トルコリラ円レポート月曜版
〇先週のトルコリラ円、2%の利下げ実施で安値11.75、高値12.38と予想レンジ大きく下抜け
〇ドルトルコリラ市場最安値更新、トルコリラ円も昨年11月以来の史上最安値更新
〇さらに23日の大使国外追放ニュース受け、週明け早朝トルコ円11.49レベルで史上最安値大きく更新
〇今週は11.11レベルをサポートに、先週安値11.75レベルをレジスタンスとする週を見ておく
〇よほど良いニュースが出れば反発の可能性もあるが、大台12円は強力なレジスタンスに
まず、先週の振り返りですが、「21日までは上値が重く利下げが行われればトルコリラ一段安と見て、今週は大台12.00レベルをサポートに12.40レベルをレジスタンスとする週」を見ていました。実際のレンジは、安値が11.75レベル、高値が12.38レベルとなり、予想レンジを大きく下抜ける結果となりました。
先週のトルコリラ円は、21日のトルコ中銀会合までは利下げが行われるとしても0.5%か1.0%であろうという見方がコンセンサスとなっていたこともあって、会合を前にポジション調整による買い戻しが入ったこともあり、12.38レベルの高値をつけたあとに若干下げての会合待ちとなりました。
個人的にはコアインフレの数値から1%の利下げの可能性が高いと見ていましたが、市場参加者すべてが驚く2%の利下げを実施しました。トルコ中銀の声明では「年末までの利下げ余地が限られている」としましたが、これも限られているものの利下げ余地はあるという見方もできますし、13日の副総裁2名を含む金融政策委員3人が解任された流れからすると、方向は完全に利下げに向かっていると考えることになりそうです。
この中銀の利下げを受け、ドルトルコリラはトルコリラの市場最安値を更新、そしてトルコリラ円でも12円の大台を割り込み昨年11月以来の史上最安値更新となりました。
トルコリラの金融市場は利下げを受けてイスタンブール100の株価指数は上昇したものの、インフレ率以下に引き下げられた政策金利が今後のトルコのインフレ再開につながることを嫌気しトルコ国債は売られました。実質的にエルドアン大統領による金融政策メンバーの入れ替え直後の大幅利下げということでトルコ中銀の独立性は完全に失われてしまったと言えるでしょう。
この予想を大きく上回る利下げだけでもインパクトは大きかったのですが、更に週末23日にエルドアン大統領は10か国の大使を国外追放する決定を下しました。これは民主化の活動家が4年以上に渡って拘束されていることに反対し、即時解放を求める声明を出したことに対しての制裁となります。いまのところ、まだ最終的な追放にまでは至っていないものの同盟億も含む大使に対しての追放は外交問題に大きな影響を与えることとなり、特に米国による制裁等が懸念されるところです。
このニュースを受けて週明け早朝のトルコリラ市場はギャップダウンで一段の大幅安となり、ドルトルコリラは9.80台、トルコリラ円は11.49レベルまでそれぞれ史上最安値を大きく更新する荒れ模様のスタートとなっています。
今週はまずトルコリラ円の週足チャートをご覧ください。
史上最安値である以上大台11円、10円といった節目のレート程度しか目安となる水準はありませんが、2018年の戻り高値を起点として逆N波動(ピンクのライン)を考えるとフィボナッチ・エクスパンションの50%エクスパンションが10.23となり、10円の大台が長期的にはターゲットとなってくる可能性もありそうなチャートと言えます。
いつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)もご覧ください。
短期的に逆N波動が取れそうな3点でターゲットを求めてみましたが、週明けの急落で既に161.8%ターゲット以下に来ています。261.8%ターゲットはさすがにまだ遠いので、悩ましいのですが、先週の大きく動いたレンジ63銭を先週末の安値から引いてみると11.07となります。同程度の続落が今週も続くとすると11円の大台も視野に入れそうです。
インターバンクディーラーは結構ゾロ目の取引レートが好きなので11.11というのは瞬間安値であるかもしれません。今週は既に一段安で始まっていますので、ゾロ目11.11レベルをサポートに、先週安値11.75レベルをレジスタンスとする週を見ておくこととします。なお、よほど良いニュースが出てくれば反発の可能性も否定しませんが、その場合でも大台12円はしばらく強力なレジスタンスとなってくるでしょう。
※ポイント要約は編集部
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