ドル円見通し 113.50円割れから戻すも114円へ届かず右肩下がり(21/10/28)

ドル円は、27日夜に113.37円まで下げて23日未明安値を割り込んだ。深夜からやや戻したものの114円には届かずにいる。

ドル円見通し 113.50円割れから戻すも114円へ届かず右肩下がり(21/10/28)

113.50円割れから戻すも114円へ届かず右肩下がり

〇ドル円、昨日夜に113.37まで下げ23日未明安値割り込んだ後やや戻すも114円に届かず
〇9月後半からの上昇一服で調整安の落ち着き処を探りつつ、次のきっかけを待つところ
〇米10年債利回り、10/21に1.70%を付け8月以降の最高水準となったところから連日の低下
〇本日の日銀金融政策決定会合、円安水準や輸入物価上昇に対する総裁の見解に注目
〇ECB定例理事会、7-9月期米GDP速報値、米週間新規失業保険申請件数等の発表にも注目
〇27日夜安値113.37割れからは113.00前後への下落を想定
〇114円超えから続伸なら26日夜高値114.30試し、超えれば114.50台への上昇を想定

【概況】

ドル円は10月20日午前高値114.69円から23日未明安値113.39円まで1.30円の円高ドル安となったところから26日夜高値114.30円まで1円近い反発を入れたが、27日夜には113.37円まで下げて23日未明安値を割り込んだ。深夜からやや戻したものの114円には届かずにいる。
9月15日安値109.09円を起点として10月20日高値まで5.60円の上昇幅となり、その間は高値を切り上げた後の安値も底上げをして上昇トレンドを維持してきたが、10月20日以降は戻り高値を切り下げてから安値も切り下がる右肩下がりの流れにつかまっている。
米10年債利回りが先週末から連日の低下となりドル円への上昇力を削ぐ動きとなっている。主要国の長期債利回りも米長期債利回りを見ながら同調的に動いているためにドルストレートの動きはややまちまちとなっているが、10月28日の日銀金融政策決定会合とECB理事会、米GDP速報、来週のFOMC等を意識して9月後半からの上昇一服で調整安の落ち着き処を探りつつ、次のきっかけを待つところと思われる。

【米10年債利回り低下、2年債利回りは上昇】

10月27日の米10年債利回りは前日比0.07%低下の1.54%、30年債利回りが同0.09%低下の1.95%で2%割れとなった。一方で2年債利回りは0.06%上昇の0.50%となった。米連銀のFOMCが来週に迫る中で年内のテーパリング開始と来年の利上げ開始については市場もある程度織り込んできているが、長期債利回り確保のために長期債が買われる一方で短期中期債は先行きの利上げを意識して売られて利回りが上昇する展開だ。
米10年債利回りは10月21日に1.70%を付けて8月以降の最高水準となったところから連日の低下であり、10月4日や10月14日へ低下した時の規模を超える低下ぶりとなっており、ドル円にとっては米2年債利回り上昇はプラスだが指標の10年債利回りが大幅低下すると圧迫される。

【日銀金融政策決定会合、輸入物価上昇と為替水準への総裁の見解に注目】

10月28日、昼を前後して日銀の金融政策決定会合の結果が発表される。日銀としては政策的に身動きできない状況のために今回も現状維持と思われるが、午後の総裁会見において年初から継続してきた円安の水準や、世界的な物価上昇による輸入物価上昇についての総裁の見解が若干注目されると思われる。円安水準に対する警戒的なスタンスがみられるようだと円高反応となる可能性もあると思われるが、消費者物価水準は低いままであり円安水準への認識もさほど神経質でないなら円安反応もあるかもしれない。
28日夜にはECB定例理事会と総裁会見、7-9月期米GDP速報値、米週間新規失業保険申請件数等の発表が相次ぐ。来週の11月2日には豪中銀、4日未明に米連銀のFOMC結果発表、4日夜には英中銀金融政策決定会合と続く。27日夜にはカナダ中銀が政策金利を0.25%で据え置いたが量的緩和による週20億カナダドルの資産購入を終了した。徐々に主要国の金融政策スタンスも引き締めへと動きだしている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、10月20日午前高値で当面のピークを付けて下落期に入ってきたが、23日未明安値で目先の底を付けて26日夜へ戻したものの27日夜に一段安しているため、現状は26日夜高値を直近のサイクルトップとして弱気サイクル入りしているところと思われる。ボトム形成期は27日夜から29日深夜ないし11月1日朝にかけての間と想定されるので既に反騰注意期には来ているが、114円台回復へ進めないうちはもう一段安余地ありとみる。

60分足の一目均衡表で27日夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落した。27日夜安値からは戻しているので遅行スパンは好転しやすい位置にあるが、先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみる。強気転換は先行スパン突破からとし、その際は遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は27日夜の下落時に30ポイントまで低下してから戻したが50ポイント超えへ進めずにいる。50ポイントを下回るか一時的に超えても維持できないうちはもう一度30ポイント前後を試す可能性があると考えるが、55ポイントを超えてその後も50ポイント以上を維持する場合は上昇再開の可能性ありとみて60ポイント台中盤への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、10月27日夜安値113.37円を下値支持線、114.00円を上値抵抗線とする。
(2)114円以下での推移か一時的に超えても維持できないうちは一段安警戒とし、113.37円割れからは113.00円前後への下落を想定する。113円前後は買われやすいとみるが、下げ足が速まる場合は112円台後半へ下値目途を引き下げる。また113.75円以下での推移なら29日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)114円超えから続伸に入る場合は26日夜高値114.30円試しとするが、114.30円手前は戻り売りも出やすいと注意する。26日夜高値を超える場合は114.50円台への上昇を想定する。

【当面の主な予定】

10/28(木)
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、政策金利 (現行 -0.10%、予想 -0.10%)
未 定 (日) 日銀展望レポート
15:30 (日) 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
16:55 (独) 10月 失業者数 前月比 (9月 -3.00万人、予想 -2.00万人)
16:55 (独) 10月 失業率 (9月 5.5%、予想 5.4%)
18:00 (欧) 10月 消費者信頼感確定値 (速報 -4.8)
18:00 (欧) 10月 経済信頼感 (9月 117.8、予想 116.7)
20:45 (欧) 欧州中銀(ECB)政策金利 (現行 0.00%、予想 0.00%)
21:00 (独) 10月 消費者物価指数速報値 前月比 (9月 0.0%、予想 0.5%)
21:00 (独) 10月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (9月 4.1%、予想 4.4%)

21:30 (欧) ラガルドECB総裁、定例記者会見
21:30 (米) 7-9月期 GDP速報値 前期比年率 (4-6月 6.7%、予想 2.7%)
21:30 (米) 7-9月期 GDP個人消費速報値 前期比年率 (4-6月 12.0%、予想 0.8%)
21:30 (米) 7-9月期 コアPCE速報値 前期比年率 (4-6月 6.1%、予想 4.5%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 29.0万件、予想 29.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 248.1万人、予想 241.5万人)
23:00 (米) 9月 住宅販売保留指数 前月比 (8月 8.1%、予想 0.0%)
23:00 (米) 9月 住宅販売保留指数 前年同月比 (8月 -6.3%、予想 -3.0%)
26:00 (米) 財務省7年債入札

10/29(金)
休場、トルコ(共和制宣言記念日)
米大統領、バチカン訪問
08:30 (日) 9月 失業率 (8月 2.8%、予想 2.8%)
08:30 (日) 10月 東京区部消費者物価指数・生鮮食品除く 前年同月比 (9月 0.1%、予想 0.3%)
08:50 (日) 9月 鉱工業生産速報値 前月比 (8月 -3.6%、予想 -2.5%)
08:50 (日) 9月 鉱工業生産速報値 前年同月比 (8月 8.8%、予想 0.4%)
09:30 (豪) 9月 小売売上高 前月比 (8月 -1.7%、予想 0.3%)
09:30 (豪) 7-9月期 生産者物価指数 前期比 (4-6月 0.7%)
09:30 (豪) 7-9月期 生産者物価指数 前年同期比 (4-6月 2.2%)

14:00 (日) 9月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (8月 7.5%、予想 8.0%)
14:00 (日) 10月 消費者態度指数・一般世帯 (9月 37.8、予想 40.9)
17:00 (独) 7-9月期 GDP速報値 前期比 (4-6月 1.6%、予想 2.1%)
17:00 (独) 7-9月期 GDP速報値 前年同期比 (4-6月 9.4%、予想 2.5%)
17:00 (独) 7-9月期 GDP速報値・季調前 前年同期比 (4-6月 9.8%、予想 2.6%)
18:00 (欧) 10月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (9月 3.4%、予想 3.7%)
18:00 (欧) 10月 消費者物価コア指数速報値 前年同月比 (9月 1.9%、予想 1.9%)
18:00 (欧) 7-9月期 GDP速報値 前期比 (4-6月 2.2%、予想 2.1%)
18:00 (欧) 7-9月期 GDP速報値 前年同期比 (4-6月 14.3%、予想 3.5%)

21:30 (米) 7-9月期 雇用コスト指数 前期比 (4-6月 0.7%、予想 0.9%)
21:30 (米) 9月 個人所得 前月比 (8月 0.2%、予想 -0.2%)
21:30 (米) 9月 個人消費支出(PCE) 前月比 (8月 0.8%、予想 0.6%)
21:30 (米) 9月 PCEデフレーター 前年同月比 (8月 4.3%、予想 4.4%)
21:30 (米) 9月 PCEコア・デフレーター 前月比 (8月 0.3%、予想 0.2%)
21:30 (米) 9月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (8月 3.6%、予想 3.7%)
22:45 (米) 10月 シカゴ購買部協会景況指数 (9月 64.7、予想 64.0)
23:00 (米) 10月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 71.4、予想 71.4)

注:ポイント要約は編集部

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