 9.8%、予想 2.6%)
17:30 (英) 9月 消費者信用残高 (8月 4.0億ポンド、予想 5.0億ポンド)

18:00 (欧) 10月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (9月 3.4%、予想 3.7%)
18:00 (欧) 10月 消費者物価コア指数速報値 前年同月比 (9月 1.9%、予想 1.9%)
18:00 (欧) 7-9月期 GDP速報値 前期比 (4-6月 2.2%、予想 2.1%)
18:00 (欧) 7-9月期 GDP速報値 前年同期比 (4-6月 14.3%、予想 3.5%)

21:30 (米) 7-9月期 雇用コスト指数 前期比 (4-6月 0.7%、予想 0.9%)
21:30 (米) 9月 個人所得 前月比 (8月 0.2%、予想 -0.3%)
21:30 (米) 9月 個人消費支出(PCE) 前月比 (8月 0.8%、予想 0.6%)
21:30 (米) 9月 PCEデフレーター 前年同月比 (8月 4.3%、予想 4.4%)
21:30 (米) 9月 PCEコア・デフレーター 前月比 (8月 0.3%、予想 0.2%)
21:30 (米) 9月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (8月 3.6%、予想 3.7%)
22:45 (米) 10月 シカゴ購買部協会景況指数 (9月 64.7、予想 63.5)
23:00 (米) 10月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 71.4、予想 71.4)

10/30(土)
G20首脳会議(ローマ、10/31まで)


注:ポイント要約は編集部

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