エネルギー価格高騰(1)
各国のCPI上昇要因のひとつにエネルギー価格の高騰がありますが、NY原油(WTI期近)は直近高値が79.78ドルと80ドルに迫り2014年11月以来の水準となっています。
昨年はコロナショックで需要激減による在庫積み増しでマイナス40ドルをつけたことを考えると、ここまで急速な需要増と価格上昇は正直なところ意外感もあります。しかし、バルチック海運指数に見られるように輸送コストの急増(年初から既に4倍以上)もあり、実際に生産者に届く時には取引所での取引価格以上の値上がりになっていて、主要国のPPI上昇はCPI以上にかなりのペースです。
今回はNY原油の現在の価格水準からどの程度まで上がる可能性があるのかをテクニカルな面で見てみましょう。長期的な見方が必要なので月足チャートです。
NY原油の史上最高値は2008年7月につけたリーマンショック前の高値147.27ドルで、リーマンショックで2008年12月には32.40ドルへと5カ月で115ドルほどの大暴落を演じました。昨年の下げも1月高値65.65ドルから考えると4月安値はマイナス40.32ドルでしたから約106ドルの大暴落です。発射台が低かったことを考えると割合としては昨年の下げの方が強烈でしたが、あまりに特殊な出来事だったため、果たして-40.32ドルをテクニカルに使ってよいのかは悩ましいところでもあります。
史上最高値からこの異常な史上最安値までの下げに対して61.8%戻しが75.61ドル(赤のターゲット)、仮に4月のローソク足を考慮しない場合は翌5月の安値18.05ドルで史上最高値からの半値戻しが82.65ドル(青のターゲット)となり、およそ80ドル水準はいったん上げ止まりとなりやすい水準と考えられます。
しかし、今後もコロナショックからの回復が先進国から新興国を中心としたフェーズに移行していくことを考えると原油価格は更なる上昇を考えざるを得ず、テクニカルな次のターゲットとして史上最高値と史上最安値の78.6%(61.8%の平方根)戻しとなる107.13ドル(赤のターゲット)が計算上は出てきます。
その手前の大台100ドルはこの調子で行くと年内に見る可能性があるでしょう。次回は他のエネルギー価格にも目を向けていきます。
オーダー/ポジション状況
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