トルコリラ円見通し 25日朝からの反騰一巡、12円台では戻り売りにつかまる(21/10/28)

トルコリラ円の10月27日は12.04円から11.88円の取引レンジ、28日早朝の終値は11.96円で前日終値の11.94円からは0.02円の円安リラ高となった。

トルコリラ円見通し 25日朝からの反騰一巡、12円台では戻り売りにつかまる(21/10/28)

25日朝からの反騰一巡、12円台では戻り売りにつかまる

〇トルコリラ円、ひとまず目先の悪材料消化し28日早朝終値11.96で25日から3日連続上昇
〇対ドルでは9.50を挟み横ばい推移、リラ売り情勢解消し反騰入りへ向かう勢いは見られず
〇昨日のトルコ9月貿易収支、経済信頼感指数発表に対する市場の反応は限定的
〇トルコ中銀、世界の流れと真逆に高インフレ下での利下げ強行で異様さ再認識される流れ
〇26日夜高値12.10を超えないうちは一段安警戒、11.85割れからは下げ再開とみる
〇12.10を超える場合は新たな上昇期に入るとみて12.20前後への上昇を想定

【概況】

トルコリラ円の10月27日は12.04円から11.88円の取引レンジ、28日早朝の終値は11.96円で前日終値の11.94円からは0.02円の円安リラ高となった。終値ベースでは10月25日から3日連続の上昇だが、25日朝の暴落で付けた安値11.50円以降の戻り高値は26日の12.10円までで、27日は戻り高値切り上げへは進めずに26日の高安レンジ内にとどまった。
10月21日のトルコ中銀による予想を超える大幅利下げから史上最安値更新へと急落し、25日早朝にはエルドアン大統領が欧米10か国の大使を国外退去させる指示を出したとの報道から狼狽売りとなり11.50円まで史上最安値を更新したが、10か国大使追放指示が撤回されたことでひとまず目先の悪材料を消化し、利下げショックも織り込んだとして買い戻された状況にある。だが、10月21日の中銀利下げ前の水準は12.41円であり、21日の利下げ発表から11.92円まで急落した状況に対しては解消しきれない範囲にとどまっている。

【対ドルでの戻りも一服】

ドル/トルコリラの10月27日は9.54リラから9.43リラの取引レンジ、28日早朝の終値は9.48リラで前日終値の9.53リラからは0.05リラのドル安リラ高だった。
10月21日の大幅利下げと25日早朝の欧米10か国大使国外追放指示報道から25日早朝には9.85リラまで史上最安値を更新したが、当面の悪材料消化として買い戻されて26日夜には9.38リラまでドル安リラ高へと揺れ返した。しかしその後は9.50リラを挟んでほぼ横ばいの推移にとどまっており、リラ売り情勢が解消して反騰入りへ向かう勢いは見られずにいる。
10月27日夕刻にはトルコの9月貿易収支の発表があり、貿易赤字は25.5億ドルで8月の42.6億ドルからは改善した。トルコは構造的に貿易収支の赤字が続いているが、今年1月の30.6億ドルの赤字を下回っており年初来で最低となった。
経済信頼感指数の発表もあり、10月は101.4となり9月の102.4から若干悪化した。同指数は今年5月に92.6まで大幅に低下したところから4か月連続で持ち直してきたが、高インフレと通貨安を懸念して改善傾向も頭打ちとなった印象だ。これらに対する市場の反応は限定的だった。

【主要国の金融政策決定会合も相次ぎ、トルコ中銀の利下げ姿勢の異様さが再認識される流れか】

10月27日にはカナダ中銀が政策金利を現状維持としたがパンデミック対策としての量的緩和による資産購入を終了した。主要国に先駆けてテーパリングを進めてきたが今後は利上げ時期がいつになるのかへと焦点も変わる。ブラジル中銀は27日に政策金利を1.50%引き上げて7.75%としたが6会合連続の利上げとなった。
10月28日は日銀の金融政策決定会合と総裁会見がある。デフレ長期化の中で身動きも取り難い状況にあるが、最近の円安水準に対する総裁の見解が注目される。
28日夜にはECB理事会、来週の11月2日には豪中銀、4日未明には米FOMCの政策発表と議長会見、4日夜には英中銀MPCと主要国の金融政策決定会合が続く。パンデミックからの景気回復と物価上昇を踏まえて主要国は金融緩和から引き締めへとスタンスを変更しつつ利上げ時期を伺う態勢だが、トルコ中銀は世界の流れとは真逆に高インフレ下での利下げを強行しているため、スタンスの差と異様さが再認識されやすい環境が続くと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月21日夜の中銀利下げからの急落により21日午前高値を直近のサイクルトップとして弱気サイクル入りしたが、25日朝へ一段安したところからの反騰により26日午前時点では25日朝安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、トップ形成期を26日午前から28日午前にかけての間と想定した。26日夜高値から上げ渋りに入ったために27日午前時点ではすでにサイクルトップを付けた可能性があるとしたが、その後も戻り高値が切り下がり基調で推移しているので26日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。ボトム形成期は28日朝から11月1日朝にかけての間とし、26日夜高値を超えないうちは一段安警戒とするが、26日夜高値を超えるところからは新たな強気サイクル入りとして29日夜から11月2日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では10月26日夜への上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いたが、その後は上げ渋りでの横ばい推移となっているため遅行スパンは実線と交錯して方向感に欠ける。先行スパンの上限が下値支持線として機能しているので、遅行スパン好転からは上昇再開の可能性が出てくるが、先行スパンへ潜り込む流れなら下向きとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は26日夜に80ポイントまで急伸してからは戻り高値切り下がり型でジリ安の推移に入っているので、60ポイント超えへ反騰できないうちは下向きとして30ポイント前後への下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11.85円を下値支持線、26日夜高値12.10円を上値抵抗線とする。
(2)26日夜高値を超えないうちは一段安警戒とし、11.85円割れからは下げ再開とみて11.70円前後への下落を想定する。下げ足が速まる場合は11.60円前後へ下値目途を引き下げる。また12円以下での推移なら29日も安値試しへ向かう可能性が残るとみる。
(3)26日夜高値を超える場合は新たな上昇期に入るとみて12.20円前後への上昇を想定する。12.20円以上は反落注意とするが、25日朝の史上最安値を起点としたリバウンドの継続として利下げによる急落前水準へ戻す可能性も出てくると考える。

【当面の主な予定】

10月28日
 16:00 7-9月期観光収入 (4-6月 30億ドル)
 17:00  9月 観光客数 前年同月比 (8月 119.4%)
 20:30 週次 外貨準備高 10/22時点 (10/15時点 859.6億ドル)
11月01日
 16:00 10月 イスタンブール製造業PMI (9月 52.5)
11月03日
 16:00 10月 消費者物価指数 前月比 (9月 1.25%)
 16:00 10月 消費者物価指数 前年同月比 (9月 19.58%)
 16:00 10月 消費者物価コア指数 前月比 (9月 1.5%)
 16:00 10月 消費者物価コア指数 前年同月比 (9月 17.0%)
 16:00 10月 生産者物価指数 前月比 (9月 1.55%)
 16:00 10月 生産者物価指数 前年同月比 (9月 43.96%)

11月18日 トルコ中銀金融政策決定会合

注:ポイント要約は編集部

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