トルコリラ円見通し 目先の悪材料消化で反騰するも12円台では上値重い(21/10/27)

欧米大使の国外退去指示取り消しとの報道から26日はリラの買い戻しが勢い付いた。大幅利下げのショック安も含め目先の悪材料消化として反騰したという印象。

トルコリラ円見通し 目先の悪材料消化で反騰するも12円台では上値重い(21/10/27)

トルコリラ円見通し 目先の悪材料消化で反騰するも12円台では上値重い

〇トルコ円、欧米10か国大使への国外退去取り消し報道にリラ買い戻し進み、10/27早朝は11.94レベル
〇ドル/トルコリラ、10/25早朝史上最安値9.85更新、10/27未明からは9.50挟んだ揉み合い
〇大使追放中止で、一旦騒動は収まったものの、欧米10か国による共同声明は撤回されず今後に禍根も
〇11.80以上での推移中は上昇余地ありとし、12.10超えからは12.20試しとする
〇11.80割れからは下げ再開とみて、11.65前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の10月26日は12.10円から11.81円の取引レンジ、27日早朝の終値は11.94円で前日終値の11.84円からは0.10円の円安リラ高となった。
10月21日のトルコ中銀による予想を超える大幅利下げにより昨年11月6日の12.03円の史上最安値を割り込み11.92円へ下落、22日も利下げショックを引きずって11.76円まで安値を切り下げた。25日早朝にはエルドアン大統領が欧米10か国の大使を国外退去させる指示を出したとの報道からさらに急落して11.50円まで一段安となったが、やや狼狽的な売りが一巡して25日は11.91円まで戻していた。
エルドアン大統領が欧米10か国大使への国外退去指示を取り消したとの報道から26日はリラの買い戻しが勢い付いた。中銀による大幅利下げのショック安も含めて目先の悪材料消化として反騰したという印象だ。

【対ドルも史上最安値更新】

ドル/トルコリラの10月26日は9.62リラから9.38リラの取引レンジ、27日早朝の終値は9.53リラで前日終値の9.58リラからは0.05リラのドル安リラ高となった。
10月21日の大幅利下げ、25日早朝の欧米10か国大使国外追放指示との報道から25日早朝には9.85リラまで史上最安値を更新したが、当面の悪材料消化として買い戻されて26日夜にはこの日の高値となる9.38リラまでドル安リラ高となった。しかし目先はともかく、先行き不安は継続であり、9.30リラ台へ戻したところは売られ、27日未明からは9.50リラを挟んだ揉み合いとなっている。

【欧米10か国大使追放指示騒動は収まったが、先行き不信は継続】

欧米の10か国大使は10月18日に共同声明を出して2016年のクーデター未遂事件などに関与した疑いで拘束されているトルコ人実業家の即時釈放を求めた。エルドアン大統領はこれに反発して10月23日に欧米10か国の大使追放を外務省に指示した。
しかし、過度の外交的な緊張化を懸念して10か国は「接受国の問題への不介入を謳う国際条約の順守を続ける」と相次いでツイッターに投稿して内政干渉へ深入りしない姿勢を示し、エルドアン大統領は10月25日の閣議後の演説で「米欧等10か国の駐トルコ大使を国外追放処分とはしない」と述べてひとまず騒動は収まった。ただし、欧米10か国による共同声明は撤回されたわけではなく、今後に禍根を残している。

バイデン米大統領は過去にエルドアン大統領を独裁者呼ばわりし、トランプ政権下ではまだ良好だった米国とトルコの関係はバイデン大統領就任から悪化している。トルコはNATO加盟国であり米国とも同盟国の扱いだが、ロシア製ミサイルシステムの導入を巡って対立しており、EUとはギリシャ・キプロス問題や難民問題で対立している。エルドアン大統領は2023年に大統領選挙を控えており、それまでに低下傾向にある支持率を高めるために景気対策、外交における強硬姿勢で排外主義を煽って支持基盤を高めたいという思惑があると思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月21日夜の中銀利下げからの急落により21日午前高値を直近のサイクルトップとして弱気サイクル入りしたが、25日朝へ一段安したところからの反騰により26日午前時点では25日朝安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。またトップ形成期は26日午前から28日午前にかけての間と想定されるので既に反落注意期にあるとしたが、11.70円以上での推移中は上昇余地ありとした。
10月26日夜に12.10円まで戻したところから反落しているので既にサイクルトップを付けて弱気サイクル入りしている可能性がある。11.80円以上での推移中は上昇余地ありとするが、11.80円割れからは弱気サイクル入りとして28日朝から11月1日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では10月25日朝安値からの反騰で遅行スパンが好転し、その後も続伸で先行スパンを上抜いた。27日午前時点では両スパン揃っての好転を維持しているのでまだ上昇余地ありとするが、既に反落注意期にあるとみて遅行スパンが再び悪化するところからは下げ再開とみる。
60分足の相対力指数は26日夜に80ポイントまで急伸したが、その後は50ポイント台へ低下した。50ポイント以上を維持するうちは60ポイント超えから上昇再開とするが、50ポイント割れからは下げ再開として30ポイント前後を目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11.80円を下値支持線、26日夜高値12.10円を上値抵抗線とする。
(2)11.80円以上での推移中は上昇余地ありとし、12.10円超えからは12.20円試しとするが、12.15円以上は反落警戒圏と注意する。
(3)11.80円割れからは下げ再開とみて11.65円前後への下落を想定する。11.65円以下は反騰注意とするが、11.80円以下での推移なら28日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

10月27日
 16:00  9月 貿易収支 (8月 -42.6億ドル)
 16:00 10月 経済信頼感指数 (9月 102.4)
10月28日
 16:00  9月 観光客数 前年同月比 (8月 119.4%)
 16:00 7-9月期観光収入 (4-6月 30億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 10/22時点 (10/15時点 859.6億ドル)
11月01日
 16:00 10月 イスタンブール製造業PMI (9月 52.5)
11月03日
 16:00 10月 消費者物価指数 前月比 (9月 1.25%)
 16:00 10月 消費者物価指数 前年同月比 (9月 19.58%)
 16:00 10月 消費者物価コア指数 前月比 (9月 1.5%)
 16:00 10月 消費者物価コア指数 前年同月比 (9月 17.0%)
 16:00 10月 生産者物価指数 前月比 (9月 1.55%)
 16:00 10月 生産者物価指数 前年同月比 (9月 43.96%)

11月18日 トルコ中銀金融政策決定会合


注:ポイント要約は編集部

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る