続伸期待強い、テクニカルにはドル一段高も
〇先週のドル円、右肩上がりの値動きで112.26示現、年初来高値に続き昨年高値112.22も更新
〇4日に菅内閣が総辞職、第100代目首相として岸田自民党総裁が選出される
〇6日に米中高官がスイスで会談、週末には米中貿易閣僚会議再開で合意したと報じられる
〇一昨年高値112.40が次の抵抗、113円台に目立った抵抗なく次は114円台半ばを目指す展開も
〇今週は、9月消費者物価指数や10月ミシガン大消費者信頼感指数などの米経済指標が発表予定
〇今週のドル/円予想レンジは111.10-113.30、最初のターゲットは112.40、超えれば113円台か
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、ドルが一段高。週間を通して「寄り付き安・大引け高」の様相で、週末NY終値ベースでも112円台をキープするなどドル高値圏だった。
前週末は、台湾の防空圏に3日連続で中国軍機が侵入したとして話題に。TPP参加表明などに対する恫喝との見方が有力視されていた。また、週明け4日に正式発足する岸田新内閣の陣容がほぼ固まり、日経新聞では「初入閣は13人に上る見通し」だと報じている。
そうした状況下、ドル/円は111円前後で寄り付いたのち、週間安値の110.82円を示現した。しかし以降、週末に掛けてはおおむね右肩上がりの値動きとなり、上方向のテクニカルポイントを次々に上抜け。前週に更新したばかりの年初来高値(112.08円)に続き、昨年高値112.22円もわずかながら更新する週間高値112.26円を示現している。なお、週末に発表された注目の米雇用統計において、非農業部門雇用者数は予想を大きく裏切る結果となったが、ドル安方向への反応はいまひとつ。結局、そのまま週間を通したドルの高値圏112.20円前後で週末NYの取引を終え越週となった。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「日本の政局」と「中国情勢」について。
前者は、先週初め4日に在任期間384日で菅内閣が総辞職をし、それを継ぐ第100代目首相として岸田自民党総裁が選出されている。そうしたなか、自民党役員人事に続き新内閣の顔ぶれが明らかになったが、前述した日経新聞など事前に報じられた内容からは踏み出さず。ただ、当初は「14日解散・来月7日総選挙」と複数メディアで報じられていたものを、岸田首相自身が訂正。「19日公示、31日投票」と発表していた。また、月末に開催されるG20についても同様で、「出席する方針」とされていたものの、途中で見解が「出席見送り」などと訂正したうえで新たに報じられている。
対して後者は、次から次へと中国に関する問題が噴出し話題に。そのひとつは「電力不足」問題で現地メディアでも「長期化の様相」などと懸念されていた。また、不動産大手・恒大集団リスクは依然として払拭されないばかりか、第2の恒大とも言われる「花様年控股集団」による利払いの不払いも発生し、新たな懸念材料となっていた感を否めない。そうしたなか、過去最多の中国軍機56機が台湾の防空識別圏に侵入したことが判明したり、6日に米中高官がスイスで会談したり、週末には米中貿易閣僚会議再開で合意したと報じられるなど、1週間通して様々な中国ファクターが目白押しだった。
<< 今週の見通し >>
先週のドル/円は、上方向のテクニカルポイントを次々ブレーク。前週に更新したばかりの年初来高値(112.08円)に続き、昨年高値112.22円もわずかながら更新する112.26円を示現した。ポジションの偏りは気掛かりながら、リスクという意味では間違いなくドル高方向にバイアスか。なお、一昨年の高値に当たる112.40円が次の抵抗とされ、それを超えると114円台半ばを目指す展開となっても不思議はない。さらなるドル高の進行にも一応要注意だ。
マーケットで、もっとも注視されているものは依然として米金利動向。先週末の米雇用統計は期待外れの数字で一時ドルが売られたものの、米長期債利回りが結果的に反騰したことで、ドルも下がらずに上値を試す展開をたどっている。やや期待が強過ぎる感も否めないが、それだけ米国の早期利上げ観測が強いということなのだろう。「新型コロナ」や「北朝鮮情勢」などのほか「恒大リスク」を中心とした「中国情勢」などを懸念しつつも、基本的にドルは底堅く推移する可能性が高そうだ。
テクニカルに見た場合、ドル/円はザラ場だけでなく、週末のNYベース112円台に乗せてくるなど、基本的なリスクはドル高方向にバイアス。ポジション調整を除くと、ドルを積極的に売り込む要因が見当たらない。
一方、ドルの上値メドは、まず一昨年2019年高値112.40円で、それを超えると短期的には青天井。113円台に目立った抵抗はなく、次のターゲットは2円以上も高い114円半ばなどか。さらなるドル高進行に弾みが付くことになりかねないようだ。
材料的に見た場合、中長期的には、「電力不足問題」や「恒大リスク」など次々に問題が噴出し話題に事欠かない「中国情勢」や、月末の衆院選に向けた様々な話題も喧しい「日本の政局」、「新型コロナ関連」−−などが注視されている。
そうしたなか今週は、9月の消費者物価指数や10月のミシガン大消費者信頼感指数といった重要な米経済指標が発表される予定だ。また、G20財務相・中銀総裁会議など幾つかの国際会議が開催されるほか、シティグループをはじめとする米企業決算の発表が本格化することにも一応注意しておきたい。
そんな今週のドル/円予想レンジは、111.10-113.30円。ドル高・円安については、先週高値の112.26円に112.40円が最初のターゲット。超えれば、一気に113円台へと吹き上がっても不思議はない。
対するドル安・円高方向は、112円そして111円半ばと50ポイントずつ弱いサポートが存在している。先週末、米雇用統計発表後の安値111円半ばを「しっかり」下回ると少し様相が変わりそうだが果たしてどうなるか。
ドル円日足
※ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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