FOMCなど材料目白押し、レンジ脱却に要注意(週報11月第1週)

先週のドル/円相場はおおむねレンジ取引。ドル高の調整で上値は重いが下値も堅く、結局114円挟みの一進一退に終始している。

FOMCなど材料目白押し、レンジ脱却に要注意(週報11月第1週)

FOMCなど材料目白押し、レンジ脱却に要注意

〇先週のドル円、114.31まで値をあげるも年初来高値更新ならず、114円前後で越週
〇今週は米FOMCにてテーパリング開始決定の見通し、債券買入れ縮小シナリオは市場織り込み済みか
〇10月米雇用統計、同ISM製造業景況指数も発表予定
〇米FOMC前に発表のISM指数、景気減速示せばドル高に歯止めかける可能性も
〇今週のドル/円予想レンジは112.70-115.20、先週高値114.31の攻防を注視

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はおおむねレンジ取引。ドル高の調整で上値は重いが下値も堅く、結局114円挟みの一進一退に終始している。

前週末は、ブルームバーグが北アイルランド情勢をめぐり「EUは英国との通商協定破棄も検討する可能性」と報じ話題に。また別途、新型コロナや恒大集団に関するものなど、中国関連ニュースが数多く伝えられ、市場参加者だけはなく多くの目を引いていたようだ。
そうした状況下、ドル/円は113.60円前後で寄り付いたのち、週間高値である114.31円まで値を上げるも続かず。ドルの年初来高値更新はならなかった。そののち、113.25円まで1円程度下落するも底堅く、週末に掛けてはV字回復。再び114円台を回復し、週末NYもそのまま114円前後で取引を終え越週している。
なお、先週とくに目を引いた動きをたどっていたのはトルコリラ。週末に掛けては反発に転じているが、対円では一時年初来安値を更新する11円半ばを示現する局面も。伝えられた「トルコ大統領が外務省に『欧米など10大使の追放を指示した』」ことが嫌気されていたという。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「新型コロナ」と「中国情勢」について。
前者は、ロシアの首都モスクワが10月28日からロックダウンへと入ると発表されるなか、週明けにドイツのコッホ研究所が「コロナ国内感染が再び拡大した」ことを発表し、欧州における感染拡大思惑がさらに広がっていた。また中国でも、デルタ株再拡大を受けて「10月31日開催予定の北京マラソンが延期」されている。欧州以外の地域についても、感染拡大を今後注意する必要がありそうだ。

対して後者は、深刻な電力不足に対応するため「習主席が国内油田を視察しエネルギー自給を訴えた」ことを政府自らが発表。その効果などに引き続き注目だ。一方、不動産リスクに関する話は週間を通して数多く、たとえば当代置業(モダン・ランド・チャイナ)が「流動性の問題」を理由に、10月25日期限社債の元本・利払いを実施しなかったことを明らかにしている。ただ、懸念されている「不動産リスク」の最たるもの恒大集団については、米紙NYタイムズが「10月29日に支払い猶予期限を迎えるドル建て社債の利払いを実施した」と報じており、依然として綱渡りながら目先のデフォルトは回避されたようで、一抹の安心感を醸していた。

<< 今週の見通し >>

ドル/円相場は中期的な流れ、ドル高基調にいまだ変化はないが、足もとはその調整局面。実際、先週は20日に示現した年初来高値の114.69円を超えていくことが出来なかった。ただ、肝心の調整が価格であるのか、それとも時間調整となるのかはやや微妙。また、今週は週半ばの米FOMCや週末の米雇用統計発表など、注目材料が少なくない。可能性はそれほど高くないと目されているものの、場合によってはドル高調整も一巡、再び年初来高値を更新するような展開をたどることも否定できないだろう。
米金利動向への関心が非常に高いなか、今週はいよいよ米FOMCが行われテーパリング開始が決定される見通し。ちなみに、早ければ11月中に債券買入れの縮小を開始し、2022年半ばには完了するシナリオは、市場にすでにほぼ織り込まれている感も否めない。果たして、そこから踏み出した内容となるのかにも注目だ。また、それとは別に今週は重要とされる米経済指標の発表も相次ぐ。代表的なものは週末の10月雇用統計になるが、週初に発表される10月のISM製造業景況指数などにも一応注意しておきたい。

テクニカルに見た場合、ドル/円は中期的なドル高傾向継続下の調整局面。実際、先週は20日に示現した114.69円を超えていくことが出来なかったばかりか、113.25-114.31円の約1円レンジにとどまっている。目先はそんなレンジ取引、狭いなかでの一進一退が続く可能性も否定できないが、前述したように今週は注目材料が目白押しだ。ドル高が再開し115円突破に向けた値動きをたどる、あるいは逆に価格調整の動きが強まり112円台へと下落するといった展開となるなど波乱の一週間となる可能性も。

材料的に見た場合、中長期的には、「恒大リスク」は若干後退もまだまだ諸問題の多い「中国情勢」や、ロシアを含む欧州を中心とした感染拡大が懸念される「新型コロナ」、「日米欧などの金融政策」−−などが注視されている。
そうしたなか今週は、10月のISM製造業景況指数や同雇用統計といった重要な米経済指標が発表される見込み。先週は発表された7-9月期GDP速報値が期待外れとなっただけに、市場では若干の警戒感も漂っている。前者ISM指数は米FOMC前の発表になることから、景気減速が示されればドル高に歯止めをかけることになるかもしれない。

そんな今週のドル/円予想レンジは、112.70-115.20円。ドル高・円安については、まず先週高値114.31円の攻防が注視され、上抜けると114.69円そして115円が再び視界内に捉えられそうだ。
対するドル安・円高方向は、先週安値113.25円が最初のサポート。下回れば113円割れも否定できず、9月安値109.12円を起点とした上げ幅のフィボナッチ38.2%押しに当たる112.55円を目指す展開も。

FOMCなど材料目白押し、レンジ脱却に要注意

ドル円日足


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