米雇用統計に注目、悪い内容なら波乱も
〇本日のドル円、111.60前後で寄り付き、112円には届かなかったものの111.90-95へ値を上げる
〇米債務上限問題、与野党合意で目先のデフォルト懸念は後退
〇ドル円、このあと年初来高値112.08を超え、昨年高値112.22や一昨年高値112.40をうかがう展開も
〇本日発表の米雇用統計に注目集まる、強めの予想のため予想値にとどかず失望売りを警戒する声も
〇ドル/円、2週間弱110.82-112.08の新レンジ形成、このままドルが続伸しレンジ上限を超えるか注目
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは111.40-112.40、本日高値111.90-95が目先の抵抗
<< 東京市場の動き >>
8日の東京市場はドルが小高い。日米株価の動きなどをにらみつつ、円は全面安の様相をたどると、ドル/円は緩やかな右肩上がり。
ドル/円は、寄り付いた111.60円前後を日中安値にじり高推移。112円にはとどかなかったが、それでも111.90-95円へと値を上げ、先日記録した年初来高値112.08円まで、あと十数ポイントに一時接近している。16時現在、ドル/円は111.90円前後と日中の最高値圏で推移し、欧米市場を迎えていた。
なお、円は対ドル以外でも弱含み。とくにカナダ/円やポンド/円、スイス/円での円安進行が目に付いている。
一方、材料的に注視されていたものは、「米債務上限問題」と「日本の外交政策」について。
前者は、前日に野党共和党のマコネル上院院内総務が「12月まで債務上限の一時的拡大を容認する」と表明するなか、本日東京時間早朝に米上院で実際に動議が可決された。これを受け、目先のデフォルト懸念などは後退したものの、日経新聞も報じているように「問題を約2ヵ月先送りしたにすぎず、民主党政権の苦境が続く」ことは間違いない。根本から解決にはなっていないため、このあとも折に触れ相場の波乱要因として取り沙汰されることになりそうだ。
対して後者は、岸田新内閣が誕生して間もないためか、就任あいさつや顔見せなどを含め、ここ最近は欧米諸国を中心とした要人との電話会談が連日観測されている。昨日も「日露首脳」や「日米外相」による会談が行われたほか、テレビ朝日の報道によると岸田氏と習中国国家主席による「初の電話首脳会談も調整中」だという。台湾情勢や尖閣諸島などをめぐり意見の相違も目立つ両国だけに、その内容には一応注意しておきたい。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は、9月30日の112.08円を目先高値に110.82円まで下押しが入ったのち、本日東京では111.90円台と下げ幅の100%近くを取り戻す展開となっている。勢いからすれば、このあと年初来高値112.08円を超え、昨年高値の112.22円や一昨年高値112.40円などをうかがう展開をたどっても不思議はないだろう。いずれにしても、基調を素直に受け取るならば、リスクはドル高方向へとバイアスがかかりそうだ。
米金利動向への関心が高いという状況が依然として続くなか、本日は発表される9月の米雇用統計にまずは要注意。ちなみに、市場でもっとも関心の高い非農業部門雇用者数はプラス50万人程度が見込まれており、これは前月の2倍以上だ。かなりの好数字、強めの予想となっているだけに、実数値が予想値にとどかず失望売りがかさむ展開などを警戒する声も聞かれていた。念のため下方向への備えもしておきたい。
テクニカルに見た場合、過去2週間弱のドル/円は110.82-112.08円といった新レンジを形成しているものの、本日東京時間にはその上限超えが意識されていた。注目の米雇用統計発表が控えている環境下、果たしてこのままドルが続伸し、レンジの上限を超えていくことが出来るのかにまずは注目だ。超えれば、昨年高値の112.22円や一昨年高値112.40円などがターゲットとなる反面、失敗に終われば一転してドル下値トライ。前述した110.82円が意識されかねない。
材料的に見た場合、中長期的には、「恒大リスク」などくすぶるなか、示現するか否か日中首脳会談も注視されている「中国情勢」のほか、月末の衆院選に向けた様々な話題も喧しい「日本の政局」、「新型コロナ関連」−−などが注視されている。
一方、本日は米経済指標として、9月の雇用統計が発表される見込みで、その内容次第で発表前後の相場は荒れかねない。また、発言やイベント関連としては昨日も報じたB20サミットが引き続き実施され、イエレン米財務長官やラガルドECB総裁による講演が行われるもようだ。こちらも合わせて注意したい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは111.40-112.40円。本日東京高値にあたる111.90-95円が目先の抵抗で、超えれば112円台乗せ。112.08円や112.22円、112.40円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、これまで抵抗だった111.80円レベルが目先の弱いサポートか。ただ割り込んでもテクニカルサポートは多く、かなり底堅いイメージだ。
ドル円日足
※ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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